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米12月CPI、前月比はエネルギーが押し下げ2ヵ月連続で鈍化

by • January 13, 2022 • Finance, Latest NewsComments Off2603

Consumer Prices Decelerates On A Monthly Basis For The Second Month In A Row.

米12月消費者物価指数(CPI)は前月比0.5%上昇し、市場予想の0.4%を上回った。とはいえ、前月の0.8%を下回り、且つ2008年6月以来の高い伸びだった6月と9月の0.9%以下となった。オミクロン株の確認を受け、ガソリンに加え、暖冬を受け天然ガス価格が急落した結果、エネルギーや電力・ガスが下落したため、伸び鈍化につながった。ただし、食品は高止まりを維持。中古車のほか、オミクロン株の感染拡大過程にあっても、航空運賃や服飾など一部の費目が力強い伸びを保った。

内訳を前月比でみると、エネルギー(全体の7.3%を占める)が0.4%下落、ガソリンも同0.5%下落し、そろって前月の3.5%と6.1%を下回っただけでなく、7ヵ月ぶりにマイナスに転じた。なおエネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は11月8日週に一時3.410ドルと、2014年9月以来の高値をつけたが、12月に一時3.275ドルまで下落していた。その他のエネルギーでは、電力など公益が0.1%下落し、前月の0.3%から11ヵ月ぶりにマイナスに転じた。ガスが1.2%下落し11ヵ月ぶりのマイナスに転じたためで、電力は0.3%と6ヵ月連続でプラスを維持した。

エネルギー以外では食品・飲料(全体の14.9を占める)が0.5%上昇、2008年6月以来の力強さをみせた10月の0.9%以下にとどまった。伸びが鈍化した一因は、これまで上昇をけん引していた肉類・卵・魚が1年ぶりに同0.4%下落とマイナスに転じたことが大きい。なお、肉類の高騰を背景にバイデン政権は1月3日、寡占状態の食肉加工業者の間で競争を推進すべく、独立業者を支援するため10億ドル投じると発表した。肉類などが下落に転じたものの、外食はオミクロン株の感染拡大が急速に進むなかで同0.6%と10月の0.8%以下で推移し続けるも高止まりが続く。

CPIコアは前月比0.6%上昇し、市場予想と前月の0.5%を上回った。ただし、前月比では1982年6月以来の伸びへ加速した6月の0.9%以下が続く。

チャート:CPIの費目別寄与、前月比

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(作成:My Big Apple NY)

食品とエネルギー以外をみると、半導体不足に伴う減産を受け中古車が3ヵ月連続で大幅上昇したほか、新車が高止まりを続けた。オミクロン株の感染者が増加過程ながら、クリスマスと年末年始を受けて航空運賃も引き続き力強い伸びに。服飾も、年末商戦を背景に2ヵ月連続で高い伸びとなった。宿泊は伸びが鈍化したものの、3ヵ月連続で上昇した。その他、CPIの23.6%を占める帰属家賃は、2016年9月以来の高い伸びを維持し、家賃も立ち退き猶予期間の撤廃も重なり1992年10月以来の上昇率を記録に並ぶ。一方で、自動車保険は3ヵ月連続で下落したほか、オミクロン株の感染拡大を一因に娯楽は2ヵ月連続でマイナスとなった。エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。

(上昇費目)

・中古車 3.5%の上昇、3ヵ月連続でプラス>前月2.5%の上昇
・航空運賃 2.7%の上昇、2ヵ月ぶりでプラス<前月は4.7%の上昇
・服飾 1.7%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は1.3%

・新車 1.0%の上昇、9ヵ月連続でプラス<前月は1.1%の上昇
・宿泊 1.2%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は2.9%の上昇、5ヵ月ぶりの高い伸び
・住宅 0.4%の上昇、上昇トレンドを維持<前月は0.5%の上昇

・家賃 0.4%の上昇、プラスのトレンドを維持し1992年10月以来の高い伸びを維持=前月は0.4%上昇
・帰属家賃 0.4%の上昇、上昇トレンドを維持し16年9月以来の高い伸びを維持=前月は0.4%の上昇
・医療サービス 0.3%の上昇、3ヵ月連続でプラス=前月は0.3%の上昇

(横ばい、低下項目)

・教育 0.1%の上昇<前月は横ばい
・娯楽 0.2%の下落、2ヵ月連続でマイナス=前月は0.2%の下落
・自動車保険 1.5%の下落、20年9月以来の落ち込み<前月は0.8%の下落

CPIは前年比で7.0%上昇し、市場予想と一致した。前月の6.8%を上回り、1982年6月以来の上昇率となる。CPIコアは同5.5%上昇し、市場予想の5.4%を上回った。前月の4.9%を超え、1991年2月以来の高い伸びを記録した。

チャート:CPIの前年比、費目別の寄与など

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チャート:CPIとCPIコア、前年比

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(作成:My Big Apple NY)

――米12月CPIは航空運賃や中古車、服飾が押し上げ、帰属家賃など高止まりするとはいえ、オミクロン株の確認を受けてエネルギーが下落し、全体のCPIは鈍化しました。。

とはいえ、コロナ前や前年比での物価動向は引き続き高止まりしています。特に中古車は、20年2月比で52.8%上昇する通り、顕著となっています。

チャート:経済活動の再開で21年4~6月に上振れした費目、20年2月からみた上昇率

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(作成:My Big Apple NY)

CPIの14.9%を占める食費は、供給網の制約を背景に高止まりが続き家計を圧迫していました。

チャート:食費の費目全てが20年2月から右肩上がりを継続

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(作成:My Big Apple NY)

7.3%を占めるエネルギーを始め、前述の生活必需品の費目も高止まりしています。天然ガスは12月に南部で20度近く上昇するなど平年を上回る気温だったため下落していましたが、1月に入ると積雪に見舞われる通り気温が低下したため反発しており、家計の裁量消費余地を狭める公算大です。

チャート:食費に加え生活必需品のガソリン、電力・ガス料金のほか、家賃も家計を圧迫

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(作成:My Big Apple NY)

物価の高止まりは、実質賃金を押し下げ続けており消費者マインドを冷やしています。12月の実質平均時給は前年同月比2.4%下落し、9ヵ月連続でマイナスだっただけでなく前月から下げ幅を拡大しました。

チャート:実質賃金の下落に加え、生活必需品のインフレ加速で裁量消費余地が狭まる

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(作成:My Big Apple NY)

パウエルFRB議長率いるFedは、12月FOMCで①テーパリングの加速、②テーパリングが終了する3月の利上げ開始、③年内の保有資産圧縮――の方向を示しました。パウエルFRB議長は③について、米上院銀行委員会での再指名をめぐる公聴会で年後半でのQTに言及。ただし雇用や経済を支え続けるとも発言し、過度な引き締めを懸念しリスク資産の売りへ傾いた市場を落ち着かせることに成功しました。

バイデン大統領はCPI発表後に「物価の伸び依然高すぎる」との見解を表明、物価に苛立ちを隠しません。ただし、前月と同様にピークアウトの軌道にあるとの見方を維持しました。Fedが市場の予想通り3月FOMCで利上げを開始し、さらに春以降にベース効果を受けCPIが鈍化すれば、暖房需要の高まりによるエネルギー価格と合わせ、今冬で頭打ちとなる期待を残します。

(カバー写真:Tim Vrtiska/Flickr)

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