Retail Sales Jumped 0.7% In March, Now July Rate Cuts Unlikely.
米3月小売売上高は前月比0.7%増と、市場予想の0.4%増を上回った。前月の0.9%増(0.6%増から上方修正)を含め、過去4カ月間で3回目の増加に。自動車とガソリンを除いた場合は同1.0%増と、こちらも市場予想の0.3%増より強く、前月の05%増(0.3%増から上方修正)を上回った。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は1.1%増と前月の0.3%増(同0%から上方修正)を超え、2023年1月以来の強い伸びだった。こちらは、過去5カ月間で4回目のプラス圏となる。
チャート:米3月小売売上高、過去4カ月間で3回目の増加
内訳をみると、主要13カテゴリー中で8つが増加し、前月の速報値ベースの12を上回った。今回は無店舗がけん引したほか雑貨、一般小売(ただし百貨店はマイナス)、建築材・園芸、食料・飲料、ヘルスケアが増加した。一方で、スポーツ用品・趣味・書籍や服飾、電気製品、自動車・部品。家具など高額な裁量的支出の分野は減少した。費目別の詳細は、以下の通り。
(プラス費目)
・無店舗(主にオンライン)→2.7%増と5カ月連続で増加、2022年1月以来の強い伸び、前月は0.2%増
・雑貨→2.1%増と2カ月連続で増加、前月は1.0%増
・ガソリン・スタンド→2.1%増と2カ月連続で増加、前月は1.6%増
・一般小売→1.1%増と4カ月連続で増加、前月は0.6%増
(百貨店は1.1%減と2カ月連続で減少、前月は0.4%減)
・建築材/園芸→0.7%増と2カ月連続で増加、前月は2.3%増
・食品/飲料→0.5%増と2カ月連続で増加、前月は0.2%増
・外食→0.4%増と2カ月連続で増加、前月は0.5%増
・ヘルスケア→0.4%増、前月は横ばい
(横ばい費目)
なし
(マイナス費目)
・家具→0.3%減と2カ月連続で減少、前月は0.3%減
・自動車/部品→0.7%減、前月は2.5%増
・電気製品→1.2%減と4カ月ぶりに減少、前月は1.3%増
・服飾→1.6%減、前月は0.2%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→1.8%減と過去4カ月間で3回目の減少、前月は0.7%増
チャート:米3月小売売上高、13費目中、8つで増加
小売売上高の前年同月比は4.0%増と、前月の2.1%増上回り4カ月ぶりの高い伸びだった。
チャート:米3月小売売上高、前年比は6カ月ぶりの強い伸び
――小売売上高は過去4カ月間で3回目の増加となり、特にリテール・コントロールが好調で消費活動の堅調ぶりを確認しました。税還付が小売売上高を押し上げた一因でしょう。
物価上昇分を取り除いた実質ベースでは前月比0.3%増と、名目値の0.7%増を下回りつつ堅調な伸びを維持。インフレだけが小売売上高を押し上げたわけではない実態が浮かび上がります。
チャート:実質ベースの小売売上高、2カ月連続で増加
結果、FF先物市場では7月利下げ観測が後退し、NY時間午前9時55分時点で据え置きの織り込み度が55.6%と過半数に達しています。また、年内の利下げも、1回に収斂し始めました。
チャート:FF先物市場、7月利下げ開始予想が後退、年内の利下げは1回に収斂
米4月NY連銀製造業景況指数がマイナス14.3と、市場予想の-5.2を下回り、前月の-20.9に続き2桁のマイナス幅を記録しますが、どこ吹く風です。
Fed高官は利下げに急がない姿勢を強調しつつも、NY連銀総裁が4月11日、市場予想を上回る米3月消費者物価指数を受けても、インフレ率2%の道筋は「凸凹である」との表現を繰り返しました。パウエルFRB議長が米3月CPI前に使用していた表現を維持した格好です。つまり、物価が上向く場面があっても、インフレ率2%の目標に到達するとの見通しが続く限り、Fedは年内利下げの道筋にあるということなのでしょう。
バイデン大統領は4月10日、米3月CPI後に1カ月程度遅れる可能性に言及しつつも、「年内の利下げ予想を維持する」と明言しました。こうした姿勢が変化するのか、バイデン大統領自身や政権高官、そしてFed高官の発言が待たれます。
(カバー写真:Magnus D/Flickr)
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