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バロンズ:ドル安、米株ブル相場の冷や水に?

by • January 28, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off639

Barron’s : Weaker Dollar May Not Be “Good” To Stock Market And Opportunities.

バロンズ誌、今週のカバーはゴールドマン・サックス(GS)を掲げる。同社のロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)が率いてきた債券・為替・商品部門は減収が続き、競合のモルガン・スタンレーは人員削減に踏み切った。ブランクファイン氏は12年にわたってCEOを務めてきたが、後継者探しをめぐる観測が飛び交う状況だ。これからGSはどこへ向かうのか、詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週はドル安が強気相場の終焉をもたらす可能性に着目する。抄訳は、以下の通り。

ドル安が強気相場に終止符を打つ理由—Why a Weaker Dollar Could End This Bull Market

ムニューシン財務長官に、ニクソン政権時のジョン・コナリー財務長官(当時)の魂が宿ったかのようだ。ニクソン大統領が貿易不均衡の是正と米経済浮揚のためドル安を望んでいた1970年代、コナリー氏は欧州代表団に「ドルは我々の通貨だが、あなた方の問題だ」との名言(迷言?)を放ったことであまりにも有名である。

現代に視点を戻すと、ムニューシン氏は世界経済フォーラムが開催されているダボスにて1月24日に「ドル安は貿易と機会の観点から良いことだ」と発言した。トランプ政権が1月22日に太陽光パネルや洗濯機にセーフガードを発動させた直後で、関税賦課は通貨の切り下げとともに、保護主義的手段とされるだけに大きな話題を集めた。ドル安容認発言は、クリントン政権時のルービン財務長官が示した「強いドルは国益」とする政策から逸脱するもので、ドル・インデックスは2017年3月につけたピークから下落の一途をたどり、堂発言はドル安に拍車を掛けた。

ムニューシン財務長官の上司であるトランプ大統領は、すぐにCNBCのインタビューという機会を捉え「米国は経済的、その他の面でも再び力強くなっており、ドルは今後ますます強くなっていくだろう。最終的に私は強いドルを望む」と火消しに動いた。この発言は、2017年4月のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙でのインタビューでの言及「ドル高には良い面がいくつかあるが、ドル高に関して最大の恩恵は聞こえが良いことだ」と正反対のものだ。

トランプ大統領はまた、ダボスでのCNBCインタビューで「率直に言って、誰も話題に取り上げるべきではない」との見方も示した。このコメントに、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が支持を表明。1月25日の定例理事会後の記者会見でドラギECB総裁は、ムニューシン財務長官のドルに関する言及に渋々言及し、不快感を明らかにしたものだ。

ドル安のコインの裏側にあるユーロ高をめぐり、ドラギECB総裁は欧州経済の改善を裏打ちするとも述べた。しかし、足元の為替変動はECB以外の「コミュニケーション」によるもので、「誰かのコミュニケーションは合意された付託事項に準じていない」とムニューシン氏を名指しせずに批判した。

米国が他の国と違って金利を引き上げる段階にあり、かつ大統領がしばしば取り上げるように米株高が続く一方で、ノーザン・トラストのシニア・エコノミスト、ライアン・ジェームズ・ボイル氏によれば、資本は米国から流出している。2017年に、投資信託の米株フローは売り越しだったが、米国以外では買い越しだった。ボイル氏いわく「米国はこれまで最高の投資機会を与える国だったが、今では投資機会に恵まれた国の一つに成り下がっており、ドル安が少なくともこうした変化の一助を担っている」という。

ドル・インデックス、下落の一途をたどり約3年ぶりの安値に。

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(作成:My Big Apple NY)

米国からの資本流出が転換する時期が近づきつつあるが、ドル安観測は余りにも広がりをみせている。税制改革は確かに米企業が保有する海外に蓄積された何千億ドルもの利益を本国へ還流させ、ドル買い戻しを促すだろう。しかし、その兆候はまだ見られていない。バンク・オブ・アメリカでグローバル金利・為替調査部のヘッドを務めるデビッド・ウー氏は「税制改革法案が成立したことは否定の余地もないが、本国還流(レパトリ)は今のところ限定的にとどまる」と指摘。同行の顧客の財務部門は海外でのエクスポージャーを確認中で、2017年10〜12月期決算でレパトリ額を発表する段階にあるためだ。

