ISM Manufacturing Index Contracts, Employment Also Tumbles.
8月のISM製造業景況指数、マークイット製造業PMI確報値、米7月建設支出をおさらいしていきます。
米8月ISM製造業景況指数はと49.1と、市場予想の51.3を下回った。前月の51.2にも届かず、2016年8月以来の分岐点割れを迎えた。トランプ政権発足後の上昇を完全に相殺している。米中首脳会談で追加関税措置第4弾の発動が決定、中国側も報復措置として8月23日に約700億ドルの米国製品に5~10%の追加関税を発表するなど、米中貿易摩擦が激化するなか、製造業センチメントは急低下。米4~6月期実質GDP成長率・改定値や米7月耐久財受注が示すように企業の設備投資が軟調だが、企業が一段と支出に慎重となるリスクをはらむ。
ISM製造業景況指数、2016年以来の50割れで景気後退懸念強まる。
内訳をみると、新規受注をはじめ生産、雇用、仕入れ価格などそろって大きく低下した。特に新規輸出受注は、金融危機以来の水準へ沈んだ。詳細は、以下の通り。
・生産 49.5、2016年8月以来の50割れ<前月は50.8、6ヵ月平均は52.3
・新規受注 47.2<前月は50.8、6ヵ月平均は51.6
・雇用 47.4、2018年9月以来の50割れ<前月は54.5、6ヵ月平均は52.9
・在庫 44.9<前月は45.7、6ヵ月平均は44.0
・新規輸出受注 43.3、2009年4月以来の低水準<前月は48.1、6ヵ月平均は49.0
・入荷遅延 51.4<前月は53.3、6ヵ月平均は52.7
・受注残 46.3>前月は43.1、6ヵ月平均は48.1
・仕入れ価格 46.0>前月は45.1、6ヵ月平均は49.4
ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「回答者はわずかながら米中貿易摩擦への懸念をわずかに強めた程度だったが、分岐点を大きく割り込んだ新規輸出受注に表れる通り、(製造業にとって)通商が最重要問題である」と振り返った。また「中国からの製造業拠点シフトに言及し続けている」と指摘。仕入れ価格が3ヵ月連続で分岐点割れだった点につき、「全体的な需要鈍化を示す」との見解を寄せた。今回、18業種別でビジネス拡大を報告したのは前月に続き9業種と、前月と変わらず。縮小を報告した業種は7つにとどまり、前月の9業種から減少した。8月は6~7月に続き服飾・革製品、組立金属、一次金属、紙製品の4業種のほか、7月に続き輸送機器と電気機器が入ったほか、新たにプラスチック・ゴム製品が加わった。逆に非金属鉱物製品、その他製造業、機械は前月の縮小リストから外れた。
▽米8月IHSマークイット製造業PMI・確報値、2009年9月以来の低水準
米8月IHSマークイット製造業PMI確報値は50.3と、市場予想の50.0を上回った。速報値の49.9から上方修正されている。前月の50.4とほぼ変わらなかったが、2009年9月以来で最低となる。結果を受け、クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは「生産や新規受注をはじめ、主要項目が金融危機直後の2009年以来の水準へ沈み、製造業は7~9月期に引き続き経済成長を下押しする可能性が出てきた」とコメントした。特に「新規輸出受注が著しく、多くの企業は世界景気の減速だけでなく貿易摩擦を理由に挙げた」という。雇用が下振れし、仕入れ価格も約3年ぶりの水準へ落ち込む通り「見通しへの懸念が強まったため1年先の楽観度は2012年以来の水準へ低下した」と指摘。一貫して、米景気に慎重な姿勢を示した。
▽米7月建設支出、民間が弱く2ヵ月連続で減少
米7月建設支出は前月比0.1%増の年率1兆2,890億ドルとなり、市場予想の0.3%増を下回った。前月の0.7%減(1.3%減から上方修正)を含め、3ヵ月連続で減少している。建設支出の前年比は2.7%減と、9ヵ月連続で減少した。米4~6月期実質GDP成長率・改定値と合わせて構築物投資の弱さを露呈している。
内訳をみると、住宅が0.6%増と前月の横ばいから転じた。逆に、非住宅は0.3%減と3ヵ月連続で減少した。ただし、前年比では住宅が6.6%減と9ヵ月連続で減少。非住宅は0.1%増と2018年2月以来の増加基調をたどったものの、レンジ内で最低の伸びにとどまった。
民間は前月比0.1%減と、前月の0.1%増を打ち消した。住宅が0.6%増と前月の横ばいから増加に転じた半面、非住宅は0.8%減と前月の0.2%増からマイナスに転じた。公共は0.4%増と、前月の3.1%減を上回り3ヵ月ぶりに増加した。住宅が0.1%減と3ヵ月連続で落ち込んだ一方、非住宅は0.4%増と3ヵ月ぶりに増加した。
前年比では、住宅の落ち込みが鮮明に。
――ISM製造業景況指数は、遂に中国やユーロ圏、そしてグローバルに合わせ景気判断の分岐点を割り込みました。マークイット製造業PMIは50を持ちこたえたとはいえ、2009年9月以来の低水準。米中追加関税措置をはじめ中国や欧州などの世界経済の減速の余波が、ようやく米国にたどり着いたようです。
建設支出も、住宅を中心に弱含みました。住宅市場は金利低下の恩恵を受け好転の兆しが見えますが、米4~6月期実質GDP成長率の蓋を開けてみると、企業の構築物投資も成長押し下げ要因となっています。住宅が回復せず、非住宅まで弱
(カバー写真:darkday/Flickr)
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