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バロンズ:米株からビットコインまで、あらゆる資産で下落の怪

by • November 12, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off893

Barron’s : Prices Of Stocks, Bonds, And Bitcoin.. All Move In South.

バロンズ誌、今週のカバーは自動車の未来にスポットライトを当てる。自動車産業は新たな局面を迎え、ガソリンやディーゼル車の時代は終わりを迎えつつある。ウォール街では自動車メーカーに否定的な見方が流れ、株価収益率(PER)は2017年予想で6〜11倍にとどまり、配当利回りも5%に過ぎない。しかし電気自動車をはじめ自動運転、シェアリング・エコノミーなど現状を打破するテクノロジーや環境変化によって、消費者や投資家に利益をもたらす可能性がある。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週のテーマは米株の下落と税制改革です。抄訳は、以下の通り。

マーケット、上昇一服—Markets Take a Breather.

木は空に届くまで成長しないものだが、6日週の米株相場はそれを証明した。ダウは9週ぶりに反落し、方向感を失ったかのようだ。ミニレアル世代が米株より選好するビットコインも同様で、年初からの急伸にブレーキが掛かった。

バロンズ誌のコラムニストで自身のニュースレターを執筆するジム・グラント氏は、米株相場と同じく上昇するしかないと考えられていたニューヨークの不動産市場での変化を指摘する。ナイジェリア人のコラ・アルコ氏は司法省からマネーロンダリングの疑惑を調査されているが、2014年に5,100万ドルを少し下回る価格で購入した後、2017年に入り提示価格の3,900万ドルを下回る3,600万ドルで売却した。アルコ氏に債権回収会社カンピオン・マーベリックが迫ったためとみられる(筆者注:差し押さえを経て、売却されたともよう)。

グラント氏いわく、2015年頃から1,000平方フィート(28坪)、200万ドルの物件に対し中国人やロシア人投資家を中心に買い手が少なくなっていた。代わりに、マンハッタンの不動産が手に届かない買い手の需要を見越しイーストリバーを挟んだクイーンズでコンドミニアムが建設ラッシュを迎えている。

低金利と過剰流動性の環境下、国債や社債などの価格も上昇を続けてきた。しかし、税制改革により債券市場に変化が訪れそうだ。法人税率を35%から20%へ引き下げれば、連邦政府の歳入は減る。減収分を補填するため、共和党下院は金利控除をEBITDAの30%を上限とする案を盛り込んだ。

ストラテガス・リサーチ・パートナーズのトーマス・チゾリス氏によれば、大型株で構成されるS&P500、中型株で構成されるS&P400、小型株で構成されるS&P600の全体でも非金融機関のうち、過去2〜3年間でEBITDAの上限30%超えの金利控除を行ってきた企業は55社程度だ。むしろ、チゾリス氏は債務の大きな高利回り社債市場に打撃を与えると指摘。同氏いわく高利回り債を発行する企業の株価は既に反応しており、11月1〜8日の間にベンチマークを下回るパフォーマンスにとどまったという。またマスミューチュアルのクリフ・ノリーン氏は、9日の売り局面でiShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF (HYG)の出来高が3倍に膨らんだとのコメントを寄せる。

何かと話題になるビットコインもさることながら、高利回り債の代表ETFも大幅安。

hyg
(出所:Stockcharts)

ルースホールド・グループのダグ・ラムジー最高投資責任者は、低金利が弱いファンダメンタルズを反映しているのではとの疑問を抱く。2007年10月につけた金融危機前の最高値から10年間、S&P500でみた1年間のGAAPベースでの1株利益は、自社株買いでの市場に流通する株式が減少してきたというのに年間2%しか伸びていない。その一方で、PERは18.4倍から25.4倍と38%拡大していた。2007年10月のピーク時にS&P500を購入した不幸な投資家のリターンは上昇してきたものの、いわばバリュエーションによるものと考えられる。

上院の税制改革案は、下院と一線を画し法人税の実施を2019年まで先送りする案を盛り込み米株相場に冷や水を浴びせた。しかし上下院での溝は、埋められる可能性を残す。アラバマ州上院補欠選挙を前に、未成年へのわいせつ行為を背景に出馬辞退が取り沙汰されるロイ・ムーア上院議員候補も、税制改革の年内成立にインセンティブを与えている。上院での共和党の議席数は52にとどまり、仮にアラバマ州で民主党の上院議員候補が選出されれば、医療保険制度改革(オバマケア)代替案移行で失敗したように過半数を獲得できないリスクが高まるためだ。

キャピタル・アルファのチャールズ・ガブリエル氏も、税制改革が成立・通過しないリスクより税制改革の内容へのリスクを見込む。同氏は、税制改革が今冬に通過・成立する可能性を60%から75%ヘ引き上げた。税制改革の内容について、モルガン・スタンレーは連邦所得税に対する州税・地方税控除を挙げる。共和党下院は州税・地方税控除をめぐり1万ドルまでの不動産税控除を残すものの、既に6人の共和党下院議員が反対を表明済みで、今後増えることもありうる。ワシントンで出来事必ずしもワシントンにとどまるとは言えず、投資家は市場がさらに荒れたとしても驚くべきではない。

——アラバマ州の補欠選挙は12月7日の予定です。共和党のムーア候補が40年前に起こしたとされる未成年へのわいせつ行為をめぐり、トランプ米大統領をはじめ共和党内でも出馬辞退を要請するものの、本人は否定し続ける状況。アラバマ州のアイビー知事も投票日の変更する意思を示していません。共和党有利な州でありながら11月9日実施の世論調査では民主党のストレンジ候補と46%で同率とはいえ、勝利に一縷の望みを託しているのか。大どんでん返しで、司法長官に就任したセッションズ氏が辞任して補欠選挙に復活するなんてことは・・さすがにないでしょうね。

ちなみに、バロンズ誌では環太平洋パートナーシップ協定(TPP)には触れず。首脳による合意宣言の直前、カナダの翻意が懸念されたものの、何とか大筋合意に漕ぎ着けましたね。NAFTAをめぐり米国との交渉を意識した、最終合意と勘違いしたなど様々な憶測が流れるように、何が起こるか分からないタイミングでの発行は極めて困難だったのでしょう。それでも、サウジアラビアの地政学的リスクに触れるコラムが遭ったことを踏まえれば、トランプ大統領のアジア歴訪の果実と共に来週くらいは取り扱ってくれても良い気がします。

(カバー写真:Dirk Knight/Flickr)

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