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米10月個人消費は増加し貯蓄率は低下、年末商戦はどうなる?

by • December 1, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1361

Personal Spending Rises More Than Income, How Does It Affect Holiday Sales?

米10月個人消費支出は前月比0.3%増と、市場予想と一致した。前月の0.2%増を上回り、4ヵ月ぶりの高い伸びとなっただけでなく、8ヵ月連続で増加している。前年比では3.7%増となり、政府機関の閉鎖を受けた2月に並び年初来で最低だった。インフレを除く実質ベースでの個人消費は市場予想の横ばいに対し0.1%増と、8ヵ月連続で増加した。前年比では2.3%増と、9月の2.6%増を下回っただけでなく、2月と並び年初来で最低に。2018年の平均値である3.0%以下が続く。

個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。米10月新車販売台数がGMのストライキ終了を受けながら過去4ヵ月間で3回目の年率1,700万台を割り込んだため、耐久財が6ヵ月ぶりに減少した。非耐久財は、ガソリン価格の下落一服が支え3ヵ月ぶりに増加。サービスは堅調トレンドを維持した。

・モノ 0.177%増、前月の0.066%増を上回り8ヵ月連続で増加
>耐久財 0.716%減、前月の1.197%増から転じ6ヵ月ぶりに減少
>非耐久財 0.643%増、前月の0.571%減から反転
・サービス 0.312%増、前月の0.286%増を上回り2012年9月からの増加基調を維持

個人所得は前月比横ばいと、市場予想と一致した。前月の0.3%増から転じ、増加トレンドを12ヵ月で止めた。前年比では4.4%増と、前月の4.7%増を下回った。実質ベースでは前月比0.2%減と、4ヵ月ぶりに減少した。大手自動車メーカーGMに対しストライキを行なっていた全米自動車労組(UAW)が合意した結果、賃金などが上昇した一方で、金利収入や農業従事者の所得が押し下げた。前年比は3.0%増と、前月の3.3%増を下回った。

可処分所得は前月比0.1%減となり、増加トレンドを9ヵ月で止めた。前年比は4.1%増と、年初来で最大の伸びとなった前月の4.6%増を下回った。実質ベースの可処分所得は前月比0.3%減となり、横ばいを除き2017年7月以来の減少を示した。前年比は2.8%増と、2017年5月以降で2番目に低い伸びにとどまった。貯蓄率は、個人所得が増加した半面、支出が減少したため7.8%と、3ヵ月ぶりに8%台を割り込んだ。

個人消費支出が増加し所得が減少した結果、貯蓄率は8%割れ。

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(作成:My Big Apple NY)

所得の内訳は、前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.4%増と4ヵ月連続で増加(民間が0.4%増、サービス部門は0.3%増、財部門(製造業、鉱業、建設)が0.5%増)
・経営者収入 1.0%減、前月の0.3%増を下回り7ヵ月ぶりに減少(農場が39.3%減と増加トレンドにブレーキ、非農場は0.4%増と7ヵ月ぶりに減少した前月から増加に反転)
・家賃収入 0.6%増と4ヵ月ぶりに増加、前月は0.1%減
・資産収入 1.0%減、前月の1.0%増から転じ過去4ヵ月間で3回目の減少(配当が0.1%減と増加を3ヵ月で止める、金利収入は1.7%減と過去4ヵ月間で3回目の減少)
・社会補助 0.3%増、前月の0.2%増を含め増加基調を維持
・社会福祉 0.3%増、前月の0.2%増を含め増加基調を維持(メディケア=高所得者向け医療保険は0.6%増と増加基調を維持、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.9%減と2ヵ月連続で減少、失業保険は0.8%増と4ヵ月ぶりに増加、退役軍人向けは0.2%増と増加基調を維持、その他は0.1%減と前月の増加分を打ち消し)

個人消費支出(PCE)デフレーターは原油価格が50ドル台で推移するなか前月比0.2%上昇、前月の0.1%を上回ったが市場予想の0.3%には届かず。前年比は9月に続き1.3%の上昇と、2016年9月以来の低い伸びにとどまった。2012年3月以来の高い伸びを示した2018年7月の2.4%から遠のいたままだ。コアPCEデフレーターは市場予想通り前月比0.1%上昇、上昇トレンドを6ヵ月で止めた9月の横ばいから軌道へ戻した。コアPCEの前年比は市場予想と9月の1.7%を下回り、1.6%の上昇。年初来から続くFOMCのインフレ目標値(2%)以下を維持している。

PCEコアは、10ヵ月連続でFOMCの目標値以下に。

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(作成:My Big Apple NY)

――10月は個人所得が減少した割に個人消費が増加し、貯蓄率は8%を割り込みました。年末商戦前に悩ましい結果となっただけに、悪天候に見舞われたブラックフライデーの数字が気になりますが・・気になる結果は後程ご紹介しますね。

(カバー写真:Lee Martin/Flickr)

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