U.S. December Jobs Report Mixed as NFP Slows, Jobless Rate Improves.
米12月雇用統計は、非農業部門就労者数(NFP)が市場予想以下だった一方で、失業率は労働参加率につれ、低下。全米の平均時給は底堅さを見せました。
結果を受け、FF先物市場では1月FOMCでの据え置き織り込み度が95.6%と、前週の83.6%から上昇。年内の利下げ織り込み予想は、引き続き2回となる。
チャート:FF先物市場、引き続き年内2回の利下げを予想

(出所:Street Insights)
今回の雇用統計のポイントは以下の通りで、まちまちな結果となりました。
(労働市場にポジティブ)
・平均時給の伸び、前月比と前年同月比そろって市場予想超え
・失業率が低下
・就業率は改善
・不完全雇用率が低下
・フルタイムが増加
(労働市場にネガティブ/ニュートラル)
・NFPは市場予想以下
・NFP、過去2カ月分は下方修正
・民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)、前月比と前年比ともに加速に反転
・労働参加率は低下
・長期失業者の割合が上昇
・完全解雇者の労働力人口の割合が2021年10月以来の高水準近くを維持
以下は、今回の雇用統計の詳細。
〇非農業部門就労者数
米12月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比5.0万人増となり、市場予想の6.6万人増に届かず。前月は6.4万人増→5.6万人増に下方修正された。
NFPの内訳をみると、民間就労者数は前月比3.7万人増と市場予想の6.4万人増を下回った。前月の5.0万人増(6.9万人増から下方修正)よりを下回った。ただし、民間サービス業は同5.8万人増と、前月の3.2万人増を超えた。

(出所:Street Insights)
チャート:民間就労者数、12月は小幅に6カ月連続で増加

(出所:Street Insights)
過去2カ月分の修正幅は、7.6万人の下方修正となる。
・10月 10.5万人減→17.3万人減、6.8万人の下方修正
・11月 6.4万人増→5.6万人増、0.8万人の下方修正
チャート:NFPと修正幅(グレー枠は2023年以降の修正幅)

(出所:Street Insights)
サービス部門のセクター別動向は11業種中で6業種で増加した。今回最も雇用が増加した業種は娯楽・宿泊で前月比4.7万人増に。これまで1位を独走してきた教育・健康で4.1万人増と続いた。政府は3番目にランクインしたが、連邦政府が2カ月連続で増加していた。減少した業種は年末商戦終了の反動で小売が同2.5万人減で、その他、専門サービスは過去8カ月間で7回目の減少となった。
(サービスの主な内訳)

(出所:Street Insights)
政府は前月比1.3万人増。連邦政府が同0.2万人増と、2カ月連続で増加した。州・地方政府は1.1万人増と増加トレンドを維持も、2022~2024年平均の3.8万人増より減速している。

財生産業は前月比2.1万人減と、過去8カ月間で6回目の減少となった。業種別をみると、建設が積雪の影響で同1.1万人減と、減少に反転。鉱業・伐採は0.2万人減と2カ月連続で減少。製造業は関税の影響も重なり、同0.8万人減と8カ月連続で落ち込んだ。

(出所:Street Insights)
チャート:業種別、雇用の増減

(出所:Street Insights)
〇平均時給
平均時給は前月比0.3%上昇の37.02ドル(約5,850円)で、市場予想と一致。前月の0.2%(0.1%から上方修正)上回った。2021年2月以降の上昇トレンドは維持。前年同月比3.8%と市場予想と前月の3.6%を超えた。逆に生産部門・非管理職は前年同月比3.6%と、21年5月以来の低い伸びとなり、管理職を含む全米と違って賃金の伸びが抑制されたことが分かった。
チャート:全米と生産労働者・非管理職の平均時給の伸び、明暗分かれる

(出所:Street Insights)
〇週当たり労働時間
週当たりの平均労働時間は34.2時間と前月の34.3時間を下回った。財部門(製造業、鉱業、建設)が39.7時間と、前げうtの39.9時間を下回り全体を押し下げた。コロナ禍で最長となった2022年2月の40.3時間以下を保ったままだ。全体の労働者の約7割を占める民間サービスは33.2時間と、6カ月連続で変わらず。とはいえ、2006年以降で最長を記録した2021年5月の33.9時間以下のトレンドを保つ。
チャート:週当たり平均労働時間、12月は財が押し下げ

(出所:Street Insights)
〇総労働投入時間、民間の総賃金
総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は民間の就労者数の伸びが前月を下回り、週当たり労働時間が低下したため、前月比0.2%減だった。
民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は、前月比横ばいとなった。前年同月比4.3%増、前月の4.4%増を下回った。3カ月平均も4.3%増と、前月の4.4%増を下回り、それぞれ21年3月以来の低水準となる。
チャート:民間部門の総賃金、前月から加速

(出所:Street Insights)
〇失業率、労働参加率、就業率、不完全就業率、長期失業者
失業率は4.4%と市場予想と前月の4.5%を下回り、3カ月ぶりの水準に戻した。四捨五入前では4.375%。ただし、労働参加率が62.4%と前月の62.5%から低下したように、職探しをする失業者が減少したことが一因。また、家計調査での就業者が同23.2万人増だった一方で、失業者数が同27.8万人減となったことも、失業率の低下につながった。なお、今回は季節調整の変更に伴い、2025年11月までの発表分が修正された。
チャート:失業率の四捨五入前の推移

(出所:Street Insights)
自発的離職者数は前月比0.1万人増の86.1万人だった。自発的離職者数に占める失業者の割合は前月の11.0%→11.1%へ小幅に上昇した。
チャート:自発的離職者数の推移

