米12月雇用統計、黒人とヒスパニック系の女性の失業率は上昇

by • January 11, 2026 • Latest News, NY TipsComments Off on 米12月雇用統計、黒人とヒスパニック系の女性の失業率は上昇2451

Black and Hispanic Women’s Jobless Rates Rise as Participation Declines.

米12月雇用統計は、こちらで紹介しましたように失業率が低下した一方で、NFPが市場予想を下回り、強弱ミックスとなりました。

ここでは、業種別や賃金動向の他、性別や人種、学歴などではどうなったのかを取り上げます。詳細は、以下の通り。

〇平均時給

平均時給は前月比0.3%上昇の37.02ドル(約5,850円)で、市場予想と一致。前月の0.2%(0.1%から上方修正)上回った。2021年2月以降の上昇トレンドは維持。前年同月比3.8%と市場予想と前月の3.6%を超えた。逆に生産部門・非管理職は前年同月比3.6%と、21年5月以来の低い伸びとなり、管理職を含む全米と違って賃金の伸びが抑制されたことが分かった。

業種別を前月比でみると、平均時給の伸びが0.3%以上だったのは13業種中で6業種。12月のNFPの雇用で伸びが最も強かった娯楽・宿泊のほか、製造業、公益、その他サービスが0.4%増とけん引した。一方で、年末商戦終了を受けて小売が同0.8%低下と押し下げたほか、卸売、金融、情報の4業種がマイナスだった。なお、平均時給の計算式は「総給与額 ÷ 総労働時間」であり、総給与額には①給与、②残業代、③ボーナスーーが含まれる。

チャート:業種別でみた前月比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額

チャート:前年比では引き続きインフレ目標値2%超えが目立つ半面、全米の3.8%以下が優勢

〇労働参加率

全米の労働参加率は、前月の62.5%→62.4%へ戻した。働き盛りの男性(25~54歳)をみると、全人種の25~54歳、25~34歳そろって低下。なお、白人は季節調整前の数字となる。

・25~54歳 89.5%、前月は89.6%(24年7月は90%と2009年8月の90%に並ぶ)
・25~54歳(白人) 90.2%、前月は90.4%(25年8月は90.7%と24年7月に続き2019年3月以来の高水準)
・25~34歳 89.0%、前月は89.7%(24年7月は90.2%と2009年10月以来のレベル)
・25~34歳(白人) 90.0%、前月は90.4%、(24年7月の91.3%は19年3月以来の水準に並ぶ)

チャート:働き盛りの男性の労働参加率

働き盛りの女性は、25-54歳が低下も25-34歳は過去最高を更新した。

・25~54歳 78.1%、1997年のデータ公表以来の最高記録更新した24年8月は78.4%、前月は78.2%
・25~34歳 78.8%と過去最高を更新、前月は77.9%

65歳以上の高齢者の労働参加率は、男性と女性そろって急低下した。ただし、これらは季節調整前の数字となる。

・男性 23.2%と6カ月ぶりの低水準、前月は23.6%、24年10月は24.5%と20年2月(25.2%)以来の水準を回復
・女性 15.2%と22年6月以来の低水準、前月は15.8%、24年9月は16.8%と2020年2月以来の高水準

チャート:65歳以上の高齢者の労働参加率

労働参加率の若い世代と55歳以上で分けてみると、16~19歳のみ上昇

・16~19歳 36.6%、前月は36.3%、24年3月は38.2%と2009年6月以来の高水準
・20~24歳 71.3%、前月は71.8%、24年1月は72.7%と2020年2月以来の高水準
・55歳以上 37.9%、前月と変わらず、2020年2月は39.7%

チャート:16~19歳、20~24歳、55歳以上の労働参加率

〇縁辺労働者

縁辺労働者(ここでは直近4週間にわたり職探しをしていないが、職を求める非労働力人口)で「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は、労働参加率が62.4%と低下するなか、前月比1.1%増の620.8万人。25年8月は635.4万人と、21年7月以来の高水準だった。男性が同1.1%増の287.2万人、女性は同1.2%増の333.6万人とそろって2カ月連続で増加した。縁辺労働者は25年7月以降、女性が男性を上回り、女性の間で職探しが困難な状況が続いた。

