Unemployment Rates Surge For Hispanic And Black People. Jumps 1.1 Percentage Point For Black Women.
米11月雇用統計は、こちらで紹介しましたように前月に反し予想を大き
ここでは、業種別や賃金動向の他、性別や人種、学歴などではどうなったのかを取り上げます。詳細は、以下の通り。
〇平均時給
平均時給は前月比0.4%上昇の35.61ド ル(約5,340円)と10月の伸びと変わらず、市場予想の0.3%を上回った。2021年2月以降の上昇トレンドを維持した。前年同月比は4.0%、市場予想と一致し、前月とも変わらなかった。一方で、生産部門・非管理職の前年同月比は3.9%と、4カ月ぶりに4%割れを迎えた。
業種別を前月比でみると、平均時給の伸びが0.4%以上だったのは13業種中で5業種で、前月の速報値ベースの4業種を上回った。一方で、マイナスとなった業種は2業種(小売、公益)で前月の5業種以下となったが、小売は少なくとも2カ月連続でマイナスだった。
チャート:業種別でみた前月比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額
チャート:前年比では引き続きインフレ目標値2%超えが目立ち、財部門はそろって強い伸びとなった半面、サービス業はNFPで増加を主導したヘルスケアを含む教育・健康を中心に平均時給の前年比4%以下が優勢
〇労働参加率
全米の労働参加率は2カ月連続で低下し、今回は62.5%。働き盛りの男性(25~54歳)をみると、全米では25~54歳で横ばい、25~34歳で上昇も、白人は低下した。
・25~54歳 89.3%と前月と変わらず、7月は90.0%と2009年8月の90%乗せ
・25~54歳(白人) 90.2%と6カ月ぶりの低水準、前月は90.3%、7月は90.7%と2019年3月以来の高水準
・25~34歳 89.3%、前月は89.2%、7月は90.3%と2009年8月以来の高水準
・25~34歳(白人) 90.4%、前月は90.7%、7月は91.3%と2019年3月以来の水準に並ぶ
チャート:働き盛りの男性の労働参加率
働き盛りの女性はそろってまちまちだった。
・25~54歳 77.7%、前月は77.8%と4カ月ぶりの低水準、8月は78.4%と1997年のデータ公表以来の最高記録更新、前月は78.1%
・25~34歳 78.0%、前月は77.8%と3カ月ぶりの低水準、なお2022年8月は78.8%と1997年のデータ公表以来で最高
65歳以上の高齢者の労働参加率は、男性と女性それぞれ低下した。
・男性 23.7%と3カ月ぶりの低水準、前月は24.5%と20年2月(25.2%)以来の水準を回復
・女性 16.0%と5カ月ぶりの低水準、前月は16.5%、9月は16.8%と2020年2月以来の高水準
チャート:65歳以上の高齢者の労働参加率
労働参加率を16~19歳は上昇したが、20~24歳と55歳以上は低下した。11月ベージュブックでは、特殊技能職かエントリーレベルの職でひっ迫が確認されたが、エントリーレベルの観点でその証左となった。
・16~19歳 36.2%、前月は35.8%、3月は38.2%と2009年6月以来の高水準
・20~24歳 71.5%、前月は71.8%、1月は72.7%と2020年2月以来の高水準
・55歳以上 38.4%、前月は38.6%と3カ月連続で変わらず、2020年2月は39.7%
チャート:16~19歳、20~24歳、55歳以上の労働参加率
〇縁辺労働者
縁辺労働者(ここでは直近4週間にわたり職探しをしていないが、職を求める非労働力人口)で「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は、労働参加率が2カ月連続で低下するなか、前月比3.2%減の548.6万人。男性が同8.7%減の229.0万人と減少に転じた一方で、女性は働き盛り世代で労働参加率が改善したにもかかわらず同1.2%増の319.6万人だった。縁辺労働者は5カ月連続で女性が男性を上回った。
チャート:職を望む非労働力人口
〇男女別の労働参加率と失業率
男女別の労働参加率はまちまちで、男性が低下し女性は横ばい。男性は前月の68.1%→67.9%と3カ月ぶりの水準に低下した、女性は逆に前月の57.3%で変わらず、7月に付けた低水準に並んだ。