ウー氏の予想ではレパトリ額は3,000億ドル、米経常赤字を補填できる規模となりうる。顧客は為替リスクを抑えるべく早期に手当するとみられ、ウー氏は「上半期にこうしたフローがでれば、ドルにとって大きな強気材料となる」見通しだ。ユーロドルは直近で1.2427ドルのところ、ウー氏は3月末に1.10ドルへのユーロ安・ドル高を見込む。しかしウー氏は、長期的に税制改革が財政赤字の拡大をもたらすと考えている。先物市場では10年後のユーロドルが1.50ドルで取引されているように、ドルは高いリスク・プレミアムが見込まれていると言えよう。

ドル安見通しは、双子の赤字を補填する資本フローの流入を阻止するだろう。米10年債利回りは2.7%を超えていく可能性があり、株価収益率(PER)が23倍の米株市場にしわ寄せがいくのではないか。少なくとも、ルースホールド・グループのジム・ポールセン最高投資責任者(CIO)は、そう考えている。ポールセン氏いわく「ムニューシン氏の見解に反し、完全雇用に近い経済でのドル安は低金利と高いPERの環境下でインフレを押し上げかねず、金融市場にとって美味なるカクテルとはなりえない」。

最後に財務長官がドル安を促す発言を行ったのは1987年で、レーガン政権下でのジェームズ・ベーカー氏が言及した。貿易と為替に関するフィクションは、米株高での金利上昇につながるだろう。こうした事態の再演は、誰にとっても問題となりうる(筆者注:ブラックマンデーを意味する)。

米株は2018年も好調で、S&P500は年初来で7.5%上昇している。ストック・トレーダーズ・アルマナックの最新版によれば、1月はその年のバロメーターであり続け、1950年以降で間違った回数は9回にとどまり、正解率は87%に及ぶ。ちなみに、1月がその年の同行と逆をいった時には軍事衝突が発生していた。1966年と1968年はベトナム戦争中で、2001年は同時多発テロ事件が起こり、2003年はイラク戦争時にあたる。

1月に下落してその年のリターンが上昇に転じた時は、金融政策の緩和が背景にあった。1982年にはインフレ抑制のための利上げから転じ、長きにわたる強気相場をもたらした。2009年と2010年、2014年は量的緩和の第1弾、第2弾、第3弾に恵まれた。

2018年は1月に既に7%以上も上昇しており、1987年当時を彷彿とさせる。1987年1月のS&P500のリターンは13.2%高と1950年以降で最高だったと同時に、10月19日にブラック・フライデーを迎えた。S&P500は1987年に上昇して取引を終えたものの、2%まで上げ幅を縮めたものだ。

とはいえ、1987年のケースは例外でもある。ダウ・ジョーンズの統計によれば1月に7%以上の上昇を示した年は19〜31.5%ものパフォーマンスを遂げ、平均では17.49%高に及ぶ。過去を振り返ると、今年も強気派が勝利の美酒に酔う可能性が高いと言えよう。

——米株相場に慎重なコラムニスト、ランダル・フォーサイス氏は1987年のブラック・マンデーの再来を示唆しつつ、バロンズ誌の強気の流れを意識したのか、楽観寄りで締めくくりました。タイトルと温度差があるのは、フォーサイス氏の意地でしょうか。それはともかく、レパトリに関して言えば米国債、主に短期債への影響が気掛かり。米企業は節税目的でアイルランドなどに拠点を置き、海外の利益を短期の米国債で保有してきました。レパトリによって、海外拠点を置く米企業の米国債需要が低下すれば、米国債利回りを押し上げかねません。米2年債利回りは税制改革法案が成立する2017年秋頃から既に上昇しており、こうしたリスクが意識されたとしてもおかしくない。決算発表とともにテクノロジー、製薬、資本財などの企業が発表するレパトリの内容にも、注意しておくべきでしょう。

(カバー写真:olle svensson/Flickr)

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