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バロンズ:インフレ加速で、米株高にブレーキ?

by • January 17, 2021 • Finance, Latest NewsComments Off2133

Barron’s :Higher Inflation Could Take A Toll On U.S. Stocks.

バロンズ誌、今週のカバーは半期に一度行う金融市場の重鎮10名によるラウンドテーブルを掲げる。新型コロナウイルス感染拡大の長いトンネルを抜け、ワクチンの普及により米国は1920年代のような人生を謳歌する時代に入るだろう。ただし、メインストリートの大騒ぎがウォール・ストリートに波及すると予想すべきではない。ウォール・ストリートは2020年にメインストリートの回復を織り込んで米株高に沸いただけに、2021年は退屈な年となりかねないためだ。ラウンドテーブルに参加した重鎮10名の間では、2020年にS&P500は16.3%高を遂げたが、今年は6~8%高、10%以下との見方が優勢だ。バイデン政権下では経済回復を目指す政策が打ち出される見通しでインフラ投資が視野に入る半面、政治的対立や増税なども予想され、米株相場はボラタイルとなる局面もあるという。また、日本についても1名から「労働生産性の改善やコスト削減もあって、上昇気流に乗っている」との指摘が聞かれた。個別銘柄の推奨を含め、詳細は本誌をご参照下さい。

ラウンドテーブル10名のうち常連メンバーは、以下の4名。
1.ゴールドマン・サックスのアビー・コーエン顧問兼シニア投資ストラテジスト
2.ガムコ・インベストメンツのマリオ・ガベリ会長兼CEO
3.デルファイ・マネジメントのスコット・ブラック社長
4.イーグル・キャピタル・パートナーズのゼネラル・パートナーであるメリル・ウィットマー氏

近年加わった参加者としては、以下の4名
5.パルナッソス・インベストメンツのトッド・アールステン最高投資責任者(CIO)
6.アリエル・インベストメンツのルパル・バンサリCIO
7.デュラブル・キャピタル・パートナーズのヘンリー・エレンボーゲンCIO
8.エポック・インベストメント・パートナーズのウィリアム・プリーストCEO兼共同CIO

2020年1月から加わった参加社は、以下の2名
9.フランクリン・テンプルトン・フィクストインカムのポートフォリオ・マネージャー兼CIOのソナル・デサイ氏
10.ベイリー・ギフォードのパートナー兼ポートフォリオ・マネージャーのジェームズ・アンダーソン氏

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週はインフレ上昇に警鐘を鳴らす。抄訳は、以下の通り。

米国がいま直面する問題に対応するなか、インフレは近い将来上振れも―As U.S. Fights Today’s Problems, Tomorrow’s Inflation Starts to Stir.

宝くじと同様に、勝者となるには勝負に出なければならない。最近ではペニーストックへの投資やオプション取引、さらに仮想通貨(暗号資産)のほか、米国では15億ドル近いメガミリオン宝くじが勝者となる上で話題だ。

シティグループのパニック・ユーフォリア指数が過去最高に接近し、コール・オプションの取引高が過去2番目の高水準を遂げたように、市場は強気センチメントに傾いている。中小型株指数ラッセル2000がシーザーズ・エンターテイメントやペン・ナショナル・ゲーミングなどが主導し過去最高値を更新するなか、誰がギャンブルに賭けるだろう?

オプション取引になだれ込んでいるのは、ロビンフッドに代表される手数料無料のオンライン・ブローカー顧客だ。とある機関投資家も20代の息子が景気刺激策で得た現金給付600ドルを支出にまわさず、株式投資にまわしていたと指摘する。

オプション取引やペニーストックより、最も投資機会を与えているのはビットコインなど暗号資産だろう。ビットコインは8日に4万ドルの大台に乗った直後、7日に3万1,000ドル台への急落を経て、15日に3万5,000ドル台へ戻した。ビットコインが決済に使用できる通貨として価値があるか、価値保全の役割を担うかは別として、こうした価格変動は市場参加者を増やしたに違いない。

チャート:米国はFRBの超緩和策も手伝い、過剰流動性の状況が加速

mk(作成:My Big Apple NY)

