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米6月小売売上高、ヘルスケアや外食が支え増加トレンド維持

by • July 17, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1633

 Retail Sales Advances For Fifth Month, CPI Core Rises Faster In June.

米6月小売売上高と米6月消費者物価指数をおさらいしていきます。

米6月小売売上高は前月比0.5%増と、市場予想と一致した。7ヵ月ぶりの力強い伸びだった前月の1.3%増(0.8%増から上方修正)を含め、4ヵ月連続で増加。自動車を除いた場合は0.3%増と、市場予想の0.4%増に届かず。2017年1月以来の高水準だった前月の1.4%増(0.9%増から上方修正)に届かなかったとはいえ、6ヵ月連続で増加している。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は逆に±0%増と前月の0.8%増(修正値)を下回り増加基調を4ヵ月で止めた

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、主要13カテゴリー中8カテゴリーで増加し、前回の9項目に届かず。今回はヘルスケア、外食、ガソリン・スタンドが前月比で1%を超える伸びを示した。一方でスポーツ用品をはじめ服飾、一般小売、電気製品など裁量消費関連が弱かった。項目別の詳細は、以下の通り。

(プラス項目)
・ヘルスケア→2.2%増>前月は1.3%増、6ヵ月平均は0.8%増
・外食→1.5%増<前月は2.6%増、6ヵ月平均は1.0%増
・無店舗(オンライン含む)→1.3%増>前月は±0%増、6ヵ月平均は0.6%増

・ガソリン・スタンド→1.0%増<前月は3.0%増、6ヵ月平均は1.1%増
・自動車/部品→0.9%増>前月は0.8%増、6ヵ月平均は0.3%増
・建築材/園芸→0.8%増<前月は2.5%増、6ヵ月平均は0.2%増

・家具→0.6%増>前月は1.4%減、6ヵ月平均は0.5%増
・雑貨→0.2%増>前月は1.2%増、6ヵ月平均は0.3%増

(マイナス項目)
・食品/飲料→0.3%減<前月は0.2%増、6ヵ月平均は0.1%増
・電気製品→0.4%減<前月0.4%増、6ヵ月平均は0.2%増
・一般小売→0.8%減<前月は±0%、6ヵ月平均は0.1%増
(*百貨店は1.8%減<前月は1.4%増、6ヵ月平均は0.1%減)

・服飾→2.5%減<前月は2.9%減、6ヵ月平均は0.6%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→3.2%減<前月は0.9%減、6ヵ月平均は0.1%減

――今回の小売売上高、コントロール小売売上高が鈍化したものの、全体的には底堅さを示します。米5月企業在庫と合わせ、アトランタ地区連銀は米4~6月期実質GDP成長率の予測値を従来の3.9%増から4.3%増へ上方修正しました。足元は減税効果による可処分所得の増加で消費が支えられるなか、追加関税の余波を受けて物価が上昇した場合に裁量消費を中心に押し下げられかねません。既にスポーツ用品/書籍/趣味は、所得税減税の実現を受けながら年初来で4回マイナスに落ち込んでおり、裁量消費鈍化の兆しを見せています。

▽米6月CPI、コアは前年比で2017年1月以来の高水準

米6 月消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%上昇し、市場予想と前月の0.2%を下回った。3ヵ月連続で上昇したなかで、最も小幅にとどまる。エネルギーが0.3%低下し前月の0.9%の上昇から低下に反転し、全体の伸びを抑えている。電力など公益が落ち込んだためで、ガソリンは前月の1.7%上昇から0.6%の上昇へ伸びを縮小しつつ、3ヵ月連続でプラス圏を確保した。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は6月に一時2.833ドルと、2014年10月以来の3ドル乗せが迫った前月の2.962ドルから下落した。食品・飲料は前月の±0%から0.2%の上昇へ転じている。

CPIコアは前月比0.2%上昇し、市場予想と前月に並んだ。15ヵ月連続で上昇している。項目別では、帰属家賃が0.3%上昇し前月の0.2%から上向いた。家賃は、前月に続き0.3%に上昇。ただし、ホテルなど宿泊が3.7%の低下となり、住宅全般では前月の0.2%から0.1%へ伸びを縮小している。医療費は0.4%上昇し、前月の0.2%を超え4ヵ月連続でプラスをたどる。娯楽は前月の±0%から0.2%の上昇に反転。輸送産品は0.5%上昇、前月の0.1%の低下から転じた。特に中古車が前月の0.9%の低下から0.7%の上昇に改善、5ヵ月ぶりにプラスへ転じた。新車は前月の0.3%の上昇から0.4%の上昇を示す。輸送サービスは0.2%上昇し、前月の±0%から改善。修繕費や保険費用が前月を上回る伸びだったほか、航空運賃も前月の1.9%の低下から0.9%へ下げ幅を狭めた。一方で、服飾は前月の±0%から0.9%低下。教育は0.2%上昇したが、前月の0.4%から鈍化した。

CPIは前年比で2.9%上昇し、前月の2.8%を下回り2012年2月以来の高い伸びを遂げた。コアCPIは2.3%上昇、前月の2.2%を超え2017年1月以来の高水準を維持した。

CPIが2012年2月以来、コアCPIが2017年1月以来の高水準。

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(作成:My Big Apple NY)

――なお、CPIにも関税効果が現れています。太陽光パネルと洗濯機に追加関税が発動済みですが、洗濯機機器は前月比1.8%上昇、3~6月の間に18.8%も上昇してきました。中古車も過去4ヵ月間の低下を経て大きく上昇してきましたが、自動車関税発動を先取りした動きなのか。米中間を中心に、追加関税措置や報復関税措置の影響が具現するのは、これからです。

(カバー写真:Charles Brown/Flickr)

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