Consumer Prices Surge To 6-Year High, NFIB Optimism Also Jumps.
米5 月消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇し、市場予想と前月と一致した。2ヵ月連続で上昇している。エネルギーが0.9%上昇し前月の1.4%から鈍化、ガソリンも前月の3.0%の上昇から1.7%へ伸びを縮小したが、2ヵ月連続でプラス圏に。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は5月に一時2.962ドルと2014年10月以来の3ドル乗せが迫ったが、前月からの上昇率が4月分を下回ったようだ。食品・飲料は前月の±0%と、前月の0.3%から鈍化した。
CPIコアは前月比0.2%上昇し、市場予想に並んだ。前月の0.1%を超え、14ヵ月連続で上昇した。項目別では、サービスが前月と同じく0.2%上昇、14ヵ月連続でプラスを示す。帰属家賃が0.2%上昇し、前月の0.3%から鈍化した。家賃が0.3%の上昇と前月の0.4%を下回ったため、電力・ガスなど公益が0.1%上昇したところ、住宅は前月まで3ヵ月連続で0.3%を経て、0.2%へ伸びを縮小している。服飾も前月の0.3%から±0%に。娯楽は前月まで±0%と3ヵ月連続で横ばいを経て、0.4%低下した。
一方で、輸送が0.4%上昇し前月の0.2%を上回った。特に自動車が反発、新車は前月の0.5%の低下から0.3%の上昇に、中古車も前月の1.6%の低下から0.9%の低下と4ヵ月連続でマイナスに落ち込みながら下げ幅を縮小している。航空運賃も前月の2.7%の低下から1.9%の低下へ下げ幅を狭めた。そのほか教育・通信が0.4%上昇し、前月の±0%から改善。医療費は0.2%上昇、前月の0.1%を上回り3ヵ月連続でプラスをたどる。
CPIは前年比で2.8%上昇し、市場予想と一致し2012年2月以来の高い伸びを遂げた。コアCPIは市場予想と並び2.2%上昇、前月の2.1%を超え2017年2月以来の高水準を維持した。
CPIが約6年ぶり、コアCPIが1年ぶりの高水準。
――米5月CPIコアが前年比で上向いてきましたが、ISMの製造業景況指数、非製造業景況指数(サービス業)の仕入れ価格と整合的です。
物価指標を受け、米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者はインフレ上昇への自信を深めることは間違いなし。12日付けのウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙はパウエルFRB議長が毎回の記者会見実施を検討中と報道していましたが、①物価上昇局面での利上げペース加速、②経済急減速あるいは金融市場混乱時の利上げ休止、③近い将来の利上げ打ち止め――といったあらゆるシナリオに対応するためのヘッジなのでしょう。緊急会合はやはり、金融危機時やブラックマンデーのような火急の事態に備えたい意図が見え隠れします。
▽米5月NFIB中小企業楽観度、史上2番目の高水準
米5月NFIB中小企業楽観度指数は107.8となり、市場予想の105を上回った。前月の104.8を超え、過去最高の1983年7月に次ぐ水準を達成している。トランプ政権が鉄鋼・アルミ関税を欧州連合(EU)、カナダ、メキシコに発動すると発表し、6月半ばにも対中知財関税措置を導入する可能性を残すなか、センチメントは上昇。米金利上昇や米株安の一服も下支えしたようだ。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「減税と規制変更の恩恵を受け、メインストリート(非金融企業)の楽観度は成層圏にある」と指摘。中小企業が望んでいた減税と規制緩和により業績拡大、雇用増加、賃上げが実現する公算との考えを示唆した。
NFIB、統計開始以来で2番目の高水準。
(作成:My Big Apple NY)
内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は11項目で、4月まで3ヵ月連続となる10項目を上回った。内訳をみると、マイナス圏を脱したのは「黒字見通し」で、統計開始以来で初のプラス圏回復という快挙を成し遂げた。その他、プラス項目のうち「求人件数」、「賃上げ見通し」が前月を下回り、「在庫を増加させる」が前月と横ばいだった以外、8項目が上昇した。特に「経済がより良くなる」と「事業拡大に良いタイミング」は前月から7ポイント、「売上拡大見通し」は10ポイントも急伸している。以下は、項目ごとの変化。
「経済がより良くなる」37%>前月は30%、6ヵ月平均は37%
「賃金引き上げ」35%>前月は33%、6ヵ月平均は32%
「事業拡大に良いタイミング」34%>前月は27%、6ヵ月平均は30%
「求人件数」33%<前月は35%、6ヵ月平均は34%
「売上拡大見通し」31%>前月は21%、6ヵ月平均は26%
「設備投資を拡大した」30%>前月は29%、6ヵ月平均は28%
「賃上げ見通し」20%<前月は21%、6ヵ月平均は22%
「販売価格の引き上げ」19%>前月は14%、6ヵ月平均は14%
「採用見通し」18%>前月は16%、6ヵ月平均は19%
「黒字トレンドにある」3%、統計開始以来初のプラス>前月は−1%、6ヵ月平均は−4%
「在庫を増加させる」1%=前月は1%、6ヵ月平均は2%
「在庫満足度」−4%<前月は−4%、6ヵ月平均は−4%
「信用状況が緩和する」−5%<前月は−6%、6ヵ月平均は−5%
――GDPの6割を担うとされる中小企業のセンチメントが絶好調で、4~6月期の高成長だけでなく通年でも3%近い伸びへ期待が高まってきました。NFIBの項目別動向でも、明るい兆しが表れています。「黒字トレンドにある」との回答が統計開始以来で初のプラスに転じたほか、実質GDP成長率と相関性の高い「売上の拡大を予想」も約1年半ぶりの高水準でした。
実質GDP成長率とNFIBの「売上拡大見通し」。
(作成:My Big Apple NY)
アトランタ地区連銀によれば、米4~6月期実質GDP成長率は4.6%増となる見通し。仮に実現すれば、2014年4~6月期の高水準に並びます。2014年は結局通年で前年比2.6%増でしたが、少なくとも今年は昨年の2.3%増から加速することは間違いないでしょう。
(カバー写真:Brian Bilek/Flickr)
Comments
米5月小売売上高は予想以上の強さ、Q2成長率は4%超えも? Next Post:
米5月鉱工業生産は一時的要因で鈍化、ミシガン大信頼感は高水準維持