China To Buy Blue-Chip ETFs To Stabilize Its Stock Market, Deja Vu Of U.S. Back In 1929?
モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)が中国本土の人民元建てA株につき新興国株式指数組み入れ見送りを決定してから約3週間後、中国株が弱気相場入りすると誰が想像したでしょうか。
中国証券業協会は4日に公表した声明で、中信証券など21社の証券会社による 1)市場安定化基金の設立、2)上海総合指数4500割れでの保有株売却停止——を決定。市場安定化基金をめぐっては21社が6月末時点の純資産15%に相当する1200億元(約193億ドル、約2兆3800億円)を出資し、まず優良株で組成された上場投資信託(ETF)の購入により相場を支えていく。関係者によると、中国人民銀行も足並みをそろえソブリン・ファンドを通じ関与していく構え。ロイターによると、人民銀行は流動性確保を狙い2500億元(約4兆9500億円)の中期融資をロールオーバーした。
ただし、市場安定化基金の出資額が適切かどうかは不透明。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、6月12日に5178をつけ直近高値を更新してから約3週間で時価総額にして2.4兆ドル(約295兆円)吹き飛んでおり、これは2014年時点のギリシャ国内総生産(GDP)2420億ドルの10倍に匹敵する水準だ。
上海総合、3日引け値は3686.92とピーク時から約30%も急落。
(出所:Stockcharts)
しかも、信用取引で生じた債務も大きな懸念材料。中国で株式投資人口は9000万人を超えるとされるなか、証券会社から借りて株式投資を行う信用取引の債務はWSJ紙によると2兆元(約40兆円)を突破し前年比で5倍近くに膨らんだ。高い倍率でレバレッジを効かせたおかげで株式相場の高騰を演出したものの、下落局面では強制的な決済や追加証拠金のための現金化を招き売りに拍車を掛けている。
中国証券監督管理委員会は1日に信用取引規定を緩和させ株式取引手数料を引き下げたほか、自宅など不動産を信用取引の担保として承認。3日引け後には、新規株式公開(IPO)を停止し流動性を支える方針を表明した。株安を食い止めるためには、手段を選んでいられないようだ。さらに、足元の株価急落をめぐり不正な市場操作がなかったか調査を開始したという。MSCIの判断こそ中国株安の引き金を引いたとの疑惑が浮上するなか、遂にスケープゴート探しが始まった。
——今回の措置に対し、アメリカ人の反応をみると「ギリシャを救済する用意があると言っていたのにそんな余裕はなくなったのでは」、「政府の介入手段は以前より洗練されてきたけれど、奏功するのか」といった意見がWSJ紙やCNBCのコメント欄に寄せられていました。特に興味深かったのは「1929年、世界恐慌を回避すべくリチャード・ホイットニーが市場価値を上回る水準で株式相場を支えたことが思い出される」。ニューヨーク証券取引所の副会頭だったホイットニー氏は当時、ウォール街の銀行家の協力を得てU.S.スティールを皮切りにブルーチップに買い注文を出しました。一時は落ち着きをみせたものの、歴史が示す通り一時しのぎで終わりアメリカは世界恐慌へ突き進みます。金融政策ではアメリカにならってきた中国、株式相場もアメリカの黒歴史をたどってしまうのでしょうか。
(カバー写真:Aaron Goodman/Flickr)
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