FOMC Will Likely Unwind Market Expectations Next Week.
最近、NY時間午後3時過ぎ当たりに出てくるウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFOMC観測記事。本日もやってくれました。以下は、当方の記事を元にまとめたものです。
「米連邦公開市場委員会(FOMC)は、マーケット関係者の間で前倒しされつつある利上げ開始期待を修正してくる見通しだ。FOMCを18-19日に控えるなか、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙オンライン版が13日、ジョン・ヒルゼンラス記者の署名入り記事で伝えた。
資産買入縮小がバーナンキFRB議長やFOMC高官の間で取り沙汰される半面、FOMCメンバーは利上げを含めた早急な緩和策の終了を意味しないと説得し続けてきた。こうした努力も空しく、FF金利先物はFF金利誘導目標が2014年12月までに0.35%へ上昇すると織り込み、ユーロダラー先物では14年12月に3ヵ月物金利につき0.64%への上昇を見込む。以前は利上げ開始時期が2015年半ばとされていただけに、足元で急速に利上げ開始が前倒してきたかが分かる。
WSJ紙は、こうした動向に対し1)マネーマーケット市場が混乱してきた、2)市場が強い経済を織り込むと同時に金利引き上げを予想し始めた、3)低金利をを確約するFedの政策を疑問視し始めた――ことが背景として挙げられると説明。なかでも、3)がおそらく正解とした上で『経済見通しが特に変わっていない点を踏まえると、マーケットがFedの政策を不安視し始めたことの表れだろう』とコメントしたゴールドマン・サックス(GS)のジャン・ハッチウス主席エコノミストの言葉を引用した。」
日本株を発火点とした金融市場が値崩れを始めるなか、こうした記事は米株を中心に相場に安心感を与えました。やっぱり「緩和」というモルヒネ、抜群に効きます。
ちなみに前回、同じような時間帯にマーケットを動かした当時はあくまで「噂」でしたけど・・。当時は5月9日にFOMCが資産買取縮小に動くというニュースを配信するとの噂が流れ売りへ舵を切り、S&P500はザラ場・終値ベースでの最高値更新記録を6営業日で止めましたっけ。本物の記事が出回ったのは、10日引け後でした。
WSJ紙がこうした観測気球をぶち上げる理由、ちゃんとファンダメンタルズにも潜んでたんですよね。
本日の米5月小売売上高の結果は予想を上回ってきました。
しかし、中身を切り取ってみると、消費もバラ色とはいえません。数字は前月比ベースで一番左が5月、一番右が1月、マイナスは(-)で示しています。
(増加項目)
自動車・部品 1.8% 0.7% -0.4% 1.4% -0.5%
食品・飲料 0.7% -0.6% 0.0% 1.0% 0.0%
建築材 0.9% 3.6% -0.8% 0.5% 1.0%
健康・介護 0.2% 0.0% -0.3% -0.1% -0.5%
スポーツ衣料 0.6% -0.9% -1.9% 0.4% 1.4%
一般雑貨 0.5% -0.3% 0.2% 0.0% 0.3%
雑貨類 1.2% 0.3% 1.9% -0.1% -0.7%
オンライン含む非店舗 0.7% 0.6% 0.8% 1.1% 1.2%
(減少項目)
家具 -0.8% -0.2% -0.1% -0.7% -0.3%
電化製品 -0.4% 1.7% -2.2% 0.0% 0.0%
服飾 -0.2% 1.0% 0.7% -0.3% 0.1%
百貨店 -0.2% -0.4% -0.3% -1.3% 0.4%
外食 -0.4% 1.1% 0.9% -0.4% -0.6%
ガソリン・スタンド -0.2% -3.1% -3.1% 5.6% 0.9%
減少項目には、裁量的支出を表す分野が並んでいることがお分かりいただけるでしょう。住宅指標が強い数字を叩き出す一方で家具が減少基調をたどっているほか、電化製品が冴えないのは気掛かりです。
特に若い世代は学生ローンの負担もあって、購買力は限られます。
労働市場だって、米5月雇用統計が示したように労働参加率が上向いてくれば失業率の低下にも歯止めが掛かるわけで・・。Fedはそう簡単に緩和策を全体的に巻き戻すことはできないでしょう。
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