米9月雇用統計、女性の労働参加率が改善も失業率が上振れ

by • November 24, 2025 • Latest News, NY TipsComments Off on 米9月雇用統計、女性の労働参加率が改善も失業率が上振れ1960

Women’s Jobless Rate up, Participation Improves As Labor Market Softens.

米9月雇用統計は、こちらで紹介しましたように失業率が上昇した一方で、NFPや雇用形態別(フルタイムのみ減少など)、全体的に米労働市場の底堅さを確認しました。

ここでは、業種別や賃金動向の他、性別や人種、学歴などではどうなったのかを取り上げます。詳細は、以下の通り。

〇平均時給

平均時給は前月比0.2%上昇の36.67ドル(約5,760円)で、市場予想の0.3%と前月の0.4%(0.3%から上方修正)下回った。2021年2月以降の上昇トレンドは維持。前年同月比3.8%と市場予想の3.7%を超え、前月と一致(3.7%から上方修正)した。生産部門・非管理職は前年同月比3.8%、前月の3.9%を下回り21年5月以来の低い伸びとなり、管理職を含む全米と違って賃金の伸びが抑制されたことが分かった。

業種別を前月比でみると、平均時給の伸びが0.2%以上だったのは13業種中で11業種で、前月の速報値ベースの8業種を上回った。年末商戦を控えた小売が同1.1%上昇と伸びが目立ったほか、公益が同0.9%上昇、卸売が同0.7%上昇などと強い伸びとなった。一方で、雇用を押し上げた教育・健康が同0.2%低下、金融は同0.1%にとどまった。なお、平均時給の計算式は「総給与額 ÷ 総労働時間」であり、総給与額には①給与、②残業代、③ボーナスーーが含まれる。

チャート:業種別でみた前月比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額

チャート:前年比では引き続きインフレ目標値2%超えが目立つ半面、全米の3.8%以下が優勢

〇労働参加率

全米の労働参加率は、前月の22年11月以来の水準に低下した7月の62.2%→8月に62.3%→9月に62.4%へ戻した。働き盛りの男性(25~54歳)をみると、全人種の25~54歳、25~54歳は、むしろ、そろって低下。白人も25~54歳と25~34歳ともに低下し前月と逆の展開を迎えた。なお、白人は季節調整前の数字となる。

・25~54歳 89.5%、前月は89.8%と24年7月の高水準に接近(当時は89.9%と2009年8月の90%迫る)
・25~54歳(白人) 90.5%、前月は90.5%と24年7月に続き2019年3月以来の高水準
・25~34歳 89.4%、前月は89.7%と24年7月以来の高水準(当時は90.2%と2009年10月以来のレベル)、前月は89.3%
・25~34歳(白人) 90.7%%、前月は91.0%、7月は91.2%と24年7月以来の高水準(当時は91.3%と19年3月以来の水準に並ぶ)

チャート:働き盛りの男性の労働参加率

働き盛りの女性は、25-54歳と25-34歳がそろって上昇した。

・25~54歳 78.0%と24年9月以来の高水準、前月は77.7%と5カ月連続で変わらず、24年8月は78.4%と1997年のデータ公表以来の最高記録更新
・25~34歳 77.6%、前月は77.5%、2月は過去最高に並ぶ78.7%

65歳以上の高齢者の労働参加率は、男性で低下し女性が急伸した。ただし、これらは季節調整前の数字となる。

・男性 23.7%、前月は23.9%と24年10月以来の高水準、24年10月は24.5%と20年2月(25.2%)以来の水準を回復
・女性 16.0%と7カ月ぶりの水準を回復、前月まで15.5%と3カ月連続で23年6月以来の低水準、24年9月は16.8%と2020年2月以来の高水準

チャート:65歳以上の高齢者の労働参加率

労働参加率の若い世代と55歳以上で分けてみると、16~19歳と20~24歳で上昇し2カ月連続の低下にブレーキ、55歳以上は3カ月連続で横ばいだった。

・16~19歳 36.3%、前月は34.8%と20年8月以来の低水準、24年3月は38.2%と2009年6月以来の高水準
・20~24歳 71.1%、前月は70.2%と21年8月以来の低水準、24年1月は72.7%と2020年2月以来の高水準
・55歳以上 38.1%と3カ月連続で変わらず、2020年2月は39.7%

