Dow Enters Correction, Apple Shares Officially In Bear Market Territory.
世界同時株安の衝撃は、米国にも届いています。
ダウは、一時531.14ドル安の16459.55ドルへ急降下。5月19日に達成した過去最高値からザラ場で10.3%下落し、2011年以来の調整相場へ吸い込まれました。今週だけで、1000ドルも吹き飛ばした格好です。ラッセル2000も6月23日の高値から11.1%沈み、ダウおよびダウ輸送株に続き調整入り。ナスダックは本日で年初来リターンをマイナスに反転させ、7月20日の最高値から6.4%安という状況です。
S&P500は5月20日の最高値から7.6%沈み、調整入りが意識されます。CNBCによると本日の急落により、同指数のうち66%が52週高値から10%あるいは20%以上も落ち込み、調整相場もしくは弱気相場に入りしました。セクター別では原油安の影響をもろに被るエネルギーが34%安、中国の景気減速が響く素材が16%安、ドル高が重しとなっている産業財が10%安に及びます。
S&P500、52週移動平均線を割り込んだ後は、阿鼻叫喚の様相に(チャートは週足)。
おかげでダウとS&P500の週足は、2011年9月以来で最悪となりました。
天下のアップルにいたっては、名実ともに弱気相場へ突入。4月28日に遂げた134.54ドルから、20%以上も下落しました。時価総額にして、1580億ドル(約19兆2760億円)を喪失したかたちです。1−3月期決算ではiPhoneの売上で中国が米国を抜き、「アップル・ウォッチ」で中国への依存度が高く、4−6月期では売上のうち27%が中国と中国銘柄化しているだけに、売りを浴びやすくなっていた。ゴールドマン・サックスの調査ではヘッジファンドの人気銘柄ナンバーワンの座を明け渡していたので、予兆はあったんですよね。
中国8月財新マークイット製造業PMIが2009年3月以来約6年半ぶりの低水準を迎え同国景気への不安を煽り、アジア株安が吹き荒れ、ウォールストリートでは「アジア危機の再来」との声まで聞かれる始末。ショートの帝王で知られるキニコス・アソシエーツのジム・チェイノス氏はCNBCに出演し「皆が考えるより、(中国の)ずっと状況は悪い」と低い声を寄せました。さらに「人々は中国政府が全知全能ではないと気づいたのだろう」とし、我々と同じく「解決の糸口を全くつかめずにいる」と静かに語ります。9月のレーバー・デーでガソリン・シーズンが幕を閉じるなか、原油在庫の積み上がりも指摘。特にシェブロンとロイヤル・ダッチシェルを回避銘柄に挙げていました。
イェール大学の教授でノーベル経済学賞受賞者であるロバート・シラー氏は、米株市場が買われ過ぎだったと振り返った上で「今後も大きな下落は続く」と予想。住宅市場も「急速に上昇して来た」とし、「サンフランシスコがバブル的精神の良い例だ」と言い放ちます。さすが、2月に米株から欧州株への乗り換えを明言していただけありますね。
今回の急落で、Fedの9月利上げは遠のいたようにみえます。Fedウォッチによると9月利上げ織り込み度は27.9%と前日の23.6%から上昇したとはいえ、一時期の45%に遠く及ばず。9月利上げ消滅が決定的となれば、相場反転のきっかけを掴めるでしょうか。
(カバー写真:herval/Flickr)
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