Personal Spending Slows, But Incomes And Saving Rate Rise.
米8月個人消費支出は前月比0.1%増と、市場予想の0.3%増を下回った。前月の0.5%増(0.6%増から下方修正)に届かなかったものの、6ヵ月連続で増加している。前年比では3.7%増となり、6ヵ月ぶりに4%台割れを迎えた。インフレを除く実質ベースでの個人消費は市場予想の0.2%増を下回り0.1%増と、6ヵ月連続で増加したものの2月以来の低い伸びとなった。前年比では7月の2.5%増を下回り2.3%増と、6ヵ月ぶりの低い伸びにとどまったほか、2018年の平均値である3.0%以下が続く。
個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。米8月新車販売台数が1,700万台を回復したほか、プライムデーの反動も限定的で耐久財が好調、ただし非耐久財はガソリン価格の下落が響き6ヵ月ぶりに減少に反転した。サービスは熱波の影響から公益が支え、底堅かった。
・モノ 0.105%増、前月の0.853%増を下回りつつ6ヵ月連続で増加
>耐久財 0.726%増、前月の0.397%増を上回り4ヵ月連続で増加
>非耐久財 0.218%減、前月の1.088%増から転じ6ヵ月ぶりに減少
・サービス 0.152%増、前月の0.340%増を下回りつつ増加基調を維持
個人所得は前月比0.4%増と、市場予想と一致した。前月の0.1%増を超え、11ヵ月連続で増加している。前年比では2ヵ月連続で4.6%増と、1月以来の低い伸びを維持。実質ベースでは前月比0.4%増と、10ヵ月ぶりに減少した前月の0.1%減から改善した。前年比は7月と変わらず3.1%増、1月以来の低い伸びにとどまった。
可処分所得は前月比0.5%増となり7ヵ月連続で増加した。前年比は4.5%増と、2017年4月以来の低い伸びだった前月の4.4%増から小幅改善した。実質ベースの可処分所得は前月比0.4%増と増加トレンドを10ヵ月で止めた前月(横ばい)から増加に反転。前年比は7月に続き3.0%増と、2017年7月以来の低い伸びに並んだ。貯蓄率は8.1%と、2018年11月以来の8%割れを迎えた前月の7.8%から上昇した。
個人消費支出の伸びが所得を下回り、貯蓄率は高水準を維持。
所得の内訳は、前月比で以下の通り。
・賃金/所得 0.6%増、前月の0.2%増を上回り9ヵ月連続で増加(民間が0.7%増、サービス部門が0.7%増、財部門(製造業、鉱業、建設)が0.4%増)
・不動産収入 0.6%増、前月の0.6%増を含め5ヵ月連続で増加(農場が5.3%減と2ヵ月連続で減少、非農場は0.7%増と6ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.2%増、前月の0.2%増を含め8ヵ月連続で増加
・資産収入 0.2%減、前月の0.8%減を含め2ヵ月連続で減少(配当が0.4%増と2ヵ月連続で増加、金利収入は0.6%減と2ヵ月連続で減少)
・社会補助 0.4%増、前月の0.3%増を上回り9ヵ月連続で増加
・社会福祉 0.6%増、前月の0.2%増を上回り8ヵ月連続で増加(メディケア=高所得者向け医療保険は0.6%増と増加基調を維持、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.4%増と9ヵ月連続で増加、失業保険は0.4%減と2ヵ月連続で減少、退役軍人向けは0.5%増と増加基調を維持、その他は0.2%減と4ヵ月連続で減少)
個人消費支出(PCE)デフレーターは原油価格が50ドル台で推移するなか、前月比横ばいとなり、市場予想の0.1%に及ばず。前年比は5~7月に続き1.4%上昇、市場予想と一致したが、年初来から続く1%半ばのレンジにとどまった。2012年3月以来の高い伸びを示した2018年7月の2.4%から遠のいたままだ。コアPCEデフレーターは前月比0.1%上昇し、市場予想と前月の0.2%に届かず、0.2%での上昇率を4ヵ月で止めた。コアPCEの前年比は市場予想通り1.8%の上昇と、前月の1.7%(1.6%から上方修正)を超え7ヵ月ぶりの強い伸びとなった。ただ、年初来から続くFOMCのインフレ目標値(2%)以下を維持した。
PCEコアは改善も、8ヵ月連続でFOMCの目標値以下に。
――8月は個人消費の伸びが個人所得以下にとどまり、7月の新学期商戦やプライムデーを受け、消費者が財布の紐をゆるめた後に消費を引き締めたようです。おかげで、貯蓄率は2017年11月以来となる8%割れとなった7月から再び大台を回復しました。米国の家計は借金体質と言われながら、来るべく景気減速に備え貯蓄水準を意識している様子が伺えます。
物価は、米8月消費者物価指数の通りコアPCEが上向きました。ダラス地区連銀が発表するトリム平均PCEは前年比2%付近での推移を続けており、物価の下振れリスクは一旦後退した可能性を残します。インフレ期待の伸び悩みが懸念材料ですが・・。
(カバー写真:D Huw Richardson/Flickr)
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