チャート:16~19歳、20~24歳、55歳以上の労働参加率

〇縁辺労働者

縁辺労働者(ここでは直近4週間にわたり職探しをしていないが、職を求める非労働力人口)で「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は、労働参加率が62.4%と4カ月ぶりの水準へ回復するなか、前月比6.6%減の593.3万人と、21年7月以来の高水準だった前月の635.4万人から減少。男性が働き盛り世代の労働参加率の低下につれ同9.3%減の268.8万人と4カ月連続で減少、女性は労働参加率が改善しながらも同4.3%減の324.5万人と4カ月ぶりに減少した。縁辺労働者は3カ月連続で女性が男性を上回り、女性の間で職探しが困難な状況が続いた。

チャート:今、職を望む非労働力人口

〇男女別の労働参加率と失業率

男女別の労働参加率は、まちまち。男性は前月の68.0%→67.8%へ低下した一方で、女性は22年12月以来の57%割れを迎えた前月の56.9%→57.4%へ急伸した。

チャート:男女別の労働参加率

男女の失業率も、まちまち。男性は労働参加率が低下するなか、失業率は前月の4.4%で変わらず、4月と7月に続き21年10月以来の高水準に並んだ。女性は労働参加率の改善につれ、失業率は前月の4.2%→4.4%と21年10月以来の水準に上昇した。なお、女性は2023年1月に3.3%と1952年9月以来の低水準を記録していた。

チャート:男女別の失業率

〇人種別・男女別の労働参加率と失業率

人種別の週当たり賃金は2023年5月時点で以下の通りで、ヒスパニック系が762.8ドルと最低、次いで黒人が791.02ドル、白人は1,046.52ドルとなる。アジア系が最も高く1,169ドル。

チャート:実質ベースのフルタイム従業員の週当たり賃金、ヒスパニック系が最も低い

人種別の動向を確認する前に、人種別の大卒以上の割合を確認する。2010年と2016年の比較では、こちらの通りアジア系が突出するほか、白人が全米を上回る一方で、黒人とヒスパニック系は全米を大きく下回っていた。なお、正確にヒスパニック系は中米・中南米系出身者を指し、民族であって人種にカテゴリーにあてはまらないが、便宜上、人種別とする。

人種別の労働参加率は、そろって上昇。黒人は約1年ぶりの高水準、ヒスパニックは5カ月ぶりの水準を回復、アジア系は3カ月ぶりの水準を回復した。なお、データはアジア系を除き全て季節調整済みとなる。

・白人 61.9%、前月は61.8%と22年11月以来の低水準、なお2023年8月は62.5%と2020年3月(62.6%)以来の高水準、2020年2月は63.2%
・黒人 62.9%、24年10月以来の高水準、前月は62.6%、なお2023年3月は64.0%と2008年8月の高水準に並ぶ
・ヒスパニック系 67.3%と5カ月ぶりの水準を回復、前月は67.0%、24年8月は67.8%と2020年2月の水準に並ぶ
・アジア系 65.3%と3カ月ぶりの水準を回復、前月は65.0%、2020年2月は64.5%
・全米 62.4%と4カ月ぶりの水準を回復、前月は62.3%、7月は62.2%と22年11月以来の低水準、なお2023年11月は62.8%と2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ

チャート:人種別の労働参加率

人種・男性別の労働参加率は、白人と黒人は低下し、ヒスパニック系のみ上昇した。

・白人 69.5%と6カ月ぶりの低水準、前月は69.8%、2020年2月は71.7%
・黒人 69.4%、前月は69.8%と2月以来の水準を回復、なお23年3月は70.3%と2010年3月(70.4%)以来の高水準
・ヒスパニック系 79.1%、前月は79.0%、24年6月は80.5%と2020年2月(80.9%)以来の高水準

チャート:人種別、男性の労働参加率

人種・女性別の労働参加率は、そろって上昇した。なお、ヒスパニック系女性の労働参加率は3月から黒人女性を逆転し続けている。

・白人 57.5%、前月は57.3%と23年1月以来の低水準、24年8月は58.0%と2020年2月以来の高水準(58.3%)
・黒人 61.9%と7カ月ぶりの水準を回復、前月は61.4%、2023年4月は63.9%と2009年7月(64.0%)以来の高水準
・ヒスパニック系 62.5%と5カ月ぶりの水準を回復、前月は61.9%、24年8月は62.6%と1976年6月からのデータ公表以来で最高

