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バロンズ、米株相場の下落は企業の過剰債務が主因なのか

by • November 19, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off862

Barron’s : Excess U.S. Corporate Debt Has Started To Affect Stock Market.

バロンズ誌、今週のカバーはユニコーンを取り上げる。非上場企業で評価額が10億ドル以上のベンチャー企業を指し、2013年にベンチャー投資家が”ユニコーン・クラブ”という言葉を作った当時は39社しか存在しなかった。しかし現在、ダウ・ジョーンズのベンチャーソースによれば、ユニコーン企業は170社に及ぶ。通常、評価額が10億ドルを超えるとベンチャー企業は新規株式公開(IPO)に踏み切っていた。IPOを研究するフロリダ大学のジェイ・リッター教授によれば、ITバブル期にあたる1999年においてテクノロジ—企業がIPOに至るまでの期間は中央値で4年だったが、今では10.5年と長期化している。当然ながらIPO件数も減少し、1990年代のIPO件数は平均で436件だったところ、2016年は74件だった。背景には規制の厳格化や上場企業への精査が挙げられるが、個人投資家離れも一因だ。そもそも、ユニコーンの評価額は平均で50%も割高との分析もある。ユニコーン企業は本当にその価値があるのか、詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は米株相場の下落に焦点をあてる。抄訳は、以下の通り。

重債務は、強気相場を破壊するのか—Will Heavy Debt Kill the Bull Market?

バロンズ誌でかつてコラムニストを務めていたロバート・ブライバーグ氏が好きな言葉に「中央銀行家に、ごまかしは必要ない」というものがある。足元、信用市場が過剰に拡大し中央銀行家が警告を発する一方、株式相場が最終的に急落を余儀なくされるような資産価格の上昇を支え続けた者こそ、中央銀行家である。

ニクソン大統領時代に米連邦公開市場委員会(FRB)議長だったアーサー・バーンズ氏は、アイゼンハワー政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めた経験を持つエコノミストだった。バーンズ氏は、インフレが急速に上昇し始めた1970年前半、その危険性を痛烈に批判していたものだ。しかし、1972年の大統領選を控えバーンズ氏は金融政策を大幅に緩和方向へ切り替えた。ニクソン氏が1960年にジョン・F・ケネディ候補に敗北した当時、金融政策が引き締め方向にあり経済が減速していたことに配慮したと考えられる。インフレはニクソン大統領の賃金物価統制により一時的に抑制されていたが、バーンズ体制でFRBが緩和策を行っていた結果、ドルの供給量が増加し、石油輸出国機構(OPEC)がドルの購買力低下を相殺するため原油公示価格を引き上げ再び急伸したものだ。

中国は米国に多くの面で追いついてきている。10月、中国人民銀行の周小川・総裁は世界でGDP第2位の同国で過大に膨らんだ債務の水準に警鐘を鳴らした。共産党大会で、同総裁はミンスキー・モーメント(投機行動などによって生じた債務の悪循環でキャッシュフロ—に問題が発生し経済が減速する転機を指す、経済学者のハイマン・フィリップ・ミンスキー氏の名前に由来)に直面すると警告したものだ。PIMCOの元ポートフォリオ・マネージャーであるポール・マッカリー氏は、2008〜09年の金融危機を振り返り、ミンスキー・モーメントの格好の例と語る。

周総裁の舌の根が乾かぬ内に、人民銀行は信用市場の緊張を和らげるために6,210億元(937.1億ドル)の資金を供給したと人民日報が伝え、その規模は10ヵ月ぶりの高水準だったという。おかげで中国の長短金利は低下した。

関係ないかもしれないが、米国ではジャンク債を中心にリスク資産が下落した。15日までの1週間で高利回り債のファンドから67億ドルの資金が流出過去3番目の水準だったという。その裏でテクノロジー関連株のファンドには11億ドルの資金が流入、過去最高だったその前の週の13億ドルに次ぐ規模だった。

ひとまず、iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETFは下落に一服感。

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(出所:Stockcharts)

足元で、ミンスキー・モーメントが囁かれているのだろうか?高利回り債はその可能性を示す一方で、一部では重債務に直面する企業の金利控除を制限する税制改革案の項目が問題視されている。もっとも、理由はそれ以外にもあるだろう。ソシエテ・ジェネラルのグローバル・ストラテジストであるアルバート・エドワーズ氏は、既にバランスシートが悪化している企業の株価はそうではない企業と違って下落していると指摘する。同氏は「過剰な企業債務こそ、中央銀行が量的緩和を通じ創造したピラミッドを崩壊させる脆弱な部分だろう」と語り、弱気相場が予想より早く訪れる可能性を挙げた。

テスラは、信用市場がそれほど緩和寄りではない状況下で興味深い手段に打って出た。新たにEVトラックとガラス製のルーフパネルを備えたロードスターを発表。ロードスターの価格は頭金5万ドルで20万ドルで、2020年から納品を会する予定だ。ただし、初回生産は25万ドルで、クレジットカードでの5,000ドルの支払いに加え、10日以内に残りの24.5万ドルを送金する必要がある。トレーラーは頭金5000ドルと、35,000ドルの”モデル3”の1,000ドルを上回る。

金融情報レポート、クレジット・ストラテジストのマイケル・ルーウィット氏はテスラ弱気派だ。同氏によればテスラは四半期ごとに現金を15億ドル使う一方で9月末の現金が35.3億ドルであるため、2四半期後には高利回り債市場で資金調達を行うと予想する。

米下院はトランプ大統領が課した感謝祭までという期限前、16日に税制改革案を通過させた。次は上院に舞台を移すが、既に共和党内では不協和音が生じ、ロン・ジョンソン議員(ウィスコンシン州)が反対を表明。医療保険制度改革(オバマケア)で規定されている加入義務の撤廃を目指す共和党上院に対し、スーザン・コリンズ議員(メイン州)が異議を唱えている。上院の100議席中、共和党は52議席しか有していないため、あと1人造反者が生まれれば通過の芽が摘まれてしまう状況だ。ホライゾン・キャピタルのグレッグ・バリエール氏は、税制改革が成立する確率を55%と見込む。

——米国市場でジャンク債市場の異変が米株相場を直撃し、ダウとS&P500は2週続けて下落、これは8月以来となります。年内の税制改革成立へ向けた懸念が挙げられると同時に、足元の経済指標はまさかの3期連続での3%成長が期待されるなかでパウエルFRB新議長体制下での利上げサイクルも不安視されている可能性は否定できません。前者で言えばゴールドマン・サックスは税制改革が2018年初めに成立する確率を10月初旬の65%から11月8日時点で80%ヘ引き上げましたが、どこ吹く風。FRB体制でいうなら、2018年に投票権を持つ地区連銀総裁につきタカ派寄り(リッチモンド連銀、クリーブランド連銀、サンフランシスコ連銀は中立寄りでも利上げ支持派)が多いことが意識されていてもおかしくはない。足元の軟調な米株相場は小幅な調整にとどまるのか、ひとまず米上院が税制改革案で足並みを保てるかが運命の分かれ道となることでしょう。

(カバー写真:pixelgrey/Flickr)

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