Private Payrolls Miss Expectations, Economists Point Out Labor Shortage.
6月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定数をおさらいしていきます。
米6月ADP全国雇用者数は前月比17.7万人増となり、市場予想の19.0万人増を下回った。前月の18.9万人増(17.8万人増から上方修正)を含め、4ヵ月連続で20万人割れとなる。今回、サービス部門が好調だった半面、財部門が鈍化している。ADP全国雇用者数自体は、2010年2月以来の増加トレンドを維持した。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。
ADP全国雇用者数、4ヵ月連続で20万人割れ。
セクター別では、サービス部門が14.8万人増と前月の14.0万人増(修正値)を上回り増加トレンドを維持した。内訳をみると、雇用統計と足並みをそろえ教育(前月の3.2万人増→4.6万人増)、専門サービス(5.2万人増→3.3万人増)が引き続き牽引、娯楽(3.5万人増→3.3万人増)も堅調。前月に鈍化が目立った貿易・輸送(前月の0.5万人増→2.4万人増)は、改善した。
財部門(製造業、建設、鉱業)は2.9万人増と前月の4.9万人増(修正値)を下回り、7ヵ月連続で増加したなかで最も小幅な伸びにとどまる。内訳をみると、建設(2.6万人増→1.3万人増)と12ヵ月連続で増加した者の鈍化。製造業(1.6万人増→1.2万人増)も直近で最小の伸びだったほか、原油先物が2014年11月以来の高値を遂げる過程で、鉱業(0.7万人増→0.5万人増)と6ヵ月連続で増加したなかで2番目に小さい伸びにとどまった。
ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「企業にとって目下最大の問題は適切な人材不足で、現状の雇用増加が続けば、さらに人材難が悪化するだろう」と予想した。
ザンディ氏が米6月ADP全国雇用者数の鈍化をスルーしたように、米国では人材不足の深刻化を問題視する声が高まっています。雇用動態調査のうち求人数は2ヵ月連続で過去最高を更新し、米5月NFIB中小企業楽観度指数も1983年の統計開始以来で2番目の高水準である上に、求人が埋まらないとの回答も34%に及ぶ。しかしながら、労働参加率も伸び悩み中で25~54歳の働き盛り世代でも5月時点で81.8%となり、2010年6月以来の高水準を回復した2月(82.2%)以下と芳しくありません。
25~54歳の労働参加率。
(作成:My Big Apple NY)
雇用動態調査に視点を戻すと、求人数が過去最高を記録する割に新規採用者数と歩調は合わず。企業の求める人材と労働者のスキルには、引き続き乖離が広がります。まるでそこには深くて暗い川が流れているようです。
筆者としては、鉄鋼・アルミ関税発動に伴い建設資材のコストが上昇中であるように、利鞘縮小に直面するなか採用を遅らせる兆候が現れたように見えます。サービス部門では増加していましたが、鉄鋼・アルミ関税発動の影響を受けやすい財部門で伸びが鈍化していましたよね。米6月雇用統計でも同様の結果となるのでしょうか。
▽米6月チャレンジャー人員削減予定数は増加、年初来では2年ぶりの高水準
米6月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比19.6%増の37,202人と3ヵ月連続で増加した。前月比でも18.0%増と3ヵ月ぶりに増加している。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「労働市場が逼迫するなかで雇用者は既存の従業員を離さず、過去4ヵ月間の人員削減予定数は4万人割れが続いている」と評価した。しかし「追加関税の発表に伴い人員削減の時期が迫りつつある」と予想、「7〜9月期は鉄鋼関税を通じた関連製品の値上がりを受けて人員削減予定数は増加する」と見込む。
人員削減予定数、2017年10月以来の低水準だった5月から増加。
4~6月では前期比25.3%減の140,379人だった。年初来では前年比8.0%増の245,179人となる。
人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。前月は1位が小売、2位がサービス、3位がヘルスケア、4位がコンピューター製品、5位が電気機器だった。
1位 小売 4,217人(全体の11.3%)
2位 食品 3,814人(全体の10.3%)
3位 ヘルスケア 3,597人(全体の9.7%)
4位 サービス 3,070人(全体の8.3%)
5位 コンピューター製品 2,715人(全体の7.3%)
州別動向は、年初来で前月と変わらず以下の通り。
1位 ニュージャージー州 38,023人(全体の15.5%)
2位 カリフォルニア州 36,947人(全体の15.1%)
3位 テキサス州 20,039人(全体の8.2%)
4位 オハイオ州 15,141人(全体の6.2%)
5位 ニューヨーク州 14,348人(全体の5.9%)
リストラ実施の理由、単月のランキングは以下の通り。前月の1位はリストラ、2位が閉鎖、3位はコスト削減、4位は契約切れ、5位はM&Aとなる。
1位 リストラ 17,885人(全体の48.1%)
2位 閉鎖 10,285人(全体の27.6%)
3位 コスト削減 3,576人(全体の9.6%)
4位 M&A 3,128人(全体の8.4%)
5位 契約切れ 1,420人(全体の3.8%)
採用予定数は、前年同月比66.3%減の13,504人だった。4ヵ月連続で大幅減となる。逆に前月比では36.6%増と前月の減少分を半減させた。セクター別では、以下の通り。前月は1位がサービス,2位が小売、3位が輸送、4位が食品、5位が保険だった。
1位 小売 8,030人
2位 産業財 2,211人
3位 輸送 1,202人
4位 通信 500人
5位 消費財 480人
(カバー写真:World Bank Photo Collection/Flickr)
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