米2月雇用統計、予想外にNFPは減少し失業率も上昇

by • March 6, 2026 • Finance, Latest NewsComments Off on 米2月雇用統計、予想外にNFPは減少し失業率も上昇542

Nonfarm Payrolls Unexpectedly Fell in February as the Unemployment Rate Rose.

米2月雇用統計は、非農業部門就労者数(NFP)は予想外に減少しました。加えて、労働参加率が低下したにもかかわらず失業率は上昇。全体的に、好調だった前月と正反対の結果となっています。

結果を受け、ドル円は一時157.38円まで本日安値を更新した後に切り返す動きを見せましたが、その後は失速。この日は、WTI原油先物が2023年10月以来の90ドル乗せに達しましたが、米10年債利回りに連れて推移した格好です。

チャート:ドル円、22時からのドル円の5分足

(出所:Street Insights)

FF先物市場では、米1月生産者物価指数の加速などもあって年2回の利下げ観測が後退していたところ、こうした観測が再燃しています。

画像:FF先物市場、米2月雇用統計前の9月利下げ再開予想から7月に前倒し

(出所:CME)

今回の雇用統計のポイントは以下の通りで、ネガティブが目立った。

(労働市場にポジティブ)
・平均時給の伸び、前月比と前年同月比そろって市場予想超え
・不完全雇用率は改善

(労働市場にネガティブ/ニュートラル)
・NFPは予想外に減少
・NFP、過去2カ月分は下方修正
・民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)、前月比と前年比ともに加速
・失業率は上昇
・労働参加率は低下
・就業率は低下
・フルタイム、パートタイム、複数の職を持つ者そろって減少
・完全解雇者の労働力人口の割合が2021年10月以来の高水準
・長期失業者の割合は上昇

以下は、今回の雇用統計の詳細。

〇非農業部門就労者数

米2月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比9.2万人減となり、市場予想の5.8万人増に反し減少した。前月は13.0万人増→12.6万人増に下方修正された。

NFPの内訳をみると、民間就労者数は前月比8.6万人減と市場予想の6.5万人増に反しマイナスとなった。前月の14.6万人増(17.2万人増から下方修正)に反し、マイナスに反転。民間サービス業は同6.1万人減と、前月の7.6 万人増(13.6万人増より上方修正)より弱い結果となった。

チャート:NFPと失業率

(出所:Street Insights)

チャート:民間就労者数、2月は再びマイナス反転

(出所:Street Insights)

過去2カ月分の修正幅は、6.9万人の下方修正となる。
・12月 4.8万人増→1.7万人減、6.5万人の下方修正
・1月 13.0万人増→12.6万人増、0.4万人の下方修正

チャート:NFPと修正幅(グレー枠は2023年以降の修正幅)

(出所:Street Insights)

サービス部門のセクター別動向は11業種中で5業種で増加、速報値ベースでの前月の6業種を下回った。今回最も雇用が増加した業種は金融で、続いてその他サービス、卸売、小売、公益が並んだ。一方で、これまで雇用をけん引してきた教育・健康は3.4万人減。これは、医療保険大手カイザー・パーマネンテのストライキで3万人超が就業できなかったため。その他、娯楽・宿泊や輸送・倉庫、専門サービスなどがマイナスだった。

(サービスの主な内訳)

(出所:Street Insights)

チャート:政府は前月比0.6万人減。連邦政府が同1.0万人減と、13カ月連続で減少。州・地方政府は同0.4万人増と3カ月連続で増加も、わずかなプラスにとどまった。

財生産業は前月比2.5万人減と、マイナスに反転。業種別をみると、製造業が同1.2万人減と、建設も同1.1万人減と弱い。鉱業・伐採は0.2万人減と、3カ月連続で減少した。

(出所:Street Insights)

チャート:業種別、雇用の増減

(出所:Street Insights)

