Increase In Job Openings And Separations Could Push Average Hourly Wage Further.
米労働省が発表した米7月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は693.9万人と、市場予想の667.5万人を上回った。前月の682.2万人(666.2万人から上方修正)を1.7%上回り、過去最高を更新した。求人数自体は5ヵ月連続で失業者数を上回り、労働市場の一段の逼迫を示した。なお、雇用動態調査は2011年以降の数字が修正された。
求人数VS失業者数、雇用動態調査の5ヵ月連続で求人数に軍配。
新規採用者数は、前月比±0%の567.9万人だった。前月の567.7万人(修正値)とほぼ変わらず、過去最高を遂げた2001年1月に近い水準を保つ。米7月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)と、ほぼ整合的だ。
離職者数は前月比0.4%増の553.4万人と、前月から増加に転じた。2001年4月以来の高水準となる。定年や自己都合による離職者は3.0%増の358.3万人と、あらためて過去最高を更新。解雇者数は逆に3.0%減の160.2万人となり、統計開始以来の低水準を保つ。
求人率は6月に続き4.4%で、過去最高に並んだ。民間が前月通り4.7%だったが、政府が前月の2.8%から2.7%へ低下した。
就業者に対する新規採用率は、前月と変わらず3.8%。民間は2ヵ月連続で4.2%と、過去最高を付けた5月の4.3%に近い水準となった。政府は1.5%と前月の1.6%を下回った。
求人数が減少、新規採用が増加したとはいえ両者の乖離は続く。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は、前月に続き3.7%だった。民間が前月通り4.1%となった半面、政府は前月の1.5%から1.6%へ上昇した。自発的離職率は2.4%と、前月の2.3%を上回り2001年4月以来の高水準だった。解雇率は3ヵ月連続で1.1%、2000年12月に統計が開始してから最低となる3月の1.0%近くを保つ。
自発的離職者数は減少したとはいえ過去最高近くを維持、一方で、解雇者数の増加は気掛かり。
――以上の結果を踏まえ、今となっては懐かしいイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中6項目で、前月までの7項目から減少。未達項目で長期失業者の割合と労働参加率に非農業部門就労者数が加わったためだが、非農業部門就労者数は労働市場逼迫に伴い、鈍化してもおかしくない。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.4%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%
3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.4%
4)採用率—○
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.8%
5)非農業部門就労者数—×
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 22.4万人増
現時点の3ヵ月平均 18.5万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 3.9%
7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 7.4%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 21.5%
9)労働参加率—×
2015年9月(最悪時点) 62.3%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.7%
有効求人倍率は新規採用者数が横ばいだったものの2.0倍と、2000年以降で最高を記録した6月の2.04倍に迫った。
有効求人倍率は高水準を維持。
――労働市場の逼迫した状況は概して変わらずとはいえ、米8月雇用統計では労働参加率が再び低下し、25~54歳の働き盛りでも然りです。細かく分けると、以下の通り。今回の労働参加率の低下はチャート上にない16~24歳が55.5%から53.8%へ低下したことが指摘されがちですが、実は35~44歳と働き盛りど真ん中世代が前月の83.1%から82.7%と、2017年11月以来の低水準をつけていたのです。
米8月雇用統計の平均時給・前年比で2009年以来の高い上昇率をもたらした背景は、過去最高となった求人数、離職者数の増加が挙げられます。その半面、労働市場はまだ資源余剰があると言えるでしょう。
(カバー写真:Abdulaziz Ceylan/Flickr)
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