暗号資産の上昇は、超緩和的な金融政策と財政政策を反映したものだろう。2020年3月に成立した景気刺激策は2.2兆ドル規模に及び、2020年12月成立の追加経済対策は9,000億ドルに及んだ。

その上、バイデン次期大統領は14日夜に第3弾の追加経済対策を発表し、2020年12月成立時に盛り込まれた個人給付600ドルに1,400ドル追加させ2,000ドルとする案を盛り込んだ。また、失業保険の上乗せと期間延長、州政府・地方政府の支援も含めた。ゴールドマン・サックスのエコノミスト、アレック・フィリップ氏によれば、米議会は1.9兆ドルではなく1.1兆ドルへ規模を縮小させた上での可決する見通しだ。1.9兆ドル規模の提案を下回るとはいえ、GSが当初予想していた7,500億ドルを大きく上回る。

バイデン氏が提案した第3弾の追加経済対策の一部については、実現しそうにない。例えば子供1人当たり3,600ドル相当の税控除は、夫婦で40万ドル以上(単身で20万ドル以上)になって漸く対象外とされるように、裕福な世帯ですら恩恵に預かれるほど大盤振る舞いな内容であるためだ。

GSは第3弾の追加経済対策が可決時期について2月半ばか3月半ばと見込むが、トランプ大統領の弾劾裁判次第だろう。バイデン氏は単純過半数で成立する財政調整措置ではなく、通常の審議を望むため、フィリバスター回避に必要な60票が必要となる。

2020年3月に成立した景気刺激策で盛り込まれた救済措置の期限切れと、新型コロナウイルス感染者の急増は、経済に打撃となって表れている。米12月小売売上高は3ヵ月連続で減少し、なかでも国内総生産(GDP)に反映されるコントロール群(自動車、ガソリン、建築材、外食)は前月比1.9%減と下振れしていた。

経済指標の悪化が確認される一方で、米株相場の最大の脅威はインフレだろうと、ブリクリー・アドバイザリーのピ―ター・ブックバール最高投資責任者は語る。米12月消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.4%上昇、コアCPIは同1.6%上昇した。これまで財の価格は横ばいあるいは低下傾向にあった半面、サービス部門で上振れが顕著となっていた。しかし足元では、感染者増加に伴いDRAMチップのほか原油や金属、穀物などコモディティの供給不足に直面、財の価格が上昇に転じている。こうした価格上昇は最終的に米10年債利回りに反映され、米株相場に打撃を与える見通しだ。

チャート:米10年物ブレークイーブンインフレ率は2.1%と2018年10月以来の高水準

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(作成:My Big Apple NY)

割高な株価収益率(PER)は、低金利によって説明されてきた。S&P500の1株利益見通しは170ドル、予想PERは23倍で取引されている。しかし、仮にPERが18~20倍に修正され、米10年債利回りが6営業日で0.25ポイント上昇したようなペースで一段と上昇すれば、果たしてどうなるのだろうか?また、米10年債利回りがどの水準まで上昇すれば金融市場に影響するのだろうか?ストラテジストの予想では、米10年債利回りは現時点で1.1%のところ、1.25~1.5%への上昇が見込まれている。

ただ、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は2020年12月FOMCで量的緩和ガイダンスを導入したように、月1,200億ドルの資産買入を継続する方針を強調した。インフレ期待が高まるなかで米国債利回りの上昇を抑制すれば、実質金利のマイナス幅はさらに広がるだろう。そうなれば投機的な過剰流動資金がさらに市場に流入する見通しで、インフレはその後やってくるに違いない。

――追加経済対策の発表後、米株高にブレーキが掛かっています。上院での弾劾裁判開始が決定的となり、成立時期が不透明な上、1.9兆ドルの提案を共和党の反対により満額回答となりそうもなく、トリプルブルーのご祝儀相場から一転、現実に直面し始めたかのようです。バイデン氏の就任式でセレブ大集結しても米国の深まる分断が解消され宥和に向かうはずもなく、トリプルブルーを迎えても次期大統領の船出は不安定とならざるを得ません。同氏が指名した閣僚の就任も目途が立たないとあっては、なおさらです。

(カバー写真:frankieleon/Flickr)

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