〇平均時給

平均時給は前月比0.4%上昇の32.03ドル(約5,060円)で、市場予想0.3%を上回った。前月の0%(0.1%の低下から上方修正)も超え、2021年2月以降の上昇トレンドは維持。前年同月比3.8%と市場予想と前月の3.7%を上回った。逆に生産労働者・非管理職は前年同月比3.7%と前月と一致し、21年5月以来の低い伸びを保った。

チャート:生産労働者・非管理職の平均時給、低迷続く

(出所:Street Insights)

〇週当たり労働時間

週当たりの平均労働時間は34.3時間と、前月と一致した。前月と反対に、財部門(製造業、鉱業、建設)が40.2時間と、前月の40時間を上回り2023年1月以来の高水準だった。ただし、コロナ禍で最長となった2022年2月の40.3時間以下を保ったままだ。全体の労働者の約7割を占める民間サービスは33.2時間と、10カ月連続で変わらず。2006年以降で最長を記録した2021年5月の33.9時間以下のトレンドを保つ。

チャート:週当たり平均労働時間

(出所:Street Insights)

〇総労働投入時間、民間の総賃金

総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は民間の就労者数が前月で減少したため、週当たり労働時間が変わらなかったものの、前月比0.1%減と2カ月連続でマイナスだった。

民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は、前月比0.3%と2カ月連続でプラス。前年同月比は4.4%増、前月の4.7%増を下回った。3カ月平均は4.3%増と、前月と概ね変わらなかった。

チャート:民間部門の総賃金、前年比は鈍化

(出所:Street Insights)

〇失業率、労働参加率、就業率、不完全就業率、長期失業者

失業率は4.4%と、市場予想と前月の4.3%を上回った四捨五入前では4.441%。しかし、労働参加率が62.0%と前月の62.1%(62.5%から下方修正)を下回っており、職探しをする人々が減少したにもかかわらず、失業率は上昇した。失業者数が同20.3万人増、就業者数が同18.5万人減だった結果、失業率の上昇につながった。なお、今回は政府機関の閉鎖で2026年の人口推計の更新が実施された。

チャート:失業率の四捨五入前の推移

(出所:Street Insights)

自発的離職者数は前月比0.1万人増の86.5万人だった。3カ月連続で概ね変わらず。自発的離職者数に占める失業者の割合は、前月の12.1%→12.8%へ上昇した。

チャート:自発的離職者数の推移

(出所:Street Insights)

失業率が上昇するなか、失職者数(一時的な解雇ではなく再編やM&Aなど会社都合での解雇者、派遣など契約が終了した労働者)は、前月比3.7万人増の269.4万人と、2021年9月以来の高水準となった。失職者数の割合は前月の35.6%→35.4%へ低下したが、3カ月連続で1位を維持。失職者のうち、完全解雇者(会社都合や非自発的な事情で雇用が終了し、求職活動を開始した失業者)が労働人口に占める割合は1.19%と、2021年10月以来の高水準だった。

一方で、労働市場への再参入者は前月比15.2万人増の232.0万人と、3カ月ぶりに増加した。再参入者が失業者に占める割合は、前月の31.0%→30.5%へ低下した。新規参入者は同0.9万人増の80.5万人だった。前月比で増加した結果、失業者に占める割合は前月の10.8%→10.6%へ低下した。

レイオフ(一時解雇)は前月比8.6万人増の92.5万人。2024年7月以来の100万人乗せとなった25年11月の水準以下が続く。失業者に占めるレイオフの割合は前月の11.2%→12.2%に上昇した。

チャート:失業者の割合は失職者トップを維持

(出所:Street Insights)

チャート:失職者数は2021年9月以来の高水準

(出所:Street Insights)

チャート:労働人口に占める完全解雇者の割合、2021年10月以来の高水準

(出所:Street Insights)

チャート:レイオフは3カ月ぶりに増加

(出所:Street Insights)

労働参加率は前述したように62.0%と、前月の62.1%(62.5%から下方修正)を下回り、2021年12月以来の水準に低下した。20年2月(63.4%)以来の高水準を回復した2023年11月の62.8%以下が続く。