チャート:男女別の労働参加率
男女の失業率も、まちまち。男性は労働参加率が低下したものの、失業率は前月の4.2%で変わらなかった。なお、7月は4.4%と2021年10月以来の高水準だった。女性は労働参加が横ばいだったにもかかわらず、前月の4.0%→4.2%へ上昇し2021年11月以来の高水準だった。女性は2023年1月に3.3%と1952年9月以来の低水準を記録していたが、足元は労働市場の冷え込みを影響を男性より強く受けていると言えよう。
チャート:男女別の失業率
〇人種・男女別の就業者、20年2月比
人種・男女別の就業者数を20年2月比でみると、ヒスパニック系男性を除き前月より弱い結果となった。白人の男女は下げ幅を広げ、黒人男女は伸びを縮小、ヒスパニック系は男性が伸びを拡大も女性は上げ幅を縮めた。なお、全て季節調整前の数字である点に留意しておきたい。
チャート:男女別の就業者数の20年2月との比較
人種別の週当たり賃金は2023年5月時点で以下の通りで、ヒスパニック系が762.8ドルと最低、次いで黒人が791.02ドル、白人は1,046.52ドルとなる。アジア系が最も高く1,169ドル。
チャート:実質ベースのフルタイム従業員の週当たり賃金、ヒスパニック系が最も低い
〇人種別の労働参加率、失業率
人種別の動向を紐解く前に、人種別の大卒以上の割合を確認する。2010年と2016年の比較では、こちらの通りアジア系が突出するほか、白人が全米を上回る一方で、黒人とヒスパニック系は全米を大きく下回っていた。なお、正確にヒスパニック系は中米・中南米系出身者を指し、民族であって人種にカテゴリーにあてはまらないが、便宜上、人種別とする。
人種別の労働参加率は、ヒスパニック系のみ前月比横ばいだった程度で全て低下。白人、黒人、アジア系はそろって前月以下となった。なお、データはアジア系を除き全て季節調整済みとなる。
・白人 62.1%と9カ月ぶりの低水準、前月は62.2%、なお2023年8月は62.5%と2020年3月(62.6%)以来の高水準、2020年2月は63.2%
・黒人 62.4%と2022年11月以来の低水準、前月は62.9%、なお2023年3月は64.0%と2008年8月の高水準に並ぶ
・ヒスパニック系 66.9%と3月以来の低水準を維持、前月は66.9%、8月は67.8%と2020年2月の水準に並ぶ
・アジア系 64.7%と7カ月ぶりの低水準、前月は65.5%、6月は65.9%と2009年9月以来の高水準 2020年2月は64.5%
・全米 62.5%と6カ月ぶりの低水準、前月まで2カ月連続で62.6%、なお2023年11月は62.8%と2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ
チャート:人種別の労働参加率
人種・男性別の労働参加率はそろって低下した。
・白人 69.9%と6カ月ぶりの70%割れ、前月は70.1%、2020年3月は71.0%
・黒人 68.7%と7カ月ぶりの低水準、前月は69.3%、、なお2023年3月は70.2%と2010年3月(70.4%)以来の高水準
・ヒスパニック系 79.3%と11カ月ぶりの低水準、前月は79.5%、6月は80.6%と2020年2月(80.8%)以来の高水準
チャート:人種別、男性の労働参加率
人種・女性別の労働参加率は、白人は横ばい、黒人は低下、ヒスパニック系は上昇した。
・白人 57.6%と1月以来の低水準を維持、前月は57.6%、8月は58.0%と4月に続き2020年2月以来の高水準(58.3%)
・黒人 62.3%と5カ月ぶりの低水準、前月は62.6%、2023年4月は63.9%と2009年7月(64.0%)以来の高水準
・ヒスパニック系 62.3%、前月は61.5%と3カ月ぶりの低水準、8月は62.4%と1976年6月からのデータ公表以来で最高、2020年2月の62.2%を上回る
チャート:人種別、女性の労働参加率
人種別の失業率は前月に反しアジア系のみ低下した。労働参加率が上昇したヒスパニック系女性はにもかかわらず、失業率は改善した。労働参加率が低下した白人は失業率が上昇しヒスパニック系は横ばい、黒人は労働参加率に合わせ失業率も横ばいだった。
