September Job Openings Rate Clears Yellen’s Dashboard.
米労働省が発表した米9月雇用動態調査（JOLT）の件数ベースでは、求人数が前月比2.4％増の473.5万人と、市場予想の480万人を下回った。2001年1月以来の高水準を達成した前月の485.3万人（483.5万人から下方修正）から、減速している。
新規採用人数は6.0％増の502.6万人となり、3ヵ月ぶりに増加。ボトムをつけた2009年6月の水準を上回っただけでなく、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人の大台を突破した。離職者数は5.7％増の478.8万人と、こちらも3ヵ月ぶりに増加。定年や自己都合による退職者も275万人と、前月の247万人（速報値）を上回っていた。
JOLTの求人率をみると、前月の3.4％から3.3％へ低下した。民間が前月の3.6％から3.5％へ下向いている。民間のうち建設、製造業、娯楽・宿泊などが前月以下を示した。反対に製造業はホリデー商戦前とあって小売のほか専門・ビジネスサービス、教育などが上昇した。政府は2.0％と、前月と変わらずだった。
ホリデー商戦を控え、UPSなど臨時雇用を大幅動員。
（出所：Business Week）
就業者に対する新規採用率は、前月の3.4％から3.6％へ上昇。民間が4.0％と前月の3.8％から加速し、全体を押し上げた。政府機関も前月の1.4％から1.5％へ上向いた。自発的および非自発的、あるいは引退などを含めた離職率は前月の3.3％を超え3.4％。民間が前月の3.6％から3.8％とけん引しており、政府は前月と変わらず1.4％だった。自発的離職率は2.0％と、2008年4月以来のの高水準。2007年12月の2.1％に、あと一歩と迫る。解雇率は1.2％だった。
8月までの過去1年間で、離職者数は5400万人だったものの採用人数は5660万人だった。ネット採用者数は、260万人増となる。しかし求人1件当たりの競争倍率は2倍で、引き続き景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を上回ったままだ。
なお米9月雇用統計・非農業部門就労者数（NFP）は、改定値で25.6万人の増加。前月こそ20万人割れへ転落したが、大台を回復した。
——以上、米9月雇用動態調査を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。（）内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。
1）求人率—○
2009年7月（最悪時点） 1.6％
2004−07年平均 3.0％
現時点 3.3％
2）解雇率—○
2009年4月（最悪時点） 2.0％
2004−07年平均 1.4％
現時点 1.2％
3）自発的離職率—×
2010年2月（最悪時点） 1.3％
2004−07年平均 2.1％
現時点 2.0％
4）採用率—×
2009年6月（最悪時点） 2.8％
2004−07年平均 3.8％
現時点 3.6％
5）非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均（最悪時点） 82.6万人減
2004−07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 22.4万人
6）失業率—×
2009年10月（最悪時点） 10％
2004−07年平均 5.0％
現時点 5.8％
7）不完全失業率—×
2010年4月（最悪時点） 17.2％
2004−07平均 8.8％
現時点 11.5％
8）長期失業者の割合—×
2010年4月（最悪時点） 45.3％
2004−07年平均 19.1％
現時点 32.0％
9）労働参加率—×
2014年9月（最悪時点） 62.7％
2004−07年平均 66.1％
現時点 62.8％
こうしてみると、労働市場の改善は依然としてまだら模様。JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受け「離職率の急伸は職探しに対する自信の表れ」と評価しています。全体的にも「労働市場の循環的な動向は、急速な改善を示す」とも指摘。ただし「ベバレッジ・カーブが上向き続ける現状を踏まえると労働市場には構造的なミスマッチが横たわっており、未だ金融危機の後遺症を引きずっていると」とも付け加えていました。NY連銀のダドリー総裁が13日、早過ぎる利上げは遅過ぎる場合より「かなり大きな」リスクがあると言及したのも頷けます。
ベバレッジ・カーブ（出所：JP Morgan）、確かに一向に低下する気配なし。
（カバー写真：Corebloggers）
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