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米7−9月家計資産、株式資産が吹き飛び約4年ぶりに減少

by • December 14, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2249

Q3 Household Wealth Fell for First Time in 4 Years.

米連邦準備制度理事会(FRB)は10日、7−9月期家計資産報告(旧・資金循環報告)を発表した。資料によると、家計・非営利団体の純資産は85兆1820億ドルだった。4−6月期の86兆4130億ドル(修正値)を1.4%下回り、減少は約4年ぶり。過去最高の更新を3期で止めている。。

家計資産のうち、特に金融資産(貯蓄、株式、投資信託、債券、年金、保険などを含む)は前期比1兆6817億ドル減の68兆9246億ドルだった。特に、株式が市場価値ベースで2.3兆ドル落ち込み22兆4718億ドルと下押し。投資信託も、359億ドル減の4兆4694億ドルだった。S&P500は7−9月期に人民元の切り下げを背景に中国発の景気減速懸念が市場を覆い、6.9%下落していた。

S&P500、7−9月期(青枠)は夏の嵐に巻き込まれたものです。
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(出所:Stockcharts)

企業の現金保有高は1兆9400億ドルと、4−6月期の1兆9700億ドルから小幅に減少した。2014年10−12月期につけたピークの1兆9700億ドルに届かなかったとはいえ、高い水準を維持している。

不動産は、住宅価格の需要および値上がりを背景に前期比4820億ドル増の24兆9810億ドルとなり、全体を支えた。家計部門での不動産は、4430億ドル増加。ホーム・エクィティ(住宅の評価額から住宅ローンの残債を差し引いた価値)は不動産価値の56.1%を占め、リセッションを脱してから最高となる4−6月期の56.7%を下回る。もっとも1−3月期の55.6%、2014年10−12月期の54.5%、7−9月期の53.9%を超える水準を維持した。

国内債務は、前期比年率2.0%増の44兆1973億ドルだった。4−6月期の4.6%増はもちろん1−3月期の2.5%増以下となり、伸び率は過去2年間で最小にとどまる。家計債務は1.5%増の14兆1015億ドルと前期の4.2%増から鈍化しつつ、増加トレンドを維持。こちらの伸び率も2013年10−12月期以来の低水準だった。そのうち、消費者信用は7.2%増の3兆4964億ドルと2010年7−9月期以来、20期連続で増加した。新車販売台数が9−11月に連続で年率ベースにて2000年以来の1800万台を更新したように自動車ローンが牽引したほか、学生ローンが寄与している。住宅ローンは1.6%増の9兆4543億ドルと、1−3月期の横ばいを経て2期連続で増加した。非金融セクターの企業は2011年1−3月期以来、19期連続で増加し4.7%増の12兆6214億ドルとなる。連邦政府は0.2%増の14兆4950億ドルと、2003年以来初めて減少に転じた1−3月期を経て増加トレンドを回復した。州・地方政府は1.7%増と4期連続で増加し、2兆9794億ドルだった。

家計債務は可処分所得に対し、104.4%。1−3月期の105.4%から低下した。2007年のピーク時は135%を記録したものの、以降は顕著にデレバレッジが進んでいる。

——米7−9月期国内総生産(GDP)は改定値の通り、消費をはじめ企業など民間部門での支出がけん引していました。ただし債務の伸び率は限定的で、世界景気減速という懸念の片鱗がみられます。金融市場に走った衝撃で、株式や投信など資産効果が剥落したことも家計の財布の紐が一因でしょう。10−12月期も直近でボラティリティの嵐に包まれ、株式市場が切り返さない限り2週連続で資産が減少してしまいかねません。

(出所:Erik Schepers/Flickr)

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