就業率は59.3%と、前月の59.4%(修正値)を下回り2021年11月以来の低水準だった。

チャート:労働参加率、就業率はそろって2021年以来の低水準

(出所:Street Insights)

経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている者などを含む不完全雇用率は7.9%、2025年11月の8.7%から3カ月連続で低下した後述するように、これはパートタイムの雇用が減少したためと考えられる。

チャート:不完全雇用率、2カ月連続で低下

(出所:Street Insights)

失業者とは、①失職中、②過去4週間に職探しを行なった、③現在、勤務が可能――の3条件を満たす必要がある。失業期間の中央値は2021年12月の水準に並んだ前週の11.0週から11.1週へ延びた27週以上にわたる失業者の割合も前月の24.7%→25.3%。2025年12月は26.0%と、2022年2月以来の水準へ上昇していた。

チャート:長期失業者が全失業者に占める割合は、22年2月以来の高水準近くに

(出所:Street Insights)

〇病気が理由で働けないとする人々

「病気が理由で働けない」とする人々は、前月比7.8万人減の113.5万人。ただし、4カ月連続でコロナ前平均の2015‐19年の平均値の93万人を上回った。

チャート:「病気が理由で働けない」とする人々は2015-19年の平均値超え

(出所:Street Insights)

〇天候が理由で就業できなかった者

「悪天候が理由で働けない」とする人々は、前月比3.0万人増の26.7万人へ増加。積雪などの影響が及んだ可能性があるものの、影響は部分的だったとみられる。

(出所:Street Insights)

〇家計調査の就労者内訳

今回、事業所調査(給与台帳ベース、NFPや平均時給、週当たり労働時間など、CES)と家計調査(聞き取り調査ベース、失業率や労働参加率など、CPS)の就業者数の数字を比較すると、家計調査の就業者数は前月比18.5万人減と、NFPの9.2万人減と同じくマイナスだった。

チャート:NFPと家計調査の就業者数の推移

(出所:Street Insights)

家計調査の就業者数を雇用形態別でみると、フルタイムが前月比10.0万人減と2カ月連続で減少した。パートタイムは同24.9万人減と、減少に反転。複数の職を持つ者も同35.2万人減と、いずれも減少し労働需要の減速を示唆した可能性を示す。

チャート:フルタイム、パートタイムなどそろって減少

(出所:Street Insights)

チャート:複数の職を持つ者、2月は3カ月連続で減少

(出所:Street Insights)

なお、NFPで下方修正が続く理由は、回答率の低迷が一因と考えられる。また、回答率の低迷に伴い、業績が堅調で、回答する余裕のある企業の偏りが出るリスクも見込まれ、WSJ紙もその点を問題視していた。米労働統計局によれば、NFPを含むCES(他に平均時給、週当たり労働時間が含まれる)は、コロナ禍を経て他指標と同様に回答率は芳しくない。

今年とコロナ禍直前の結果を比較すると、以下の通り。

・CES(事業所調査、NFPや平均時給など)→25年3月に42.6%、20年2月は59%
・CPS(家計調査、失業率や労働参加率など)→15年4月に68.1%、20年2月は82.3%
・雇用動態調査(JOLTS、求人件数など)→25年3月に35.2%と、20年2月は56.4%

CPSは対面と電話での聞き取り調査により実施され、他と比較して高いとはいえ、それぞれ低迷したままだ。こうした違いを踏まえれば、CESの結果よりCPSの方が信頼性が高いように見える、しかし、CESの調査対象は12万2,000以上の会社や政府機関である一方で、CPSは2025年1月から6万世帯→5.5万世帯へ削減した。従って、通常は雇用の伸びについてはNFPを扱うCESを重視する傾向が強い。

チャート:雇用関連の調査回答率は低迷

(出所:Street Insights)

(カバー写真:infradept/Flickr)

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