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4月対米証券投資、コロナ禍であの国の米国債保有高が減少

by • June 24, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off4933

These Countries Reduces Its U.S. Treasury Holdings Amid Coronavirus Outbreak.

遅ればせながら、対米証券投資をおさらいしていきます。

4月対米証券投資は、1,502億ドルの売り越しだった。前月の2,271億ドルの売り越しに続き、2ヵ月連続で流出した。海外動向の詳細は、以下の通り。

・民間 1,049億ドルの売り越し、2ヵ月連続で流出
→米国債以外、政府機関債、社債、株式すべて買い越し
・海外中銀を含む公的機関 453億ドルの売り越し、2ヵ月連続で流出
→売り越しの大半は米国債、その他は株式も流出、ただし政府機関債と社債は買い越し

海外投資家の米国債投資は1,763億ドルの売り越しながら、過去最大だった3月の2,989億ドルを下回った。ただし、2ヵ月連続で流出。前年比で海外全体の保有高をみると、4.5%増となった。米国債の内訳は、以下の通り。

・民間 1,303億ドル売り越し、前月の2,377億ドルと合わせ2ヵ月連続で流出
・海外中銀を含む公的機関 464億ドルの売り越し、前月の612億ドルと合わせ流出トレンドを維持。

4月の金融市場は、コロナ禍によるリスク資産の急落から一転し買い戻し基調に。ダウは25,000ドル回復の途上にあった、米10年債利回りも3月の0.4%割れから0.6%台を中心とした推移へ戻した。油価は4月、サウジアラビアとロシアの価格競争と限月交代の影響で一時マイナスに振れ、その後も20ドル台で低迷した。なお、米国人の海外証券投資は218億ドルの買い越しとなり、流入基調を維持した。

国別での米国債保有高トップ5動向は、2018年8月~20年3月の顔触れから一部変化した。3月に5位だったブラジルが遂に圏外へ転落し、代わりにルクセンブルクがランクインしている。その他、1位は日本で変わらず、2019年6月対米証券投資で2017年5月以来初めて中国を抜いてからトップを保つ。

チャート:トップ5の米国債保有高の推移。

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(作成:My Big Apple NY)

トップ5以外にも、コロナ禍で米国債保有高に変化が現れている。

チャート:米国債保有高上位15ヵ国・地域の動向

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(作成:My Big Apple NY)

中国以外の3ヵ国・地域の米国債がコロナ禍で減少する背景は、以下の通りだろう。

・ブラジルは目下通貨安を受け、レアル買い・ドル売り介入をしているため
・ケイマン諸島(租税回避地)は、ヘッジファンドなどが米国債利回り低下で米国債から資金シフト
・サウジアラビアは原油収入減少で、米国債の買い入れが困難

その他、米財務省が公表する主要保有国リスト(米国債保有高300億ドル以上)入りした国は前月に続き32ヵ国・地域となり、2019年11月当時の35ヵ国を下回った。圏外に陥落した国はUAE、コロンビア、インドネシアの3ヵ国。コロナ禍を受け①自国通貨買い・ドル売り介入、②原油輸入の減少、③財政逼迫――に伴い、米国債投資が困難になった様子が浮かび上がる。

(カバー写真:dog97209/Flickr)

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