(出所:Street Insights)
失業率が上昇するなか、失職者数(一時的な解雇ではなく再編やM&Aなど会社都合での解雇者、派遣など契約が終了した労働者)は、前月比1.4万人減の254.4万人と、2021年9月以来の高水準となった9月を2カ月連続で下回った。失職者数の割合は他が低下した分、前月の32.8%→34.0%へ上昇、失業者のシェアでの1位を「再参入者」から奪取した。失職者のうち、完全解雇者(会社都合や非自発的な事情で雇用が終了し、求職活動を開始した失業者)が労働人口に占める割合は1.15%と、2021年10月以来の高水準近くを保った。
失職者数と同じく失業率を押し上げたのは労働市場への再参入者で前月比26.3万人減の233.7万人と、2015年5月以来の水準へ急増した前月の260万人を下回った。再参入者が占める失業者の割合は1位に躍り出た前月の33.3%→31.2%へ低下し2位へ戻した。新規参入者は同6.6万人増の84.0万人だった。前月比で増加した結果、失業者に占める割合は前月の9.9%→11.2%へ上昇し2019年9月以来の水準へ上昇した。
レイオフ(一時解雇)は前月比7.3万人減の92.9万人。2024年7月以来の100万人乗せとなった11月から減少したものの、高止まりが続く。失業者に占めるレイオフの割合は前月の12.8%→12.4%に低下した。
チャート:失業者の割合は失職者がトップを奪回、前月1位だった再参入者は2位

(出所:Street Insights)
チャート:失職者数は高止まり

(出所:Street Insights)
チャート:労働人口に占める完全解雇者の割合、2021年10月以来の近くで高止まり

(出所:Street Insights)
チャート:レイオフは小幅減

(出所:Street Insights)
労働参加率は前述したように62.4%と、前月の62.5%を下回った。20年2月(63.4%)以来の高水準を回復した2023年11月の62.8%以下が続く。
就業率は59.7%と、2021年12月以来の低水準だった前月の59.6%を上回った。
チャート:労働参加率は改善、就業率は低水準を維持

(出所:Street Insights)
経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている者などを含む不完全雇用率は8.4%、2021年8月以来の水準へ急伸した前月の8.7から低下も、高止まりした。
チャート:不完全雇用率、高止まり

(出所:Street Insights)
失業者とは、①失職中、②過去4週間に職探しを行なった、③現在、勤務が可能――の3条件を満たす必要がある。失業期間の中央値は前週の9.8週から11.4週へ延び2021年12月の水準に並んだ。一方で、27週以上にわたる失業者の割合も26%と、2022年2月以来の水準へ上昇した。
チャート:長期失業者が全失業者に占める割合は、22年2月以来の高水準

(出所:Street Insights)
〇病気が理由で働けないとする人々
「病気が理由で働けない」とする人々は、前月比1.6万人減の102.9万人へ減少。ただし、前月と同じく100万人台を保ち、コロナ前平均の2015‐19年の平均値の93万人を上回った。
チャート:「病気が理由で働けない」とする人々は2015-19年の平均値超え

(出所:Street Insights)
〇天候が理由で就業できなかった者
「病気が理由で働けない」とする人々は、前月比12.5万人増の21.5万人へ増加。積雪の影響で建設などの雇用を押し下げたと考えられよう。

(出所:Street Insights)
〇家計調査の就労者内訳
今回、事業所調査(給与台帳ベース、NFPや平均時給、週当たり労働時間など、CES)と家計調査(聞き取り調査ベース、失業率や労働参加率など、CPS)の就業者数の数字を比較すると、家計調査の就業者数は前月比23.2万人増と、NFPの5.0万人増を上回る結果となったた。
チャート:NFPと家計調査の就業者数の推移

(出所:Street Insights)
家計調査の就業者数を雇用形態別でみると、フルタイムが前月比89.3万人増となった。一方で、複数の職を持つ者は同45.3万人減、パートタイムは同74.0万人減と、年末商戦終了の反動が大幅減となった。
チャート:フルタイムのみ増加

(出所:Street Insights)
チャート:複数の職を持つ者、12月は大幅減

(出所:Street Insights)
なお、NFPで下方修正が続く理由は、回答率の低迷が一因と考えられる。また、回答率の低迷に伴い、業績が堅調で、回答する余裕のある企業の偏りが出るリスクも見込まれ、WSJ紙もその点を問題視していた。米労働統計局によれば、NFPを含むCES(他に平均時給、週当たり労働時間が含まれる)は、コロナ禍を経て他指標と同様に回答率は芳しくない。
今年とコロナ禍直前の結果を比較すると、以下の通り。
・CES(事業所調査、NFPや平均時給など)→25年3月に42.6%、20年2月は59%
・CPS(家計調査、失業率や労働参加率など)→15年4月に68.1%、20年2月は82.3%
・雇用動態調査(JOLTS、求人件数など)→25年3月に35.2%と、20年2月は56.4%
CPSは対面と電話での聞き取り調査により実施され、他と比較して高いとはいえ、それぞれ低迷したままだ。こうした違いを踏まえれば、CESの結果よりCPSの方が信頼性が高いように見える、しかし、CESの調査対象は12万2,000以上の会社や政府機関である一方で、CPSは2025年1月から6万世帯→5.5万世帯へ削減した。従って、通常は雇用の伸びについてはNFPを扱うCESを重視する傾向が強い。
チャート:雇用関連の調査回答率は低迷

(出所:Street Insights)
(カバー写真:WOCinTech Chat/Flickr)
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