Both Existing And New Home Sales Decline In June.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米6月中古住宅販売件数は年率538万件と、市場予想の544万件を下回った。前月の541万件(543万件から下方修正)から0.6%減少。3ヵ月連続で減少し、5ヵ月ぶりの低水準を示す。前年比では2.2%減と、4ヵ月連続でマイナスだった。在庫逼迫に見舞われ中央価格が過去最高値を更新するなか、新規購入者をはじめ需要を抑えたとみられる。ただ木材価格の高騰、鉄鋼・アルミ関税発動で原材料も値上がりし、建築業者の利鞘が圧迫される状況で、事態が早急に緩和する様相は見えない。
内訳をみると一戸建てが476万件と、前月の479万件(修正値)を0.6%下回った。3ヵ月連続で減少した結果、ヘッドラインと同じく5ヵ月ぶりの低水準に並ぶ。複合住宅は62.0万件と前月と変わらなかった。
4大地域別では、2地域で増加し、前月の1地域から増加した。今回は北東部が前月に続き増加し5.9%増の72万件。中西部は0.8%増の127万件と前月から増加に反転した。住宅市場の規模が最大の南部は2.2%減(4ヵ月連続で減少)の225万件、IT企業が集まる西部も2.6%減(4ヵ月連続で減少)の114万件と弱かった。
在庫件数は前月比4.3%増の195万件と、6ヵ月連続で増加した。前年比では0.5%増と、2015年6月以来のプラスを示す。在庫件数は2016年12月に165万件と1999年以来での最低を更新していたが、中古住宅での需給ひっ迫の厳しさが緩和してきたが、需要のペースに追いついていない可能性がある。販売が減少したものの在庫が増加したため、在庫相当は前月の4.1ヵ月から4.3ヵ月と少なくとも約1年ぶりの水準へ延びた。
中央価格は前年比で5.2%上昇の27.69万ドルと2ヵ月連続で過去最高更新、米6月雇用統計で示された平均時給の上昇率を大幅に超えた水準を保つ。中央価格の前月比では4.5%上昇し、4ヵ月連続で上昇した。販売日数は前月に続き26日、前年同月の28日を下回った。
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件2%、統計を開始した2008年10月以来で最低=前月は2%、前年同月は3%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅)1%=前月は1%、前年同月は1%
・新規購入者31%=前月は31%、前年同月は32%
・現金購入者22%>前月は21%、前年同月は18%
・住居用ではなく投資向け13%<前月は15%、前年同期は15%
中古住宅販売件数、一戸建てが減少し全体を押し下げ。
(作成:MyBigAppleNY)
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、今回の結果を受け「高まる住宅需要と、4ヵ月連続で減少する住宅販売動向にミスマッチがあり、原因は住宅在庫縮小にある」と説明した。ただ売り出し物件は複数のオファーを受け飛ぶように売れており、「価格の高騰を招き販売件数の鈍化につながっている」とも指摘する。
▽米6月新築住宅販売件数は減少、中央価格は3ヵ月連続で下落
米6月新築住宅販売件数は年率63.1万件と、市場予想の66.8万件に届かなかった。前月の66.6万件(68.9万件から下方修正)を5.3%上回り、前月から減少に反転。在庫逼迫に見舞われるなか、中古住宅販売と歩調を合わせ減少している。
4大地域別では、1地域のみ増加し前月までの2地域を下回った。今回は南部が17.0%増(3ヵ月連ぶりに増加)の40.9万件となった程度。西部は8.7%減(2ヵ月連続で減少)の15.7万件、北東部は10.0%減(前月から減少に反転)の3.6万件。中西部は±0%の8.7万件だった。
新築住宅販売件数、景気回復サイクルでの高水準をキープ。
在庫総数は、前月比1.0%増の30.1万件。販売件数が減少した半面、在庫が増加したため在庫相当は5.7ヵ月と、前月の5.3ヵ月から延び直近で最長となった。
中央価格は30.21万ドルと、過去最高を更新した3ヵ月前の33.54万ドルから下落をたどる。前年比では4.2%下落し2ヵ月連続、前月比でも2.5%下落し3ヵ月連続で下落した。
――在庫逼迫が重石になっていると想定される半面、減税効果を受けながら新築住宅価格が下落し在庫数も改善するなかで、新築販売件数が伸び悩んでいるのは、住宅市場の変化を示すものなのでしょうか。NYの住宅市場関係者からは、金利と価格の両面での上昇を背景に「売り手市場の様相は影を潜めつつある」との声も聞かれ、少なくとも住宅市場の熱気は後退していると言えそうです。
(カバー写真:TSalon/Flickr)
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