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バロンズ:税制改革の実現で、インフレ加速に要注意

by • December 3, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off689

Barron’s : Tax Reform Could Cause Higher Inflation.

バロンズ誌、今週のカバーはビットコインを掲げる。1万〜1万1,000ドルの節目を突破してすぐ9,000ドルへ押し返されるなど、ビットコインの値動きは目まぐるしく、投資家がシャンベンのボトルを開いてお祝いする暇がないほど。それでも、米株のリターンを遥かに上回るだけに金融市場にとって無視できない存在へ進化してきたと言えよう。商品取引委員会(CFTC)は1日、遂にCMEグループとシカゴ・オプション取引所(CBOE)にビットコイン先物の取引を承認した。年内にも取引が開始する見通しである。さらに証券大tえカンター・フィッツジェラルドは、ビットコインのオプション商品を始動させる方針。ビットコインのデリバティブを10月に立ち上げたレジャーXの関係者は、「年内にも2つの大手投資銀行がビットコインをバランスシートに組み入れる」と予想する。時価総額が年初の180億ドルから3,000億ドルへ膨らんだビットコインは、ウォール街の本格参入を経てさらなる成長を遂げるのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

税制改革の大きなリスク:インフレ—A Major Risk of Tax Reform: Rising Inflation.

税制改革法案成立への期待が、ロバート・モラー特別検察官によるロシアゲート捜査や北朝鮮の新型ICMB発射などの悪材料を打ち消し、米株は11月30日に過去最高値を更新した。法人税率が35%から20%へ引き下げられるという安心感は、核戦争の恐怖を相殺するらしい。マイケル・フリン大統領補佐官がロシア外交筋と接触した件で、米連邦捜査局(FBI)に虚偽の供述を行ったとして有罪を認めたニュースも、かき消された。しかし上院が税制改革法案を可決したとしても、下院を交えた一本化をめぐる協議は不透明だ。

UBS・ウェルス・マネジメントによれば、法人税率の20%ヘの引き下げはS&P500の2018年の1株利益を10ドル押し上げ、141ドルから151ドルとさせるという。もっとも、UBSに言わせれば税制改革法案の成立で市場に忍び寄るリスクはインフレだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げペースを加速し、欧州中央銀行(ECB)の資産買入ペースを一段と縮小する材料となりうる。

ドイツ銀行もこうした考えを共有しており、2018年の利上げを4回と予想する数少ない金融機関のひとつだ(筆者注:足元ではゴールドマン・サックスに、JPモルガン・チェースが加わった)。ただ、パウエル新FRB議長は、指名公聴会でイエレン体制の踏襲に言及しており、そうなれば年3回が視野に入る。

Fedの利上げ見通しは、米債利回りのフラットニングをみれば明白だ。通常、長短金利の縮小は経済と株式市場にネガティブな影響を与える可能性と捉えられる。しかし、あらゆる特殊要因を挙げ”今回は違う”との考えが優勢だ。まるで、金融危機前の2007年のように。

税制改革法案の成立で恩恵を受けるのは地方債だろう。債券調査情報サイトのボンド・バイヤーによれば、170億ドル以上の州債・地方債が発行される予定だが、利回りの上昇と価格下落の見通しを背景に需要が高まる可能性が大きく、クリスマス・プレゼントに検討すべきだろう。

かつて富裕層をモノポリー・ゲームのキャラクターに例えられたが、あのゲームは1930年代に登場した。当時は格差が最も著しくなり、富裕層の0.1%が全米の90%の富を握っていたものだ。その後、大衆主義が蔓延し政策も極端になり、ルーズベルト政権でのニューディール政策が何とか資本主義への過激な攻撃を回避させたものだ。現代に視点を移すと、共和党の考えは左派寄りへシフトしている。

ストラテガス・リサーチ・パートナーズを率いるジェイソン・ディシーナ・トレナート氏は、顧客向けのレポートで同氏が生まれ育ったNY州ロングアイランドの変化について、こう記す——”中流が集まる地域は、まるで幽霊船のようだ”——つまり、自動化や機械化の影響で、洗車場やクリーニング・ストア、喫茶店などが建っていた場所に、何もなくなってしまったというのである。トレナート氏はこうした変化を受け、2016年の米大統領選を始めとした政治的な津波は始まりに過ぎず、今後の動向が金融資産に影響を及ぼしうると見込む。

1979年でみた上位1%と下位90%の所得の伸び率も、歴然とした違いが。

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(作成:My Big Apple NY)

今年の米株高を基に、共和党は正しい政策を実行してきたと言えるだろう。しかし、株高は保有者にしかリターンを与えないとの議論がある。こうした議論の解決策に挙げられるのは、私有財産の没収と再分配だ。ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿した左寄りの弁護士、マット・ブリューニグ氏も投資のリターンは富裕層の富を積み上げただけだと指摘する。その上で、連邦政府が投資ファンドを創設し、米国の成人1人が1株を保有するようになると予想。投資ファンドは株式、債券、不動産などで構成され、リターンを生めば国民にベーシック・インカムならむベーシック配当として分配するという。問題は、どこから資金を得るかだ。ブリューニグ氏は、富裕層に対するキャピタルゲイン税などの引き上げのほか、新たなタイプの法人税を資金源のアイデアに挙げる。同氏のいう法人税とは社会投資ファンド向けの株式発行や、新規株式公開(IPO)や合併・買収(M&A)に関わるものだ。

こうした取り組みは、IPOの縮小を促すだろう。しかし、中銀が保有する株式がある。FRBは金融危機の最中に株式を取得し、量的緩和を実施した。別の例で言えば、スイス国立銀行(SNB)は資産配分の選択肢として米国株に目をつけ、今では880億ドル有しSNBが保有する資産の約10%に相当する。日本銀行は、緩和政策の一環として20.3兆ドルのETFを取得してきた。ブリューニグ氏は自身のアイデアのみが格差是正につながるとは考えていないようだが、一つの議論として考えられる手段と言える。富裕層や企業が抜け道を探るという意味でも、同様だろう。

——12〜13日開催のFOMCで、経済・金利見通しの最新版が明らかになります。クオールズFRB副議長が初めて見通しを示すだけに、方向性が気になるところ。年4回の利上げを予想する金融機関が徐々に増えてきたとはいえ、さすがに年4回ペースでの利上げを予想するFOMC参加者は少数派であるはずです。この話は、また別の機会にするとして、問題は上方修正するであろう成長率見通しと、11月FOMC議事要旨で低迷が懸念されたインフレ見通し。何より、上院で税制改革法案が可決された以上、これまでより真剣に金融政策への影響を考慮せざるを得ず、金利上昇を引き起こさないよう、どのような舵取りをするのか注目されます。

(カバー写真:Susan Melkisethian/Flickr)

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