U.S. Trade Deficit Widens As Merchandise Exports Decrease.
米6月貿易収支は463.38億ドルの赤字となり、市場予想の465億ドルを下回った。前月の431.86億ドル(430.53億ドルから修正)から7.3%増加。4ヵ月ぶりに増加し、増加率は1年7ヵ月間で最大となった。赤字水準自体は、3ヵ月ぶりの高水準となる。原油関連を除く貿易赤字は421.13億ドルと、前月の385.42億ドル(修正値)を超え、3ヵ月ぶりの水準へ増加した。1月に太陽光パネル・洗濯機、3月に鉄鋼・アルミへのセーフガードが発動し、6月には鉄鋼・アルミへの追加関税措置がEU、カナダ、メキシコへ波及、通商法301条を根拠とした対中追加関税措置の発動が迫るなか、輸入の増加が輸出を上回った。
内訳をみると、輸出が0.7%減の2,138.06億ドルと5ヵ月ぶりに減少。過去最高の記録更新を3ヵ月で止めた。輸入は0.6%増の2,601.58億ドルと2ヵ月連続で増加し、輸入額は4ヵ月ぶりの高水準だった。
輸出減少・輸入増加のミックスで、貿易赤字は増加に反転。
国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、793.08億ドルだった。前月の754.71億ドル(修正値)を上回り、鉄鋼・アルミのセーフガードが発動する前の2月以来の水準へ増加した。
当該単月の輸出の内訳をみると、モノは前月比1.2%減と5ヵ月ぶりに減少した。項目別ではこれまで増加が著しかった食品・飲料が減少、過去2ヵ月間で2桁増を示した大豆が今回は1.6%増と小幅な伸びにとどまった。コーンも4月の2桁増、5月の10%近い伸びから3.5%減に、鶏肉も0.3%減と小幅ながら減少していた。そのほか消費財、自動車、資本財が減少し、モノで増加したのは産業財のみ。その他、サービスが増加基調を保った。
(増加項目)
・産業財 4.4%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は2.8%減
・サービス 0.3%増、11ヵ月連続で増加<前月は0.5%増
(減少項目)
・消費財 8.1%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は3.4%増
・自動車 5.2%減、過去5ヵ月間で4回目の減少<前月は2.6%減
・資本財 1.9%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は4.4%増
・食品・飲料 0.3%減、過去5ヵ月初の減少<前月は14.1%増
輸入の内訳をみると、モノは0.7%増と2ヵ月連続で増加した。原油価格が2014年11月以来の高値をつけるなか、量ベースでのエネルギー関連輸入が1.8%減と減少に転じた。前年比でも4.9%減と、2ヵ月連続で減少している。金額ベースでは4ヵ月連続で上昇した。エネルギー製品を除いたモノの輸入は0.4%増と、2ヵ月連続で増加。項目別では消費財、産業財、自動車などが増加した。詳細は、以下の通り。
(増加項目)
・産業財 1.9%増>前月は±0%、過去5ヵ月間で3回増加
・消費財 3.8%増、4ヵ月ぶりに増加>前月は0.9%減
・自動車 1.7%増、4ヵ月ぶりに増加>前月は1.1%減
(減少項目)
・資本財 2.5%減、過去5ヵ月間で2回目の減少>前月は3.6%増
・食品・飲料 1.7%減、過去5ヵ月間で3回目の減少>前月は0.9%増
国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は前月比0.9%増の334.84億ドルと、5ヵ月ぶりの水準へ拡大した。大豆など食品関連の輸出鈍化などが響いたと考えられよう。日本への赤字は3.4%減の53.08億ドルと2ヵ月連続で減少。欧州全体への赤字額も7.5%減の150.48億ドルと、2ヵ月連続で減少した。対英貿易黒字は7.54億ドル、10ヵ月連続で黒字となった。
主な産油国への貿易収支は、石油関連の輸入量が減少したものの金額ベースで増加した結果、全体的に赤字が増加した。カナダへの貿易収支は前月比39.7%増の20.41億ドルの赤字、2ヵ月連続で拡大するなかで赤字額は4ヵ月ぶりの高水準となった。メキシコに対する赤字額は10.5%増の74.19億ドルとなり、赤字は2ヵ月連続で拡大している。石油輸出国機構(OPEC)への貿易赤字は157.4%増の18.04億ドルと、年初来で2番目の高水準となった。
なお鉄・鉄鋼の輸入は前月比4.5%増となった。米国の鉄鋼輸入国シェアでトップはカナダ(20%)、2位はブラジル(13%)、3位と4位に韓国とメキシコ(11%)が入る。このうち6月から追加関税対象となったカナダでは、カナダ側の統計からみて鉄鋼の対米輸出が36.8%減少、2~5月にかけての増加をほぼ打ち消した。アルミの対米輸出も同じく前月比7%減少しつつ、2~5月の26.8%増と比較すれば小幅にとどまる。
国別動向の年初来・貿易赤字は、3~5月に続きカナダがトップ10圏外に陥落、今回は14位となる。詳細は、以下の通り。以下は、各国ごとの単月の貿易収支動向は以下の通り。
――大豆の輸出急増が一服したほか、コーンは減少に転じるなど食品を含む商品関連で輸出が失速しました。鉄鋼・アルミ関税ほか7月からは通商法301条を根拠に340億ドル相当の対中知財制裁関税が発動、輸出が落ち込むこと必至です。4~6月期は追加関税発動前の駆け込み需要で大豆などが輸出を牽引し、純輸出の寄与度を支えましたが、7~9月期に成長原動力となる期待は低い。あとは個人消費と企業の設備投資がどこまで勢いを維持できるかに掛かっていますが、住宅市場の鈍化を確認しており関連消費が鈍るリスクが残ります。
(カバー写真:Louis Vest/Flickr)
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