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米1月NFIB中小企業楽観度、世界同時株安が痛手となり約2年ぶり低水準

by • February 10, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1844

NFIB Small Business Optimism Plummets To 2-Year-Low.

米連邦準備制度理事会(FRB)の労働市場情勢指数に含まれる米1月NFIB中小企業楽観度指数は93.9となり、市場予想の94.5を下回った。前月の95.2以下にとどまり、2014年3月以来の低水準。統計開始以来となる42年平均の98にも、届いていない。

発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、結果を受けて「株安とFedの利上げに反応した」と振り返る。今回の低下の牽引役は「景気と売上の見通し指数」と指摘。その上で、「中小企業の楽観度を押し上げるような何かが起こる可能性は低い」と結んだ。

NFIB中小企業楽観度指数、ISMに遅れて下振れ。
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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、12項目中プラス圏にのせた項目は3ヵ月連続で6項目だった。今回プラス項目のうち「売雇用を増加させる」をはじめ、「賃金を上昇させる」、「売上が拡大する」などが前月から低下した。マイナス圏では「経済がより良くなる」が大きく悪化し、全体的に楽観度の後退が優勢。一方で「事業拡大に良いタイミング」、「求人件数」は前月を超え、「設備投資を拡大した」は高止まりしており、リセッション入りするほど急激な悪化は見られていない。以下は、項目ごとの変化。

「求人件数」29%→前月の28%から上昇
「設備投資を拡大した」25%→前月の25%で変わらず
「賃金を引き上げる」15%→前月の21%から低下
「雇用を増加させる」11%→前月の15%から低下
「事業拡大に良いタイミング」10%→前月の8%から上昇
「売上が拡大する」10%→前月の8%から上昇

「在庫を拡大させる」−2%→前月の0%から悪化

「販売価格の上昇」−4%→前月の−1%%から悪化「在庫満足度」−2%→前月の−4%から改善「信用状況が緩和する」−7%→前月の−6%から悪化
「黒字トレンドにある」−18%→前月の−17%から悪化
「経済がより良くなる」−21%→前月の−15%から悪化

――NFIB楽観度指数は、ホリデー商戦明けに世界同時株安、景気減速懸念、中国不安、原油安などの悪材料に圧迫され低下しました。リセッション後の平均値92.6は辛うじて上回るものの、今後さらに下振れするか意識されます。現時点で求人件数が上昇トレンドを維持している点は、心強い。景気見通しへの慎重度が強まるだけに、ここが下振れした場合は消費を直撃しかねず、要注意です。

▽米12月卸売在庫、3ヵ月連続で減少し在庫投資の縮小明らか

米12月卸売在庫は前月比0.1%減となり、市場予想の0.2%減より下げ幅を拡大した。前月の0.4%減(0.3%減から下方修正)に続き、3ヵ月連続で減少。特に耐久財が0.3%減と弱く、そのうちコンピューターが0.9%減、機械が0.5%減と3ヵ月ぶりに減少している。自動車のみ、0.3%増と2ヵ月連続で増加した。

卸売売上高は0.3%減と、3ヵ月連続で減少。原油を除く場合が0.1%増だったように、非耐久財が0.9%減も落ち込みヘッドラインを押し下げた。食品も1.1%減と弱い。一方で耐久財は0.3%増となり、自動車が2.5%増と過去2ヵ月分の減少をほぼ相殺。機械、コンピューターもそれぞれ増加した。

在庫相当は前月に続き、1.32ヵ月だった。前年同期の1.24ヵ月を超え、直近で最長となる。結果を受けてバークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは「米10-12月期GDP改定値予想を従来の0.4%増から0.3%増」へ引き下げた。米10-12月期GDP速報値の0.7%増から、減速する見通しだ。

(カバー写真:Ian Muttoo/Flickr)

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