The Chart That Tells You Why Wages Didn’t Grow Much In February.
米2月雇用統計・非農業部部門就労者数(NFP)は、確かに絶好調でした。
もっとも、賃金動向は芳しくありません。その理由がひと目で分かるチャートは、こちら。
ご覧のようにNFPの増加をけん引したセクターは、娯楽・宿泊、貿易・輸送、食品サービス、教育・健康など。特に娯楽・宿泊に含まれる食品サービスは5.9万人増と、NFP全体の約22%占めるにいたりました。食品サービスといえば、ウェイターやウェイトレス、バーテンダーといった比較的、低賃金の職を含みます。思い出して下さい。こちらで指摘させて頂いたように、時給は全米平均を大きく下回っていましたよね?
その他、所得が低い職種といえば小売と教育・健康が当てはまります。こうした職種の2月雇用動向を見ると、娯楽・宿泊は6.6万人増、教育・健康は5.4万人増、小売は3.2万人増でした。合計は15.2万人増に及び、米2月雇用統計・NFPが29.5万人の約半分を占めています。
時間当たり賃金が比較的高い製造業の職種が2月に0.8万人増だったことを踏まえると、製造業の就労者数がウェイター/ウェイトレス/サーバー/バーテンダーをはじめとする外食サービスに逆転される日もすぐそこまで来ているようです。製造業だけでなく、2月はITや金融もそれぞれ1.0万人増、0.7万人増にとどまり、食品サービスなどとは雲泥の差。賃金の低い職種で雇用拡大をけん引している状況では、力強い伸びを達成し続けるなんて夢のまた夢ですよね。
金融市場のメッカであるニューヨーク市での雇用にも、変化の波が訪れています。ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙によると、2009年末からNY市は410万人の雇用を創出するなか、金融は42万5000人でした。グーグルやバズフィードなど、ITやソーシャルメディア関連など高賃金の職も増えてきたとはいえ、金融セクター以外では特にホテルやレストランでの雇用がけん引してきたといいます。
2012年のデータと古くて恐縮ではありますが、ニューヨーク市がまとめた「The Middle Class Squeeze」と題したレポートでは、ウォールストリートの職が芳しくないせいか、中流階級の苦難が浮き彫りとなっていました。
中流層の所得・中央値は2001年をピークに、右肩下がり。
労働働参加率が2012年に84.5%と、1989年以来の水準へ低下したにも関わらず、失業率は高水準を維持。
(出所:council.nyc.gov)
ニューヨーク州でみても、失業率の改善ペースは鈍い。2014年12月時点で5.8%と同年11月と変わらず、当時の全米失業率5.6%を上回っていました。テクノロジーの進展もあって金融関連の仕事が減少するなか、ニューヨーク市が映し出す雇用実態は全米の縮図とも言えそうです。
(カバー写真:Kansascity Star)
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