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就任前からトランプ相場ON、巳年の今年は「SNAKES」に注意!

by • January 7, 2025 • Finance, Latest NewsComments Off680

Trump market ON even before the inauguration, watch out for ‘SNAKES’ this year in the Year of the Snake!

16日、日本が仕事始めを迎えた日に、トランプ相場がカムバックしました。

ワシントン・ポスト紙が、トランプ氏陣営からの情報とした一律輸入関税案につき、重要セクターも導入する方針と報道し、ドル円は158円手前から一時156.24円まで急落。2024年米大統領選では、世界各国、一律に輸入関税を10-20%発動する公約を掲げていたため、市場はインフレ警戒・金利先高感が後退した結果、ドル売りで反応しました。独12月消費者物価指数(CPI)が市場予想比で上振れしたことも、ドル売りを後押ししたとみられます。

しかし、直後にトランプ氏が自身のソーシャルネットワーク、トゥルース・ソーシャルで「不正確な情報」と否定し、ドル円は概ねV字回復を遂げました。トランプ砲で為替市場が右往左往するトランプ1期目に戻ったかのようです。

画像:WP紙の報道でドル円は157円割れも、トランプ砲で切り返し

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(出所:TradingView

今朝の日経モーニングプラスFTでは、渡辺元財務官が巳年=Snakesにちなんで2025年の国際経済のキーワードを披露されていらっしゃいました。

Shielded Human and Petro(人間と石油の盾)
No Predictability US Economy(予測不可能となった米経済)
AI Casting ShadowAIが影を落とす)
Korean Tension Rising(朝鮮半島の緊張高まる)
European Shaken(揺さぶられる欧州)
Sluggish China(停滞する中国)

米国担当のアナリストとしては、「予測不可能となった米経済」に大きく賛同した次第です。

足元の米株高やビットコイン相場の急伸は正当化できる水準とは言い難く、実体経済との乖離が一段と大きくなっている印象です。
また、個人的には足元の米経済指標をめぐり、季節調整済みの数字正確性にも疑問が残るように感じております

これからトランプ2.0を迎え、益々予測不可能となりつつある米経済に、金融市場のボラティリティが高まること必至です。

なお、ユーラシア・グループが毎年恒例の10大リスクを発表していますね。
ここでも、2番目に「トランプの支配」、「米中決裂」、「トランプノミクス」、「米国とメキシコの対立」と、トランプ2.0絡みで4つのリスクが提示されています。詳細はこちら

    1. 深まるGゼロの混迷
    2. トランプの支配
    3. 米中決裂
    4. トランプノミクス
    5. ならず者国家のままのロシア
    6. 追い詰められたイラン
    7. 世界経済への負の押し付け
    8. 制御不能なAI
    9. 統治なき領土の拡大
    10. 米国とメキシコの対立

そのトランプ氏、1月6日に日本製鉄によるUSスチール買収にあらためて否定的な見解を表明しました。

トゥルース・ソーシャルにて、「関税がUSスチールをより収益性の高い価値ある企業にするなかで、なぜ今、売却しようとするのか?かつて世界最高の企業だったUSスチールが再び先頭に立って偉業を達成するようになれば素晴らしいと思わないか?」と投稿したのです。

この発言を受け、前日のゴールデングローブ賞で日本人として初めてドラマ部門で主演男優賞を受賞した真田広之氏の言葉が頭に浮かびました。

受賞のスピーチではなく、どこかのインタビューだったかと記憶していますが、「日本とハリウッドのスタッフ間での緊密な協力があってこそ、このドラマが誕生した」といった言葉を残していたのです。

バイデン大統領は、安全保障上の問題で買収を阻止しました。そして、トランプ次期大統領は関税が米企業の復活の潤滑油になると信じているようです。

中国が世界の粗鋼生産で圧倒的なシェアを占めるなか、日鉄がUSスチールを買収しても立ち向かえないとの指摘もあります。

ただ、2022年の粗鋼生産量は日本製鉄が4437万トン、USスチールが1449万トンのなか、買収が成立すれば、同年ベースで中国鞍山鋼鉄集団に次ぐ世界3位の鉄鋼メーカーに躍り出る見通しでした。日鉄が買収提案後に表明したように、両社は2050年のカーボン・ニュートラル達成へ向けた技術的な強みを備え、高付加価値の需要に応じる能力が増強されます。まさに、日鉄にしてみれば、先進国である米国に鉄源一貫製鉄所を持つことでグローバル事業拠点の多様化が可能な上、米国鋼材市場の安定伸長のメリットも享受でき、USスチールは社名も高炉も維持でき、ウィン・ウィンに違いありません。まさに、日米間の緊密な協力の結晶と言えるでしょう。

筆者の双日総研時代の恩師が、こんな言葉を授けて下さいました。

「建国以来、国民と州の集合体として壮大な実験をくり返しているアメリカの紙幣に書かれている標語は『エ・プルリブス・ウヌム』、つまり、アメリカで瞠目すべきは『多様なものを一つにしようとする不断の努力』と言えるでしょう」

トランプ2.0で、「エ・プルリブス・ウヌム」が再び息を吹き返す期待が遠のくのか、日鉄によるUSスチール買収への対応が一つの試金石となるでしょう。

(カバー写真:COPPERTIST WU/Unsplash)

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