Higher Prices Hurt Both Existing And New Home Sales In April.
4月の中古住宅と新築住宅の販売件数をおさらいしていきます。
▽米4月中古住宅販売件数:価格高騰、在庫ひっ迫続き3ヵ月連続減少
全米リアルター協会(NAR)が5月21日に発表した米4月中古住宅販売件数は年率585万件と、市場予想の607万件を下回った。前月の601万件を2.7%下回り、3ヵ月連続で減少。ただし、前年比では経済活動停止の反動から33.9%増と2ヵ月連続で2桁増となった。
〇住宅別の内訳は以下の通り。
・一戸建て 前月比3.2%減の513万件と3ヵ月連続で減少、前年比28.9%増
・複合住宅 前月比1.4%増の72万件と2ヵ月連続で増加、前年比は84.6%増
チャート:中古住宅販売件数、3ヵ月連続で減少
〇4大地域別では、3ヵ月連続で全ての地域で減少した。
・北東部 3.9%減(4ヵ月連続で減少)の73万件
・中西部 0.8%増(4ヵ月ぶりに増加)の129万件
・南部 3.7%減(3ヵ月連続で減少)の260万件
・西部 3.1%減(2ヵ月連続で減少)の123万件
〇在庫件数は、経済活動の再開とコロナ禍で増加
・在庫件数 前月比10.5%増の116万件と2ヵ月連続で増加、前年比では18.8%減と20年1月以降のマイナス圏を維持
・在庫相当 2.4ヵ月、前月の2.1ヵ月から延び6ヵ月ぶりの長さ(3月に1.9ヵ月相当と過去最短を記録)
・販売日数 17日、足元で最短
〇住宅価格は高止まり
・中央価格 前月比4.7%上昇の34.16万ドルと3ヵ月連続で上昇し過去最高値、前年比では19.1%上昇し2012年3月以降続くプラス圏を維持
買い手の内訳、投資家の需要が下支え
・新規購入者 31%<前月は32%、前年同月は36%
・現金購入者 25%>前月は23%、前年同月は15%
・住居用ではなく投資向け 17%>前月は15%、前年同期は10%
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「販売件数は在庫が需要を下回るなか、減少した」と説明した。ただ「ワクチン普及に伴い、潜在的な売り手が内覧への抵抗感が減退し販売に前向きになるとみられ年後半には在庫が回復する見通しであるほか、住宅ローン申請への手控え感が低下する」と予想。住宅市場に楽観的な見通しを示した。
▽米4月新築住宅販売件数、年初来で2回目の減少―価格は過去最高
米4月新築住宅販売件数は年率86.3万件と、市場予想の95万件を下回った。前月の91.7万件(102.1万件から下方修正)を5.9%下回り、年初来から2回目の減少となる。新築住宅販売件数の前年比では1.6%減と、2019年8月以降続くマイナス基調を維持した。
チャート:新築住宅販売件数、4ヵ月ぶりに増加
〇4大地域別では全ての地域で増加、前月の3地域を上回る
・北東部 前月比13.7%減(年初来で2回目の減少)の4.4万件
・中西部 前月比8.3%減(年初来で2回目の減少)の11.0万件
・南部 前月比8.2%減(年初来で2回目減少)の54.5万件
・西部 前月比7.9%減(3ヵ月ぶりに増加)の16.4万件
〇在庫総数は減少
・在庫総数 前月比3.9%増の31.6万件
・在庫相当 4.4ヵ月、前月は4.0ヵ月
〇住宅価格は高止まり
・中央価格 前月比5.3%下落(2ヵ月連続で下落)の37.2万ドル、前年比は1.8上昇(7ヵ月連続で上昇)
・今回、販売件数のうち価格帯別で20万~29万ドルと30万~39万ドルが合わせて59%、その他、40万ドル以上が39%を占めた。
チャート:中古住宅と新築住宅の在庫件数
――足元の金利上昇に加え、中古住宅、並びに木材価格など資材価格の高騰や労働不足などによる在庫ひっ迫に伴う価格高騰が痛手となり新築住宅もそろって販売件数は減少しました。ホワイトハウスは今まで静観してきましたが、さすがに米経済への影響を意識し、サキ大統領報道官は5月25日に「価格の上昇を懸念」と発言。その前にラジアCEA委員長も、住宅市場低迷のリスクに言及していました。住宅市場の減速については、消費者信頼感指数でも明らかです。ただ、金利が上昇すれば利払い負担にも影響するだけに、Fedによる資産買入縮小ペースの議論などは慎重とならざるを得ないのでしょう。
(カバー写真:Jessica Merz/Flickr)
Comments
米5月消費者信頼感指数よお前もか、消費者の購入意欲低下を示唆 Next Post:
米4月鉱工業生産、2ヵ月連続で上昇もコロナ前の水準以下