チャート:今、職を望む非労働力人口

〇男女別の労働参加率と失業率

男女別の労働参加率は、まちまち。男性は前月の67.7%で変わらなかった一方で、女性は前月の57.4%から57.3%と5カ月ぶりの低水準だった。

チャート:男女別の労働参加率

男女の失業率は、そろって低下。男性は労働参加率が横ばいのなか、失業率は前月の4.5%→4.4%。女性は労働参加率の低下につれ、失業率は前月の4.5%→4.4%となった。なお、女性は2023年1月に3.3%と1952年9月以来の低水準を記録していた。

チャート:男女別の失業率

〇人種別・男女別の労働参加率と失業率

人種別の週当たり賃金は2023年5月時点で以下の通りで、ヒスパニック系が762.8ドルと最低、次いで黒人が791.02ドル、白人は1,046.52ドルとなる。アジア系が最も高く1,169ドル。

チャート:実質ベースのフルタイム従業員の週当たり賃金、ヒスパニック系が最も低い

人種別の動向を確認する前に、人種別の大卒以上の割合を確認する。2010年と2016年の比較では、こちらの通りアジア系が突出するほか、白人が全米を上回る一方で、黒人とヒスパニック系は全米を大きく下回っていた。なお、正確にヒスパニック系は中米・中南米系出身者を指し、民族であって人種にカテゴリーにあてはまらないが、便宜上、人種別とする。

人種別の労働参加率は、白人が横ばいとなった以外は全て低下。なお、データはアジア系を除き全て季節調整済みとなる。

・白人 61.8%、前月も61.8%と22年11月以来の低水準、なお2023年8月は62.5%と2020年3月(62.6%)以来の高水準、2020年2月は63.2%
・黒人 63.1%、前月は63.8%と23年8月以来の高水準、なお2023年3月は64.0%と2008年8月の高水準に並ぶ
・ヒスパニック系 67.2%、前月は67.4%、24年8月は67.8%と2020年2月の水準に並ぶ
・アジア系 65.9%、前月は66.0%と7カ月ぶりの水準を回復、2020年2月は64.5%
・全米 62.4%、前月は62.5%、なお2023年11月は62.8%と2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ

チャート:人種別の労働参加率

人種・男性別の労働参加率は、白人とヒスパニック系は前月と一致、黒人のみ大幅低下した。

・白人 69.4%、前月も69.4%と25年2月の水準に並ぶ、2020年2月は71.7%
・黒人 69.6%、前月は70.4%と23年3月以来の高水準、なお23年3月は70.3%と2010年3月(70.4%)以来の高水準
・ヒスパニック系 79.3%、前月も79.3%と25年4月の水準に並ぶ、24年6月は80.5%と2020年2月(80.9%)以来の高水準

チャート:人種別、男性の労働参加率

人種・女性別の労働参加率は、白人が横ばいだった一方で、黒人とヒスパニック系は低下した。なお、ヒスパニック系女性の労働参加率は25年3月から黒人女性を逆転し続けている。

・白人 57.4%、前月は57.4%、24年8月は58.0%と2020年2月以来の高水準(58.3%)
・黒人 62.4%、前月は62.5%と7カ月ぶりの水準を回復、前月は61.4%、2023年4月は63.9%と2009年7月(64.0%)以来の高水準
・ヒスパニック系 62.6%、前月は62.9%と過去最高、24年8月は62.6%と1976年6月からのデータ公表以来で最高