チャート:人種別、女性の労働参加率

人種別の失業率は労働参加率の改善につれて、黒人を除き上昇した。特に、アジア系は21年8月以来の水準へ急伸したが、大卒の失業率上昇の動きと一部整合的だ(後述)。

・白人 3.8%と4カ月ぶりの水準へ上昇、前月は3.7%、なお2022年12月は3.0%と2020年2月(3.0%)に並ぶ
・黒人 7.5%と前月と変わらず21年10月以来の高水準、23年4月は4.8%と過去最低
・ヒスパニック系 5.5%と23年2月以来の高水準、前月は5.3%、なお2022年9月は3.9%とデータが公表された1973年以来の低水準
・アジア系 4.4%と21年8月以来の水準へ急伸、前月は3.6%、なお2023年7月は2.3%と2019年6月(2.0%)以来の低水準
・全米 4.4%と21年10月以来の高水準、前月は4.3%、なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準

チャート:人種別の失業率

人種・男女別の失業率、労働参加率で低下が優勢だった男性で低下し、逆に労働参加率が改善した女性は上昇。特に黒人とヒスパニック系の女性の失業率は、2021年以来の水準へ急伸した。

・白人男性 3.5%、前月は3.7%と4カ月ぶりの水準へ戻す、なお2022年12月は2.8%と20年2月以来の低水準
・白人女性 3.4%と7カ月ぶりの高水準、前月は3.2%、なお23年6月は2.6%で過去最低
・黒人男性 6.6%、前月は7.1%と21年10月以来の高水準、なお23年12月は4.6%と23年4月につけた過去最低に並ぶ
・黒人女性 7.5%と21年8月以来の高水準、前月は6.7%と21年9月以来の水準へ戻す、なお23年2月は3.4%と20年2月以来の低水準
・ヒスパニック系男性 4.6%、前月は4.8%と4カ月ぶりの水準へ戻す、なお22年9月は3.0%と2019年11月以来の低水準
・ヒスパニック系女性 5.5%と21年10月以来の高水準、前月は4.9%、なお23年5月は3.5%と過去最低

チャート:人種・男女別の失業率

白人と黒人の失業率格差は拡大。白人の失業率が上昇した一方で、黒人の失業率が横ばいだったため、失業率格差は2021年8月以来の高水準だった前月の3.8ポイント→3.7ポイントへ縮小。ただ、2019年平均を超えを維持した。

チャート:白人と黒人の失業率格差

〇学歴別の労働参加率、失業率

学歴別の労働参加率は、まちまち。中卒と大卒以上は改善したが、高卒と短大卒は低下した。

・中卒 47.6%、前月は47.5%、7月は49.0%と1992年のデータ公表開始以来で最高
・高卒 56.6%、前月は56.9%、なお2023年11月は57.3%と2020年2月(58.3%)以来の高水準
・短大卒 62.9%、前月は63.6%と24年8月以来の水準を回復、24年8月は63.5%と2023年3月以来の高水準、2020年2月は64.8%
・大卒以上 72.1%、前月は71.7%、7月は71.5%と1992年のデータ公表開始以来で最低、なお2023年8-9月は73.5%と2020年1月(73.7%)以来の高水準に並ぶ
・全米 62.4%と4カ月ぶりの水準を回復、前月は62.3%、なお2023年11月は62.8%と2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ

学歴別の失業率は労働参加率の改善につれ中卒と大学卒は上昇。ただし、大学院卒は低下した。

・中卒以下 6.8%と1年ぶりの水準へ上昇、前月は6.7%、なお22年10月は4.4%と1992年のデータ公表開始以来で最低
・高卒 4.2%と3カ月ぶりの低水準、前月は4.3%、なお23年7月は3.3%と2000年4月以来の低水準に並ぶ
・短大卒 3.4%と5カ月ぶりの水準へ上昇、前月は3.2%、23年11月は2.8%と19年12月以来の低水準
・大卒 2.8%と21年8月以来の高水準、前月は2.7%、なお22年9月は1.8%と07年3月以来の低水準に並ぶ
・大学院卒 2.7%と3カ月ぶりの水準へ低下、前月は3.0%、なお21年12月は1.2%と2000年4月の低水準に並ぶ
・全米 4.4%と21年10月以来の高水準、前月は4.3%、なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準

チャート:学歴別の失業率

チャート:大卒以上の労働参加率、労働参加率は1992年のデータ公表開始以来で最低だった前月から4カ月ぶりに改善するなか、大学院卒の失業率は21年3月以来の高水準からの改善を続けた。

