NFIB Small Business Optimism Unwind The Increase Since The Election.
米1月NFIB中小企業楽観度指数は101.2となり、市場予想の103.0を下回った。前月の104.4にも届かず、過去最高を遂げた2018年8月の108.8から5ヵ月連続で低下。1月25日に収束したとはいえ過去最長の政府機関閉鎖を経験したほか、米中通商協議や世界景気の減速への懸念を背景に、トランプ大統領が誕生した2016年米大統領以降の上昇を打ち消した。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。
トランプ政権は2018年6月から鉄鋼・アルミ関税を欧州連合(EU)、カナダ、メキシコを盛り込み、同園7月と8月には対中知財関税措置の一部である340億ドルを発動。さらに中国には、2,000億ドルの追加関税対象リストを発表した。ただ同年7月の米欧首脳会談にて、貿易協議の進行中は新たな関税を導入しない方針で合意し、NAFTA再交渉も3ヵ国で合意。G20首脳会合開催時の米中首脳会談では、対中追加関税措置(2,000億ドル相当の中国輸入品への関税率を10%→25%へ引き上げ)をめぐり90日の協議期間を設けた。年明け1月7日から米中通商協議が再開したが、妥結への道筋は不透明だ。その上、ベージュブックで確認されるように、追加関税措置は企業の仕入れや輸出先に影響を与え、設備投資の先送りが報告されてきた。世界経済の減速懸念も広がり、中小企業センチメントが押し下げられている。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「企業活動は非常に力強い半面、将来に向けた中小企業オーナーのセンチメントは脆弱となっている」と指摘した。原因として「不確実性」を挙げ、「政治環境項」が採用活動や賃上げなどを含め将来の活動に影響を及ぼすリスクを点灯させた。
内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は2018年9~12月に続き10項目だった。内訳をみると、そのうち、今回上昇した項目は「設備投資を拡大した」のみで、他は全て低下。特に「経済がより良くなる」が2018年11~12月に続き急落し前月から10%ポイントも沈んだほか、「売上拡大見通し」も7%ポイント低下、「採用見通し」も5%ポイント低下するなど、大幅に落ち込んだ項目がみられた。マイナス項目の3つは、「黒字トレンドにある」と「信用状況が緩和する」が改善した。以下は、項目ごとの変化。
「賃金引き上げ」36%、4ヵ月ぶり高水準>前月は35%、6ヵ月平均は35%
「求人件数」35%<前月は39%と過去最高、6ヵ月平均は37%
「設備投資を拡大した」26%>前月は25%と2016年11月以来の低水準、6ヵ月平均は29%
「事業拡大に良いタイミング」20%、2017年9月以来の低水準<前月は24%、6ヵ月平均は28%
「賃上げ見通し」20%、8ヵ月ぶりの低水準<前月は24%、6ヵ月平均は23%
「採用見通し」18%、8ヵ月ぶりの低水準>前月は23%、6ヵ月平均は22%
「売上拡大見通し」16%、2017年9月以来の低水準<前月は23%、6ヵ月平均は24%
「販売価格の引き上げ」15%<前月は17%、6ヵ月平均は16%
「経済がより良くなる」6%<前月は16%、6ヵ月平均は24%
「在庫を増加させる」8%、4ヵ月ぶりの高水準>前月は2%、6ヵ月平均は5%
「在庫満足度」−3%<前月は−1%、6ヵ月平均は−3%
「信用状況が緩和する」−5%>前月は−6%と4ヵ月ぶりの低水準、6ヵ月平均は−5%
「黒字トレンドにある」−5%>前月は−7%と9ヵ月ぶりの低水準<前月は−4%、6ヵ月平均は−3%
――GDPの6割を担うとされる中小企業のセンチメント、数々の不確実性を嫌気して下振れ。
追加関税措置という打撃に加え政府機関の閉鎖に象徴されるような不透明性、さらに世界景気減速への懸念が広がり、中小企業のセンチメントは低下を続けています。米株はS&P500 だけでなく、中小型株指数ラッセル2000も2018年末の下落の半値戻しを達成する過程であっても、楽観度は回復せず。米中通商協議が妥結すれば好転する期待を残しつつ、経済見通しだけでなく追加関税措置の影響が燻りながら販売価格見通しが低下した点は、要注意です。
(カバー写真:Governor Rick Perry/Flickr)
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