チャート:人種別、女性の労働参加率

人種別の失業率は労働参加率が低下した動きにつれ、アジア系以外が前月から改善。白人も労働参加率が横ばいでも、低下した。

・白人 3.8%、前月は3.9%と21年10月以来の高水準、なお2022年12月は3.0%と2020年2月(3.0%)に並ぶ
・黒人 7.5%、前月は8.2%と21年8月以来の高水準、23年4月は4.8%と過去最低
・ヒスパニック系 4.9%と6カ月ぶりの低水準、前月は5.0%、なお2022年9月は3.9%とデータが公表された1973年以来の低水準
・アジア系 3.6%、前月も3.6%と25年8月の水準に並ぶ、なお2023年7月は2.3%と2019年6月(2.0%)以来の低水準
・全米 4.4%、前月は4.5%、なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準

チャート:人種別の失業率

人種・男女別の失業率は全体的に低下したが、労働参加率が低下したにもかかわらず黒人女性とヒスパニック系女性は上昇した。

・白人男性 3.4%と6カ月ぶりの低水準、前月は3.6%、なお2022年12月は2.8%と20年2月以来の低水準
・白人女性 3.2%と4カ月ぶりの低水準、前月は3.4%、なお23年6月は2.6%で過去最低
・黒人男性 6.9%、前月は7.5%と21年10月以来の高水準、なお23年12月は4.6%と23年4月につけた過去最低に並ぶ
・黒人女性 7.3%、前月は7.1%、25年9月は7.5%と21年8月以来の高水準、なお23年2月は3.4%と20年2月以来の低水準
・ヒスパニック系男性 4.3%と5カ月ぶりの低水準、前月は4.5%、なお22年9月は3.0%と2019年11月以来の低水準
・ヒスパニック系女性 4.5%、前月は4.4%と24年5月以来の低水準、なお23年5月は3.5%と過去最低

チャート:人種・男女別の失業率

白人と黒人の失業率格差は縮小。白人と黒人の失業率が改善した一方で、黒人の失業率の低下が大きかったため、失業率格差は2021年3月以来の高水準だった前月の4.3ポイント→3.7ポイントへ縮小。ただ、2019年平均を超えを維持した。

チャート:白人と黒人の失業率格差

〇学歴別の労働参加率、失業率

学歴別の労働参加率は、大卒のみ上昇。短大卒は過去最低を更新した。

・中卒 46.7%、前月も46.7%と25年6月以来の低水準、25年7月は49.0%と1992年のデータ公表開始以来で最高
・高卒 57.4%、前月は57.9%、なお23年11月は57.3%と2020年2月(58.3%)以来の高水準
・短大卒 61.8%と過去最低、前月は61.9%、2020年2月は64.8%
・大卒以上 72.6%と24年10月以来の高水準、前月は72.2%、25年7月は71.5%と1992年のデータ公表開始以来で最低、なお23年8-9月は73.5%と2020年1月(73.7%)以来の高水準に並ぶ
・全米 62.4%、前月は62.5%、なお23年11月は62.8%と2020年2月(63.3%)以来の高水準に並ぶ

学歴別の失業率は労働参加率が上昇した大卒以上を含め低下が優勢。労働参加率が過去最低だった短大卒は上昇した。

・中卒以下 6.7%と4カ月ぶりの低水準、前月は6.8%、なお22年10月は4.4%と1992年のデータ公表開始以来で最低
・高卒 4.3%、前月は4.4%、なお23年7月は3.3%と2000年4月以来の低水準に並ぶ
・短大卒 3.8%と21年11月以来の高水準、前月は3.5%、23年11月は2.8%と19年12月以来の低水準
・大卒 2.8%、前月は2.9%と21年7月以来の高水準、なお22年9月は1.8%と07年3月以来の低水準に並ぶ
・大学院卒 2.4%と7カ月ぶりの低水準、前月は2.7%、なお21年12月は1.2%と2000年4月の低水準に並ぶ
・全米 4.4%、前月は4.5%、なお2023年1月と4月は3.4%と1969年5月以来の低水準

