After The Good News, Wendy Davis Is Facing Biography-gate.
テキサス州議会のウェンディ・デービス上院議員といえば、中絶制限法案(House Bill 2略してHB2)に反対しフィリバスターで廃案に追い込もうとした女性として全米にその名を轟かせました。彼女の努力と献身にも関わらず、同州上下院で可決しリック・ペリー知事によって2013年7月に署名されましたが、一躍女性を代表する議員として、テキサス州知事選に打って出ています。
2013年10月から発効したテキサス州・中絶制限法案の主な内容は、以下の通り。
1)中絶を行うクリニックは病院並みの施設を必要とする
2)担当医は、クリニックから30マイル(48.3km)以内にある病院で特別認可を取得していなければならない
3)妊娠20週目以降の中絶は禁止
4)薬剤での中絶禁止
2)の条項は、日本人には反対する理由にピンとこないかもしれません。テキサス州の面積は69万6241平方kmで日本の37万7914平方kmの約2倍に相当するだけに、この距離は非常に短い。従って、病院に勤務しながら医師が個人経営するクリニックの多くが閉鎖を余儀なくされることも重なり、由々しき問題となっていたんです。
米最高裁判所では中絶制限法が導入された2013年10月から1ヵ月後、2)条項の存続を5対4で決定しています。ただしロー対ウェイド事件で最高裁が1973年に下した判決に基づき、アリゾナ州で成立した「妊娠20週以上の中絶禁止」には巡回控訴裁判所による違法との判決を維持。オクラホマ州の中絶制限法にある「超音波テスト義務付け」、「薬剤による中絶禁止」といった2つの条項も違法とするオクラホマ高等裁判所の判決を尊重しており、テキサス州の他の条項にどのような結論を導くかが注目されます。
最高裁の判断を待つより、デービス上院議員の知事選立候補を受けテキサス州知事選で女性をはじめリベラル寄りが行動に打って出ているんです。
やり場のない怒りのパワーを、デービス議員への支援に転化。
(出所 : ABCNews)
デービス上院議員側が1月14日に発表した2013年7−12月期間中に集めた選挙資金は、1220万ドル(12億6880万円)に達しました。350万ドル(3億6400万円)は、デービス議員を知事選で勝利させるために組織された民主党団体テキサス・ヴィクトリー・コミティ—からとなっています。それだけではありません。7万8143人もの個人が寄付していました。85%が50ドル(5200円)以下というから、驚きです。共和党の最右翼候補でテキサス州司法長官のグレッグ・アボット候補側が1150万ドル(11億9600万円)だったことを踏まえると、草の根運動の炸裂っぷりが際立ちます。小学校2年生で習ったスイミーを思い出しますね。
こんな飛沫候補とは決して言えないデービス議員ですから、選挙資金発表後わずか1週間も経たない間にアンチ報道が飛び出しました。選挙区割りと投票権に関する公聴会でデービス議員の最初の離婚が19歳だったと宣誓していた過去を持ち出し、実際は21歳だったと地元のダラス・ニュースがスクープしたんです。また再婚相手に大学費用を半分もたせたと報じていました。彼女がいかに知事選で台風の目となっているか、うかがえますね。
ダラス・ニュースに寄せられた一般市民のコメントをみると、20年の長きにわたって共和党の知事(ブッシュ前大統領、リック・ペリー現知事)を支持してきただけに批判の嵐。「デービスはもう終わりだ」、「嘘つき」、はてには「玉の輿狙い」とまで罵る声もありました。一方で「テキサス州は変わるべきだ」、「たとえ記憶違いがあったとしても、能無し現役議員より100倍いい」と冷静なコメントもありましたよ。他メディアでは「彼女の金髪も本物か確かめるの?」、「別居した時期を離婚と判断する場合もあるんだし、目くじら立てること?」、「何で関係ない個人情報を聞き出してたんだろう」との声も。まだ選挙戦の火蓋が切ったばかりでこれですから、今後はどんな中傷報道が飛び出すことでしょう。
(カバー写真 : texastribune.org)
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