Industrial Production Continues Solid Growth, Housing Starts Decline.
4月の鉱工業生産と住宅着工件数をおさらしていきます。
米4月鉱工業生産指数は前月比0.7%上昇し、市場予想の0.6%を上回った。前月の0.7%(0.5%から下方修正)を含め、3ヵ月連続で上昇。トランプ大統領と共和党が2017年9月27日に税制改革法案を公表してから、同年10月以降の過去7ヵ月間で6回目の上昇を示す。前年比では3.5%の上昇となり、2014年10月以来の高水準だった前月の3.7%(修正値)に近い伸びを維持。2017年3月以降のプラス圏を保つ。
稼働率は78.0%となり、市場予想の78.4%を下回った。とはいえ前月の77.6%(78.0%から下方修正)を超え、2015年3月以来の78%乗せを達成している。税制改革法案が成立し、原油価格が約3年半ぶりに70ドル台で推移するなか、リセッション前の80%台を回復できるか注目される。
鉱工業生産の前年比、4月も製造業と鉱業が大きく寄与。
内訳をみると、製造業(全体の74.6%)は2ヵ月連続で上昇した。自動車を除く製造業(66.03%)がプラス圏を回復している。鉱業(全体の14.9%)も原油価格の上昇に支えられ、力強い伸びを維持。公益(全体の10.5%)も好調を保った。
・製造業 0.5%の上昇>前月は±0%、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>自動車を除く製造業 0.6%の上昇>前月は1.3%の低下、6ヵ月平均は0.3%の低下
>自動車 1.3%の低下<前月は2.8%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>機械 2.3%の上昇>前月は1.1%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>コンピューター/電気製品 1.2%の上昇>前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.6%の上昇
・公益 1.9%の上昇<前月は6.1%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の上昇
>電力 0.5%の上昇<前月は4.5%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>天然ガス 2.8%の上昇<前月は17.0%の上昇、6ヵ月平均は2.5%の上昇
・鉱業 1.1%の上昇>前月は0.8%の上昇、6ヵ月平均は1.1%の上昇
――鉱工業生産は、1~3月に低下していた機械がプラスを回復し、漸く税制改革法案の成立の恩恵を確認できました。詳細をみると、ビジネス機器が1.2%上昇し、特に産業財その他が1.8%と前月のマイナス分を相殺したほか、情報処理が1.6%と好調な流れを保ちます。その他では非耐久財が1.4%の上昇。そのうちエネルギーが3.2%と全体を牽引するほか、紙製品が1.2%、化学品も1.0%、服飾も0.8%と力強く、エネルギー以外も0.8%上昇しています。一連の好結果を受け、製造業の稼働率も76.3%(NAICS、製造業のみ)と2015年7月以来の高水準でした。1~3月期に機器投資は鈍化しましたが、4~6月期入りは幸先の良いスタートを切ったと言えそうです。
▽米4 月住宅着工件数、前月に反し複合住宅が弱く減少
米4月住宅着工件数は年率128.7万件と、市場予想の131.0万件に届かなかった。前月の133.6万件(131.9万件から上方修正)を3.7%下回り、前月分の4ヵ月ぶりの低水準。2007年8月以来の高水準に近い130万件から後退している。
内訳をみると、一戸建てが前月比0.1%増の89.4万件と過去4ヵ月間で3回目の増加を示した。複合住宅は逆に11.3%減の39.3万件と、前月の増加分を打ち消した。
前年比では、住宅着工件数が10.4%増と前月の12.4%増(修正値)を含め4ヵ月連続で増加した。一戸建てが7.2%増と2016年9月から続く増加トレンドを維持、複合住宅は18.7%増と2ヵ月連続で増加した。
4大地域別では1地域のみ増加し、前月の3地域から減少した。今回、南部のみ6.4%増(2ヵ月連続で増加)の66.3万件となっている。他は複合住宅が多い中西部が16.3%減(3ヵ月ぶりに減少)の16.4万件だったほか、同じく複合住宅が多い北東部も8.1%減(2ヵ月連続で増加)の11.4万件だった。西部は1.5%減(6ヵ月ぶりに減少)の34.6万件だった。
米4月建設許可件数は135.2万件となり、市場予想の135.0万件とほぼ変わらず。2007年6月以来で最高だった前月の137.7万件(135.4万件から上方修正)を1.8%下回る。内訳をみると、一戸建てが0.9%増の85.9万件と前月から増加に反転。逆に複合住宅は6.3%減の49.3万件と、減少に転じた。
米4月建設中件数は前月比±0%の112.4万件となり、前月に続き2007年6月以来の高水準となる。一戸建てが1.0%増の51.0万件と増加トレンドを維持、複合住宅は0.8%減の61.4万件と4ヵ月ぶりに減少した。
住宅着工と建設許可件数、2007年以来の高水準はキープ。
――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、67万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を上回るため在庫逼迫の解消が期待される半面、住宅価格と金利の上昇が需要を抑えかねません。ホーム・デポの決算は住宅市場鈍化の兆しなのか、注意が必要です。
(カバー写真:JAXPORT/Flickr)
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