チャート:学歴別の失業率

チャート:大卒以上の労働参加率、労働参加率は改善するなかで、大学院卒の失業率は7カ月ぶりの低水準

2024年の米大統領選でトランプ氏が勝利した理由は、不法入国者を含めた移民の急増だった。米議会予算局やサンフランシスコ連銀など、多くが移民の急増をめぐる影響を分析するように、コロナ禍後の足元の米労働市場にも大きな変化をもたらした。しかし、足元はトランプ政権の不法移民取り締まり強化に伴い、コロナ禍後の移民流入の増加分が巻き戻されつつある。そこで、海外生まれ(不法移民を含む)と米国生まれの雇用動向を確認してみた。

労働力人口(以下、全て季節調整前の数字)にうち、米国生まれは96.5万人減と減少に転じ、逆に海外生まれは22.1万人増と増加に転じ、明暗が分かれた

チャート:米労働力人口(季節調整前)、米国生まれと海外生まれの比較

労働参加率も、まちまち。米国生まれは労働力人口が減少した結果、前月の61.6%→61.2%と22年12月以来の低水準だった。海外生まれは労働力人口が増加したものの、前月の66.3%で変わらなかった。これらは季節調整前の数字となる。季節調整済みの数字である全米の労働参加率が62.4%低下した背景は、米国生まれと考えられよう。なお、海外生まれは通常、就労ビザを取得して入国した者が多いほか、家族に生活支援で頼れない事情もあり、労働参加率で米国生まれを上回る傾向が強い。

チャート:労働参加率、米国生まれと海外生まれの違い

就業率も、まちまち。米国生まれは前月の58.9%→58.7%と10カ月ぶりの低水準。海外生まれは前月の63.4%→63.6%と6カ月ぶりの水準を回復。なお、全米の就業率は59.7%、21年12月以来の低水準に並ぶ前月の59.6%を上回った。

チャート:米国生まれと海外生まれの就業率

全米の失業率は4.4%と、前月の4.5%から低下した。米国生まれの失業率は労働参加率につれ前月の4.3%→4.1%と7カ月ぶりの水準へ下振れした。一方で、海外生まれは3カ月ぶりの水準へ戻した前月の4.4%→4.1%に低下した。いずれも、季節調整前の数字である。

チャート:米国生まれと海外生まれ、失業率の比較

--今回の雇用統計の詳細のポイントは、以下の通り。

①平均時給は前月比で市場予想超えは13業種のうち6業種。賃金の伸びは前月比で底堅さを示す。

働き盛り世代の男性の労働参加率は、白人含めそろって低下

③男女別では、男性の労働参加率が横ばいで女性は労働参加率は低下するなか、失業率が低下

人種・男女別では、労働参加率の低下にもかかわらず、黒人とヒスパニック系の女性の失業率が上昇した。

画像:労働参加率と失業率の人種別の動向、白枠は労働参加率が横ばいで失業率が低下したケース、薄緑枠は労働参加率と失業率が低下したケース、オレンジ枠は労働参加率が低下も失業率が上昇したケースを表す。

⑤学歴別では、大卒以上の労働参加率が上昇したところ、大学院卒の失業率が低下を継続。フルタイムの雇用増加と整合的

⑥季節調整前の数字ながら、全米の労働参加率の低下は米国生まれが主導。一方で、海外生まれの就業率の上昇は大卒以上の失業率低下と整合的。なお、労働力人口の減少は、失業率を押し上げも押し下げもしない中立的水準が移民によって押し上げられた16万人増~20万人増から、従来の6~10万人程度に縮小する可能性を示唆する。

ーー米12月雇用統計は、年末商戦の臨時雇用が細った影響で労働参加率が低下した実態が浮かび上がります。その結果、黒人とヒスパニック系の女性の間で、労働参加率が低下したにもかかわらず、失業率が上昇。米景気の鈍化とAI導入の影響は、非白人の女性の雇用を直撃しているようです。WSJ紙によれば、企業○社のトップは2026年の採用計画について66%が「横ばい、あるいは減少」と回答していたとか。米労働市場には、今年も逆風が吹きつけつつあるようです。

(カバー写真:WOCinTech Chat/Flickr)

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