Economists Raise Q4 GDP Outlook After November Trade Deficit Narrows To An 11-Month Low.
米11月貿易収支は390.01億ドルの赤字となり、市場予想の420億ドルより赤字幅を縮小させた。11ヵ月ぶりの低水準を示現。前月の422.49億ドル（434億ドルから修正）を7.7％下回り、過去6ヵ月間で5回目の減少を示す。ドル高にも関わらず、原油安に伴う石油輸入額の大幅減を背景に赤字縮小につながった。
内訳をみると、輸出が前月比1.0％減の1963.57億ドルとなり5ヵ月ぶりの低水準だった9月の1952億ドルに近づいた。輸入にいたっては2.2％減の2353.59億ドルと、足元久々に減少に反転している。国内総生産（GDP）の算出に使用される実質ベースのモノの赤字は478.44億ドルと、前月の500.82億ドルを下回り4ヵ月ぶり低水準。なお2013年の貿易赤字は4715億ドルと2009年以来でもっとも改善しており、2014年も貿易赤字は縮小トレンドをたどる期待が大きい。
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受けて「輸入の減少は石油が主因で6.6％減となり石油を除いた場合は0.9％減に縮小する」と説明。ドル高にも関わらず、原油以外の輸入が減少した理由は「西海岸の港湾ストライキに伴う余波」であり、一時的との考えを示唆している。いずれにしても輸入の減少は11月の実質貿易赤字を削減させ、10−12月期国内総生産（GDP）における純輸出のマイナス寄与を回避させる見通し。10月貿易赤字の下方修正も重なり、ヒューウィッツ氏は米10−12月期GDPの予想を「従来から0.8％ポイント引き上げ3.5％増」とした。
バークレイズ以外の各エコノミストによる米10−12月期GDP予想は、米11月貿易赤字を経て以下の通り。
＞ドイツ銀行 4.2％増
＞ムーディーズ 3.5％増
＞JPモルガン 3.0％増
＞アクション・エコノミクス 3.0％増
＞ゴールドマン・サックス 2.5％増
以下は、輸出および輸入の内訳と各国ごとの貿易収支動向。
輸出の内訳をみると、モノは前月比1.3％減と前月の1.9％増から減少に転じた。
（増加項目）
・食品/飲料 2.3％増と前月の0.7％減から増加
・産業材 1.7％増と前月の0.2％減を上回り3ヵ月ぶりに増加
（減少項目）
・資本財 4.8％増と前月の3.5％増を相殺
・自動車 3.6％増と過去4ヵ月間で3回目の減少
・消費財 2.7％減と前月の2.6％増を打ち消し
・サービス 0.2％減と過去5ヵ月間で3回目の減少
輸入の内訳をみると、ドル高にも関わらずモノが2.6％減となり足元久々に減少に転じた。原油を除いた場合は1.2％減。主なカテゴリー別で、消費財以外がそろって減少を示した。
（増加項目）
・消費財 3.4％増と前月の1.6％減から増加
（減少項目）
・自動車 2.6％減と前月の4.6％増から反転し過去4ヵ月間で3回目の減少
・資本財 1.6％減と前月の2.0％増から反転
・食品／飲料 4.5％減と3ヵ月ぶりに減少
・産業財 8.4％減と前月の0.2％増から反転し過去4ヵ月間で3回目の減少
国別での貿易赤字動向をみると、最も赤字が多い中国は前月比8.2％減の299.37億ドルだった。日本も14.3％減の55.22億ドル。欧州でも21.6％減の118.06億ドルとなり、そろって減少している。主な原油輸出国への赤字は、原油安・ドル高を背景に軒並み2桁の減少に。カナダは47％減の11.97億ドル、メキシコも13.7％減の44.49億ドルとなる。石油輸出国（OPEC）はサウジアラビアが米国向け販売価格を引き下げたこともあり55.7％減の7.81億ドルだった。
——10−12月期の純輸出がGDPにマイナス寄与すると予想されたにも関わらず、今回の結果を受けほぼ中立となる公算になりエコノミスト諸氏はそろって米10−12月期GDP予想を引き上げました。バークレイズで0.8％ポイントの引き上げ、JPモルガンで0.5％ポイントの引き上げと、修正幅も非常に大きかったんです。原油安の恩恵は消費者への実質所得引き上げだけでなく、貿易面にも現れました。12月16—17日開催の米連邦公開市場委員会（FOMC）声明文や議事録で原油安に楽観的だったのは、こうしたメリットを配慮したのでしょうか。米12月ADP全国雇用者数とともに、米景気に楽観的な数字が飛び出しダウ平均の200ドル高を促しました。
（カバ—写真：Stakeholder group）
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