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世界のビリオネアにとって、現状は「現金こそ王様」

by • September 23, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off4176

For Billionaires, Cash Is Indeed King.

億万長者は現状、マーケットに様子見を決め込んでいます。

ウェルスXとUBSが実施した「2014年版:ビリオネア調査」によると、2014年6月末時点で純資産が10億ドル(1090億円)以上のビリオネアは世界で2325人を数えました。2013年6月末から7.2%増(155人増)となり、過去最高を更新しています。ビリオネアの総資産は4.4%上昇の7.3兆ドル(795兆円)に及び、米国(16.8兆ドル、2013年時点)の約半分といいますから驚異的!さらに2位の中国(9.24兆ドル)以下ながら、3位の日本(4.9兆ドル)を凌駕しています。総資産の増加はS&P500が約20%上昇したように、株式市場がけん引役でした。

しかし足元で、総資産に占める現金は平均6億ドル(655億円)にのぼります。米連邦公開市場委員会(FOMC)の出口戦略入り、欧州中央銀行(ECB)の緩和策を見据え、総資産の19%をキャッシュに割り当てているんですね。どれだけの規模かというと、カリブ海に浮かぶドミニカ共和国のGDPに相当するほど。金融危機での手痛いレッスンを踏まえ、「現金は王様(Cash Is King)」という格言に従って積み上がるに任せたままにしているんです。

不動産資産はというと、キャッシュの19%に対し3%を振り向ける程度でした。ビリオネアが積極的に関与しているとは思えませんが、投資活動の縮小を現した米8月中古住宅販売件数の結果を彷彿とさせますね。典型的な億万長者は、平均2350万ドルの不動産を4ヵ所保有していました。その他の資産では2%が飛行機をはじめヨットといった超贅沢品に振り向けられており、スポーツ関連なども。スポーツカーだけではなく、億万長者30人のうち1人はスポーツチームあるいはレース用の馬を保有しているんです。

UBSの超富裕層向け部門の最高投資責任者(CIO)であるサイモン・スマイルズ氏は、現金のシェア上昇の理由につき「ラリーを確認した、あるいはラリーに乗り遅れた背景から、株式およびリスク資産とも投資比率を低下させている」と説明します。もはや「割安と判断できず、今から相場に足を踏み入れるのは感情的に困難になっている」そうなんですね。

ビリオネアの横顔に迫ってみましょう。平均年齢は63歳、平均総資産は31億ドル(3380億円)也。男性が88%と圧倒的なんです。

年齢層のチャートは、以下の通り。
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地域別ランキングは、以下の通り
1位 欧州 総資産 2兆3750億ドル 775人
2位 北米 総資産 2兆3710億ドル 609人
3位 アジア 総資産 1兆4100億ドル 560人
4位 南米 総資産 5110億ドル 153人
5位 中東 総資産 4130億ドル 154人

国別では、以下の通り。GDPのようにアメリカがぶっちぎり、2位は中国。
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都市別で栄えある1位に輝いたのは、ビッグアップルの愛称で親しまれるニューヨークで103人。ただしトップ20のうち8都市をアジアが占めます。もちろん、東京も含まれておりますよ。

香港、北京、シンガポール、ムンバイ・・・アジアの台頭が目立ちます。
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財産を築いた基盤をみると、「果報は寝て待て」の諺を無視して働くからこそ億万長者のステータスを獲得できることが分かります。「自助努力」が55%と最高で「財産相続/自助努力」の26%を合わせれば81%と大半を占めており、運任せにしていないんです。「財産相続のみ」は、19%に過ぎません。

財産を築くのに、学歴は比較的関係なし?大卒は65%であり、大卒以下は35%を占めます。ビリオネアのうち非上場企業を設立あるいは勤務する割合が最も大きく63%、上場企業は31%、その他は6%。上場企業の場合は、規制当局からの厳しい監督にさらされているだけに、未上場の企業にビリオネアが多いのは頷けます。

(文中写真:Wealth X、カバー写真:Home Hunts)

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