・白人 3.8%と7月と同じく2021年10月以来の高水準を維持、前月は3.7%、、なお2022年12月は3.0%と2020年2月(3.0%)に並ぶ
・黒人 6.4%と2022年8月以来の高水準、前月は5.7%、2023年4月は4.7%と過去最低
・ヒスパニック系 5.3%と3カ月ぶりの高水準、前月は5.1%、なお2022年9月は3.9%とデータが公表された1973年以来の低水準
・アジア系 3.8%と5カ月ぶりの低水準、前月は3.9%、なお2023年7月は2.3%と2019年6月(2.0%)以来の低水準
・全米 4.2%、前月まで2カ月連続で4.1%、7月は4.3%と2021年10月以来の高水準、なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準
チャート:人種別の失業率
人種・男女別の失業率は、白人男性以外はすべて上昇。なお、ヒスパニック系男女は季節調整前の数字となる。
・白人男性 3.5%と前月と変わらず、前月は3.5%、なお2022年12月は2.8%と2020年2月以来の低水準
・白人女性 3.4%と3カ月ぶりの水準へ上昇、前月は3.3%、なお2023年6月は2.6%で過去最低
・黒人男性 6.0%と4カ月ぶりの水準へ上昇、前月は5.7%、7月は6.6%と2022年1月以来の高水準、なお2023年12月は4.6%と2023年4月につけた過去最低に並ぶ
・黒人女性 6.0%と2022年3月以来の高水準、前月は4.9%と8カ月ぶりの低水準、なお2023年2月は4.3%と2019年8月につけた過去最低の4.2%に接近
・ヒスパニック系男性 4.1%と3カ月ぶりの水準へ上昇、前月は3.6%と2023年7月以来の低水準を維持、なお2022年9月は3.0%と2019年11月以来の低水準
・ヒスパニック系女性 5.1%と3カ月ぶりの水準へ上昇、前月は4.9%、7月は5.7%と2021年8月以来の高水準、なお2023年5月は3.1%と過去最低
チャート:人種・男女別の失業率
白人と黒人の失業率格差は5カ月ぶりに拡大。白人の失業率が横ばいだった一方で黒人が上昇した結果、失業率格差は前月の1.9ポイントから2.6ポイントへ拡大した。ただし、2019年平均の2.8pt以下を保った。
チャート:白人と黒人の失業率格差
〇学歴別の労働参加率、失業率
学歴別はまちまちで中卒は低下、高卒と短大は上昇、大卒は低下した。
・中卒 47.1%と5カ月ぶりの低水準、前月は8.4%と3カ月ぶりの水準へ上昇、7月は49.0%と1992年にデータが公表されて以来で最高、前月は48.1%
・高卒 57.0%と4カ月ぶりの水準へ上昇、前月は56.7%、なお2023年11月は57.3%と2020年2月(58.3%)以来の高水準
・短大卒 62.5%、前月は62.2%、8月は63.5%と2023年3月以来の高水準、2020年2月は64.8%
・大卒以上 72.5%と8カ月ぶりの低水準、前月は72.6%、前月は73%と2023年9月以来の高水準を維持、なお2023年8-9月は73.5%と2020年1月(73.7%)以来の高水準に並ぶ
・全米 62.5%、前月まで2カ月連続で62.6%、なお2023年11月は2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ
学歴別の失業率は中卒のみ低下。労働参加率につれ、高卒は横ばいだった。短大卒は労働参加率が低下も失業率は前月と変わらず、大卒以上は労働参加率が上昇した結果、大卒で失業率が上昇しつつも大学院卒は横ばいだった。
・中卒以下 6.0%と4カ月ぶりの低水準、前月は6.6%、8月は7.1%と2021年以来の高水準に並ぶ、なお2022年10月は4.4%と1992年のデータ公表開始以来で最低
・高卒 4.6%と4カ月ぶりの水準へ上昇、前月まで3カ月連続で4.0%、7月は4.6%と2022年1月以来の高水準に並ぶ、なお2023年7月は3.3%と2000年4月以来の低水準に並ぶ
・短大卒 3.6%と2022年2月以来の高水準、前月まで3カ月連続で3.4%、2023年11月は2.8%と2019年12月以来の低水準
・大卒 2.4%、前月は2.5%と2021年9月以来の高水準に並ぶ、なお2022年9月は1.8%と2007年3月以来の低水準に並ぶ
