Personal Spending Jumps To 5.6% In June, But Likely To Slow Next Month.
米6月個人消費支出は経済活動の再開を手掛かりに、過去最大の伸びを達成した前月に続き増加した。一方で、個人所得は景気刺激策に盛り込まれた1人当たり1,200ドルの小切手支給の効果が剥落、失業保険は引き続き支給されたものの、2ヵ月連続で減少している。消費が改善する半面、所得が減少したため、貯蓄率は過去最高を記録した4月以降、2ヵ月連続で低下。ただし、2桁台を維持し高水準を保つ。詳細は以下の通り。
〇個人消費支出
→経済活動の再開を手掛かりに2ヵ月連続で増加、経済活動再開の一時停止はテキサス州やフロリダ州が6月26日に着手し徐々に全米へ広がっており、規制再導入などの影響は7月に現れる見通し。
・前月比5.6%増と2ヵ月ぶりに増加、市場予想の5.0%増を上回る、前月は8.5%増と過去最高
・前年比4.8%減と4ヵ月連続で減少、5月は9.5%減、4月は過去最悪の16.3%減
・インフレを除く実質ベースでの個人消費は前月比5.2%増と2ヵ月連続で増加、5月は過去最高の8.3%増
・前年比では5.5%減と4ヵ月連続で減少、5月は10.0%減、4月は過去最悪の16.7%減
個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 6.4%増と2ヵ月連続で増加、前月は14.1%増
・耐久財 8.7%増と2ヵ月連続で増加、前月は28.9%増
・非耐久財 5.2%増と2ヵ月連続で増加、前月は7.6%増
・サービス 5.2%増と2ヵ月連続で増加、前月は5.8%増
〇個人所得
→景気刺激策に盛り込まれた小切手効果が剥落し、2ヵ月連続で減少。ただし、経済活動の再開を手掛かりに、給与などの所得は2ヵ月連続で増加した。
・前月比1.1%減、市場予想の0.6%減より悪化、前月は4.4%減
・前年比では7.4%増、5月は8.8%増
・実質ベースでは前月比1.5%減と2ヵ月連続で減少、5月は4.6%減
・前年比は6.6%増、5月は8.3%増
所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。
・賃金/所得 2.2%増と2ヵ月連続で増加、前月は2.6%増(民間は2.6%増、サービス部門は2.6%増、財部門は2.4%増)
・経営者収入 5.5%増と2ヵ月連続で増加、前月は2.1%増(農業は147.7%増、非農業は2.8%増)
・家賃収入 0.4%減と3ヵ月連続で減少、前月は0.2%減
・資産収入 1.3%減と4ヵ月連続で減少、前月は1.4%減(配当が1.2%減と3ヵ月連続で減少、金利収入は1.3%減と3ヵ月連続で減少)
・社会補助 8.9%減と2ヵ月連続で減少、前月は17.5%減
・社会福祉 9.0%減と2ヵ月連続で減少、前月は17.6%減(メディケア=高所得者向け医療保険は0.5%増と増加基調を維持、メディケイド=低所得者層向け医療保険は1.3%増と4ヵ月連続で増加、失業保険は8.5%増と景気刺激策を背景に4ヵ月連続で増加、退役軍人向けは0.7%増と増加基調を維持、その他は小切手支給が一巡するなか45.1%減)
〇可処分所得
・前月比1.4%減と2ヵ月連続で減少、5月は5.1%減
・前年比は8.9%増、5月は10.7%増
・実質ベースの可処分所得は前月比1.8%減と2ヵ月連続で減少、5月は5.2%減
・前年比は8.1%増、5月は10.2%増
〇貯蓄率
・5月に続き個人消費の増加に反し個人所得が減少した結果、貯蓄率は19.0%と5月の24.2%から低下
チャート:個人所得が前月比で減少するなか個人消費が回復を続け、貯蓄率は低下
〇個人消費支出(PCE)デフレーター
→油価の回復を支えに上昇、ただしコアは前年比が金融危機後まもない2010年末以来の水準へ鈍化した。
・PCEデフレーターは前月比0.4%の上昇と2ヵ月連続で上昇、市場予想と一致、5月は0.1%の上昇
・前年比は0.8%上昇、市場予想の0.9%を下回る、5月は0.5%の上昇
・コアPCEデフレーターは前月比0.2%上昇、市場予想と5月の数値と一致
・コアPCEの前年比は0.9%上昇し2010年12月以来の低水準、市場予想と5月の数値である1.0%に届かず
チャート:PCEコアの前年比、2010年末以来の低水準
――経済活動再開の一時停止あるいは規制再導入は、少なくとも7月24日時点で全米27州に及んでいます。
チャート:全米、経済活動の一時停止の状況
これに合わせ、レストランや美容室など規制が広がる州・地域ではサービス関連の消費が下押しされる見通し。さらに7月末には失業保険の拡充が期限切れを迎え、米議会の交渉が遅々として進まない状況で所得を抑制していたとしてもおかしくありません。
(カバー写真:Eden, Janine and Jim/Flickr)
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