Industrial Production Lifted By Utilities, Housing Starts Bounce Back.
3月の鉱工業生産と住宅着工件数をおさらしていきます。
米3月鉱工業生産指数は前月比0.5%上昇し、市場予想の0.3%を上回った。前月の1.0%(1.1%から下方修正)を含め、2ヵ月連続で上昇。2017年10月以降で、5回目のプラスとなった。前年比では4.3%増と2011年1月以降で2番目の高水準、製造業も2012年6月以来で最高だった。
稼働率は78.0%となり、市場予想の77.9%並びに前月の77.7%(78.1%から下方修正)を超え、2015年3月以来の78%乗せを達成した。税制改革法案が成立し、原油価格が約3年ぶりに60ドル台で推移するなか、年内にリセッション前の80%台を回復できるか注目される。
鉱工業生産の前年比、3月も製造業と鉱業が大きく寄与。
内訳をみると、製造業(全体の76.5%)は2ヵ月連続で上昇した。2月に続き自動車が好調だったためで、自動車を除く製造業は小幅ながらマイナス圏に反転。鉱業(全体の14.9%)も堅調な原油価格に支えられ、2008年10月以来の大幅上昇となった前月に続き強い伸びを維持。公益(全体の10.5%)は北東部の積雪もあって、上昇に転じた。
・製造業 0.1%の上昇=前月は1.5%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の上昇
>自動車を除く製造業 0.1%の低下<前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の上昇
>自動車 2.7%の上昇<前月は3.9%の低下、6ヵ月平均は1.2%の上昇
>機械 0.4%の低下<前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
>コンピューター/電気製品 1.0%の上昇<前月は0.9%の上昇、6ヵ月平均は0.8%の上昇
・公益 3.0%の上昇>前月は5.0%の低下、6ヵ月平均は1.1%の上昇
>電力 1.2%の上昇>前月は3.8%の低下、6ヵ月平均は0.9%の上昇
>天然ガス 15.6%の上昇<前月は12.9%の低下、6ヵ月平均は2.1%の上昇
・鉱業 1.0%の上昇<前月は2.9%の上昇、6ヵ月平均は1.2%の上昇
鉱工業生産、指数を項目ベースでみると鉱業の伸びが顕著な割に製造業は限定的。
――鉱工業生産は2月を含め自動車や電子機器が牽引したものの、製造業のうち機械はさえません。税制改革法案の成立で設備投資の全額控除が適用されるものの、IT分野に偏っているのか、繊維や印刷関連、プラスチック関連など非耐久財が落ち込み、伸びを抑えていました。稼働率があらためて78%を回復したとはいえ、製造業は75.9%と前月の76.0%から小幅に低下。むしろ寒波と積雪の影響で公益が79.0%と前月から2.2%ポイントも改善したほか、鉱業が前月から0.4%ポイント上昇し90.1%となったことが大きい。製造業の復活は、春なのにまだ芽吹きを感じさせていません。
▽米3月住宅着工件数、複合住宅支え2007年8月以降で2番目の高水準
米3月住宅着工件数は年率131.9万件と、市場予想の126.7万件を超えた。前月の129.5万件(123.6万件から上方修正)を1.9%上回り、景気後退入り直前の2007年8月以来の高水準を遂げた1月の132.9万件(132.6万件から上方修正)に次ぐ件数となる。
内訳をみると、一戸建てが前月比3.7%減の86.7万件と過去6ヵ月間で2回目の減少を示した。複合住宅は逆に14.4%増の45.2万件と過去4ヵ月間で3回目の増加にとなり、2016年10月以来の高水準となる。前年比では、住宅着工件数が10.9%増と前月の0.5%増を含め3ヵ月連続で増加した。一戸建てが5.2%増と2016年9月から続く増加トレンドを維持、複合住宅は23.8%増と前月の減少分を打ち消した。
4大地域別では2地域で増加し、前月の3地域から減少した。今回、中西部が22.4%増(2ヵ月連続で増加)の18.0万件となったほか、同じく複合住宅が多い北東部も0.8%増(3ヵ月連続で増加)の13.2万件だった。反対に西部は1.5%減の38.6万件と減少に反転。南部は0.6%減の62.1万件と、2ヵ月連続で減少した。
米3月建設許可件数は135.4万件となり、市場予想の132.0万件を超えた。前月の132.1万件(129.8万件から上方修正)を2.5%上回り、2007年6月以来で最高だった1月の137.7万件(139.6万件から下方修正)に次ぐ水準となる。内訳をみると、一戸建てが5.5%減の84.0万件と前月から減少に反転。複合住宅は19.0%増の51.4万件と前月の減少分を完全に打ち消した。
米3月建設中件数は前月比0.3%増の112.5万件となり、2007年6月以来の高水準となる。一戸建てが0.2%増の50.4万件と増加トレンドを維持、複合住宅も0.3%増の62.1万件と3ヵ月連続で増加した。
住宅着工と建設中件数、そろって増加もリセッション後の減少を相殺も2005年のレベルには程遠い。
――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、65万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を上回るため在庫逼迫の解消には繋がる可能性を残すものの、住宅価格の上昇を踏まえると依然として値ごろ感には程遠い。住宅ローン金利の上昇も手伝い、販売件数が勢いづくかは微妙な情勢です。
(カバー写真:U.S. Pacific Fleet/Flickr)
Comments
IMFは米国の成長見通しを引き上げ、トランプ成長目標の3%に接近 Next Post:
ミレニアル世代は、ハネムーンよりミニムーンがお好き