Economists : August Jobs Report Will Not Stop Tapering.
米8月雇用統計、いよいよ発表されます。
非農業部門就労者数(NFP)のエコノミスト予想は、18.0万人増。7月の16.2万人増を上回る数字が見込まれています。政府を除いた民間の就業者数を表す米8月ADP全国雇用者数が17.6万人増のなか、想定範囲内でNFPの見通しを変更するエコノミストはほとんど確認しておりません。失業率予想は、前月と同じく7.4%です。
エコノミストの見通しを拾っていきますと。
▽ピアポイント・セキュリティーズの主席エコノミスト、スティーブン・スタンリー氏
NFP予想→16.0万人増、失業率予想→7.4%
「前月と、ほぼ変わらずの伸びにとどまるだろう。いずれ増加幅が広がるだろうが時間が必要だ。とはいえ、Fedは春の段階でこれ以上のQEは恩恵より損失を与えると判断したと考えられ、縮小に踏み切ると予想する。かく乱要因は、シリアといえよう。」
→5月1日公表のFOMC声明文で縮小の可能性に初めて言及してから、機は熟したと判断しています。
▽メジロウ・フィナンシャルの主席エコノミスト、ダイアン・スワンク氏
NFP予想→16.5万人増、失業率予想→7.4%
「FedにQE縮小を断念させるほど、悪い数字とはならないだろう。仮に13-14万人増へ伸びが鈍化しても過去分の大幅な下方修正が含まれるなど、これまでの見方を覆すような結果にならない限りQE縮小に着手する見通し。QE縮小は米国債のみで実施し、比較的小幅にとどめると見込む。FRB議長が決定する10月、12月のFOMCで、QE縮小の方向性を形成してくるのではないか。」
→オバマ米大統領はFRB議長後任の最有力とされるサマーズ前米国家経済会議(NEC)委員長、イエレンFRB副議長いずれも指名しておらず、QE縮小の道筋には自由度を確保しておきたいところでしょう。
※WSJ紙はサマーズ氏が指名された場合、少なくとも22人で構成される米上院銀行委員会の民主党議員3人が反対すると報道。同委員会では民主党が2名上回るだけなので、3名が異議を唱えればサマーズ氏は米上院での採決前に腰折れする見通しです。
サマーズFRB議長の誕生は、ワシントンも諸手を挙げて歓迎していないんですね。
▽ムーディーズ・アナリティックスの主席エコノミスト、マーク・ザンディ氏
「NFPの増加幅が15万人を下回らなければ、QE縮小に踏み切る見通しだ。対象は米国債のみとなるだろう。ノースウェスタン大学の教授が今年のジャクソン・ホールで提出したレポートで示したように、住宅ローン担保証券の縮小は金利上昇を加速しかねない。まず米国債の買取ペースを現時点の450億ドルから150億ドル減らし、2014年半ばに終了させると見込む。」
→15万人という数字は、かつてバーナンキFRB議長が失業率が低下する節目と明言したように大事なベンチマーク。米ADP全国雇用者数の算出に協力する同社のエコノミスト、さすがにここは抜けてくると予想しているんですね。
以上、エコノミストは米8月雇用統計がQE縮小にゴーサインを送る見通しを描いているんですね。問題は、マーケット・インパクト。特に米債利回りが気になりますね。ストラテジストの見解はといいますと・・・。
▽CRTキャピタルのシニア米国債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏
米8月雇用統計にある程度楽観的な見方が強まるなか、米雇用統計が発表される1日の変動利回り幅が約12bpである点に注意。仮にNFPが20万人を超えれば、心理的節目の3.0%を軽く突破し3.08-3.10%へ到達するだろう。
すでに本日、2011年7月以来の3.0%突破に接近しており、強気な数字が飛び出せばさらに上振れリスクが高まります。ダウ平均も15000ドル手前で戻りが鈍いなか、頭を抑えられるどころか下押しするシナリオも想定しておきたいところです。
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