Retail Sales Suffer Historic Plunge Amid Coronavirus Outbreak.
米4月小売売上高は前月16.4％減と、市場予想の12.0％減より下げ幅を広げた。前月の8.3％減（8.7％減から上方修正）を含め、3ヵ月連続で減少しただけでなく、単月の落ち込みとしてはデータが確認できる1992年以降でみて過去最大となる。新型コロナウイルス感染拡大と外出禁止関連措置が消費に重くのしかかり、急減した格好だ。
一方で、自動車を除いた場合は17.2％減と市場予想の8.6％減より悪化し、前月の4.0％減（修正値）より下げ幅を広げ過去最悪だった。国内総生産（GDP）の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高（自動車、燃料、建築材、外食などを除く）は15.3％減と、市場予想の4.6％減を下回った。前月の3.1％増（修正値）からマイナスに転じ、過去最悪を記録した。小売売上高の主な13項目の比率はこちらをご参照。
チャート：小売売上高、前月比16.4％減と前月の8.3％減から一段と悪化
（作成：My Big Apple NY）
前月比の内訳をみると、主要13カテゴリー中1種のみ増加。アマゾンが大量採用を発表した通り外出禁止措置を受けネット通販が活況となり、無店舗が2ヵ月連続で力強い伸びを達成した。それ以外は、全て減少。巣ごもり需要拡大を反映し、3月に急増した食料/飲料はマイナスに反転した。また、ヘルスケアと一般小売も、前月のプラスから減少に転じた。減少率は建築・園芸以外、全て2桁減となり特に落ち込みが目立ったカテゴリーは服飾、電気製品、家具、スポーツ用品など。前月比の項目別詳細は以下の通り。
（プラス項目）
・無店舗（主にネット）→8.4％増、4ヵ月連続で増加し過去2番目の力強い伸び＞前月は4.9％増、6ヵ月平均は2.4％増
（マイナス項目）
・建築材/園芸→3.5％減、3ヵ月連続で減少＞前月は0.5％減、6ヵ月平均は0.1％減
・自動車/部品→12.4％減、3ヵ月連続で減少し過去3番目の減少率＜前月は0.5％減、6ヵ月平均は4.0％減
・食品/飲料→13.1％減、過去最大の減少率＜前月は26.9％増と過去最大の増加率、6ヵ月平均は2.4％増
・ヘルスケア→15.2％減、過去最大の減少率＜前月は5.0％増、6ヵ月平均は1.8％増
・一般小売→20.8％減、過去最大の減少率＜前月は7.1％増、6ヵ月平均は2.2％減
（百貨店は28.9％減、3ヵ月連続で減少し過去最大の減少率＜前月は22.2％減、6ヵ月平均は8.7％減）
・雑貨→24.7％減、3ヵ月連続で減少し過去最大の減少率＜前月は14.1％減、6ヵ月平均は6.0％減
・ガソリンスタンド→28.8％減、4ヵ月連続で減少し過去最大の減少率＜前月は16.5％減、6ヵ月平均は7.8％減
・外食→29.5％減、3ヵ月連続で減少し過去2番目の減少率＞前月は29.7％減、6ヵ月平均は9.8％減
・スポーツ用品/書籍/趣味→38.0％減、3ヵ月連続で減少し過去最大の減少率＜前月は17.8％減、6ヵ月平均は9.4％減
・家具→58.7％減、3ヵ月連続で減少し過去最大の減少率＜前月は21.1％減、6ヵ月平均は12.9％減
・電気製品→60.6％減、過去最大の減少率＜前月は11.0％減、6ヵ月平均は12.0％減
・服飾→78.8％減、3ヵ月連続で減少し過去最大の減少率＜前月は49.4％減、6ヵ月平均は21.4％減
――以上、米4月小売売上高は、3月に続き非常に未曽有の悪化を記録しました。特に服飾は“小売の終末（retail apocalypse）”そのものを表す結果となり、2ヵ月連続で2桁減と惨憺たる結果となっています。実際、足元で破綻した企業一覧は以下の通りで小売が目立ちます。
〇破産申請（検討含む）
チェサピーク・エナジー（エネルギー）
ダイヤモンド・オフショア・ドリリング（エネルギー）
J.C.ペニー（百貨店）
フロンティア・コミュニケーションズ（通信）
ニーマン・マーカス（百貨店）
Jクルー（服飾）
アルド・グループ（靴小売）
CMXシネマズ（映画館）
ディーン・アンド・デルーカ（高級食材店）
ゴールドジム（ジム運営）
服飾を始め外出禁止措置が影響した項目で落ち込みが激しかったわけですが、こちらでご紹介した通り全米の約7割に相当する州で経済活動が再開しており、4月を底として回復する見通しです。問題はそのペースで、レストランや映画館、航空会社の座席など社会的距離を徹底するとみられ、下げ幅を巻き戻すにあたって、まだまだ時間が掛かりそうです。
（カバー写真：Cory Doctorow/Flickr）
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