・大学院卒 2.0%と6カ月ぶりの低水準、前月は2.1%準、8月は3.0%と2021年7月以来の高水準、なお2021年12月は1.2%と2000年4月の低水準に並ぶ
・全米 4.2%、前月まで2カ月連続で4.1%%、7月は4.3%と2021年10月以来の高水準 なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準
チャート:学歴別の失業率
チャート:大卒以上の労働参加率につれ、大卒の失業率は低下
2024年の米大統領選でトランプ氏が勝利した理由は、不法入国者を含めた移民の急増だった。米議会予算局やサンフランシスコ連銀など、多くが移民の急増をめぐる影響を分析するように、足元の米労働市場にも大きな変化をもたらしている。そこで、海外生まれ(不法移民を含む)と米国生まれの雇用動向を確認してみた。
労働力人口(以下、全て季節調整前の数字)は、前月比0.2%減の約1億6,816万人となる。コロナ禍直前の2020年2月比では、392.9万人増加してきた(前月は433.4万人増)。そのうち、米国生まれは37.6万人増(前月は61.9万人増)である一方で、海外生まれは355.3万人増(前月は371.6万人増)と、労働力人口の回復は不法入国者を含めた移民がけん引してきたことが分かる。11月の前月比をみると、米国生まれが3カ月ぶりに減少した一方で、海外生まれは3カ月連続で減少した。
チャート:米労働力人口(季節調整前)、米国生まれと海外生まれの比較
労働参加率は海外生まれが66.3%と2023年2月以来の水準に低下したほか、米国生まれも61.6%と前月の61.7%から低下した。なお、海外生まれは就労ビザを取得して入国した者が多いほか、家族に頼れない事情もあり、米国生まれを上回る傾向が強い。
チャート:労働参加率、米国生まれと海外生まれの違い
就業者数も労働力人口と同じく、海外生まれがリード。海外生まれの就業者数は2020年比で312.6万人増(前月は339.3万人増)だった一方で、米国生まれは同31.3万人増(前月は52.8万人増)にとどまる。11月の前月比では海外生まれが3カ月連続で減少、米国生まれは3カ月ぶりに減少した。就業率は米国生まれが前月の59.3%→59.2%へ、海外生まれも64.0%→63.3%へそろって低下した
チャート:米国生まれと海外生まれ、就業者数の比較
チャート:米国生まれと海外生まれ、就業率の比較
全米の失業率は4.2%と前月の4.1%から上昇したが、労働力人口が減少した米国生まれ、海外生まれでは、明暗が分かれた。海外生まれは前月の4.1%→4.5%へ大幅上昇し、5カ月ぶりの水準をつけた。米国生まれは前月の3.9%で変わらなかった。
チャート:米国生まれと海外生まれ、失業率の比較
--今回の雇用統計の詳細のポイントは、以下の通り。
①平均時給は前月比で市場予想を上回る伸びだったが、13業種のうち5業種しか前月比0.4%以上とならず賃上げ圧力の低減を示唆
②働き盛りとされる25~54歳の男性の労働参加率は、白人が25~54歳と25~34歳で低下。高スキルの職探しが困難な可能性。9月以降、航空大手ボーイングや通信機器シスコシステムズ、メディア大手パラマウント、自動車大手ステランティス、食品大手カーギルなど大規模な人員削減計画を発表。
④労働参加率は男性が低下し女性は横ばいでも、女性の失業率は4.0%→4.2%へ上昇し2021年11月以来の高水準。
⑤人種別では黒人とヒスパニック系が失業率の上昇を主導、黒人は労働参加率が低下、ヒスパニック系は労働参加率が横ばいでも失業率が弱含み、労働市場の減速を確認。特に黒人女性は前月比1.1ポイントの急激な悪化に。
⑥学歴別では、大卒以上の労働参加率が低下した結果、つれて失業率も改善したが、高卒や短大卒は失業率が上昇。
⑦海外生まれは労働参加率が低下したにもかかわらず、失業率は大幅上昇。
――以上の結果を踏まえると、非農業部門就労者数(NFP)が22.7万人増という数字より弱い米労働市場の実態が浮かび上がります。12月17~18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の追加利下げを行うのではないでしょうか。
(カバー写真:Rawpixel Ltd/Flickr)
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