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米3月ADP全国雇用者数、新型コロナ感染拡大で約2年半ぶりに減少

by • April 2, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1826

Private Payrolls Contracted For The First Time Since 2017.

米3月ADP全国雇用者数は前月比2.7万人減となり、市場予想の15.0万人減ほど悪化しなかった。ただし、前月の17.9万人増(18.3万人増から下方修正)に届かず、ハリケーン“ハービー”等の直撃で落ち込んだ2017年9月以来の減少を記録している。世界で新型コロナウイルス感染拡大を受け全米50州が非常事態宣言を発動し、約5分の4の州が外出禁止令や在宅勤務などの措置を実施あるいは勧告するなか、サービス業を中心に雇用が減少した。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、今回はサービスと財とも減少。

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が1.8万人減と前月の16.7万人増(修正値)から減少に転じた。内訳は以下の通りで、教育・健康や専門サービスが増加を維持したものの、外食を含む娯楽・宿泊を中心に減少した。

教育・健康→4.8万人増>前月は4.6万人増
専門サービス→1.1万人増<前月は1.2万人増
金融→横ばい<前月は1.0万人増
貿易・輸送→3.7万人減<前月は2.8万人増
娯楽・宿泊→1.1万人減<前月は4.5万人増
その他→0.8万人減<前月は0.7万人増
情報→0.7万人減<前月は0.2万人減

財部門(製造業、建設、鉱業)は0.9万人減と、前月の1.2万人増(修正値)から減少に転じた。4ヵ月ぶりの減少となる。内訳をみると、下押ししたのは建設で、鉱業と製造業は増加に転じていた。

製造業 0.6万人増、4ヵ月ぶりに増加>前月は0.4万人減
鉱業 0.1万人増、減少トレンドから脱却>前月は0.3万人減
建設 1.6万人減<前月は1.9万人増

企業規模別では以下の通りで、中小・零細企業での落ち込みが目立つ。約2兆ドルの景気刺激策では中小企などの支援が盛り込まれたが、どこまで下支えできるかは不透明。

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(作成:My Big Apple NY)

結果を受け、ADPリサーチ・インスティチュートのアフ・イルディルマス共同ヘッドは「ADPの雇用者数は、3月12日時点で給与を受け取った人々を反映している」と説明。その上で「急増した米新規失業保険申請件数を含め、新型コロナウイルスの影響を完全に網羅しているわけではない」ため、市場予想ほど悪化しなかったとの考えを示唆した。

――ADPが指摘する通り、3月12日時点での給与を元にしたデータであれば、3月19日のカリフォルニア州を皮切りに導入された外出禁止令等の措置を盛り込んだ雇用情勢ではありません。そもそも、ADPは過去約3年間にわたって雇用統計・NFPを約2万人上回る傾向あり。いずれにしても、米3月雇用統計の大幅減が回避されたとして、外出禁止令などの影響が色濃くにじみ出るのは4月となりそうです。

(カバー写真:The National Guard/Flickr)

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