2024年の米大統領選でトランプ氏が勝利した理由は、不法入国者を含めた移民の急増だった。米議会予算局やサンフランシスコ連銀など、多くが移民の急増をめぐる影響を分析するように、コロナ禍後の足元の米労働市場にも大きな変化をもたらした。しかし、足元はトランプ政権の不法移民取り締まり強化に伴い、コロナ禍後の移民流入の増加分が巻き戻されつつある。そこで、海外生まれ(不法移民を含む)と米国生まれの雇用動向を確認してみた。

労働力人口(以下、全て季節調整前の数字)にうち、米国生まれは34.8万人増(前月は78.4万人減)と増加に転じ、逆に海外生まれは16.6万人減(前月は17.3万人増)と減少に転じ、明暗が分かれた。トランプ政権が移民の取り締まり強化するなか、年末商戦を受けた臨時雇用の増加は米国人の間で広がったようだ。

チャート:米労働力人口(季節調整前)、米国生まれと海外生まれの比較

労働参加率も、明暗が分かれた。米国生まれは労働力人口が増加したものの前月の61.6%で変わらず海外生まれは逆に前月の66.4%→66.3%へ低下した。これらは季節調整前の数字となる。季節調整済みの数字である全米の労働参加率が62.4%と4カ月ぶりの水準へ戻したが、統計上、支えとなったのは米国生まれと考えられよう。なお、海外生まれは通常、就労ビザを取得して入国した者が多いほか、家族に生活支援で頼れない事情もあり、労働参加率で米国生まれを上回る傾向が強い。

チャート:労働参加率、米国生まれと海外生まれの違い

就業率も、まちまち。米国生まれは6カ月ぶりの水準へ低下した前月の58.8%→59.0%に上昇。海外生まれは前月の63.5%で変わらず。なお、全米の就業率は59.7%、21年12月以来の水準だった前月の59.6%を上回った。

チャート:米国生まれと海外生まれの就業率

全米の失業率は4.4%と、2021年10月以来の水準へ上昇した。米国生まれの失業率は労働参加率が前月と一致したところ前月の4.6%→4.3%と4カ月ぶりの水準へ低下。一方で、海外生まれは前月の4.4%→4.1%に戻した。いずれも、季節調整前の数字である。

チャート:米国生まれと海外生まれ、失業率の比較

--今回の雇用統計の詳細のポイントは、以下の通り。

①平均時給は前月比で市場予想超えは13業種のうち11業種と、前月の5業種から増加。賃金の伸びは前月比で底堅さを示す。

働き盛り世代の男性の労働参加率は、白人含めそろって低下。年末商戦の臨時雇用などを支えにNFPは改善したが、働き盛りの男性の労働参加率押し上げに至らなかった。

③男女別では、男性の労働参加率が低下も失業率は横ばい、女性は労働参加率の改善につれ失業率が急伸し、そろって2021年10月以来の高水準。ただし、女性の失業率は足元で上振れが顕著となっている。

人種・男女別では、労働参加率の改善につれ、全ての人種で女性の失業率が上昇した。

画像:労働参加率と失業率の人種別の動向、グレー枠は労働参加率が低下も失業率が上昇したケース、オレンジ枠は労働参加率と失業率が上昇したケースを表す。

⑤学歴別では、大卒以上の労働参加率が上昇したところ、大学院卒の失業率が低下を続けた。アジア系の失業率の低下と合わせ、高学歴の間で採用が進んだ可能性を示唆する。

⑥季節調整前の数字ながら、全米の労働参加率の改善は米国生まれがけん引。なお、労働力人口の減少は、失業率を押し上げも押し下げもしない中立的水準が移民によって押し上げられた16万人増~20万人増から、従来の6~10万人程度に縮小する可能性を示唆する。

ーー米9月雇用統計では、働き盛りから65歳以上まで女性の労働参加率の改善が際立った一方で、失業率が上昇しています。その反面、男性は働き盛り世代の他、白人と黒人の間で労働参加率が低下し、労働需給のミスマッチが伺えます。WSJ紙のニックは、12月FOMCの利下げをめぐり、意見が対立していると報じていましたが、米8月雇用統計の結果でお伝えした通り、バイデン前政権で導入したDEIの精神はどこへやら。政権交代により看板を外すなら、FRBの体制が政治の影響と無縁ではない事実が浮かび上がります。

(カバー写真:WOCinTech Chat/Flickr)

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