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米4月ミシガン大学消費者信頼感・確報値、下方修正され7ヵ月ぶり低水準

by • May 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1839

Consumer Sentiment Revised Down, 7-Month Low In April.

米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は89.0と、速報値の89.7から下方修正された。前月の92.0からも大きく後退し、2015年9月以来の低水準を示す。内訳をみると、見通し指数が77.6と速報値の79.6および前月の81.5を下回り、ヘッドラインと同じく7ヵ月ぶりの弱さに。現況指数のみ106.7と、速報値の105.4から上方修正された。ダウが過去最高値までわずか1.3%台へ接近したとはいえ、ガソリン価格の上昇に合わせ1-3月期決算発表でリストラが相次いで発表されるなか、センチメントの低下につながったようだ。エネルギー情報局によるとガソリン価格は3月の一時1.841ドルから、4月に入って一時2.162ドルと2015年11月以来の水準まで回復した。

原油先物が45ドル台を回復する流れを受け、インフレ見通しは1年先につき2.8%と速報値の2.7%から上方修正された、2015年9月月以来の高水準を示す。5−10年先は逆に速報値通り2.5%となり前月の2.7%から鈍化、今年の2月や2015年10月と並び少なくとも20年以来の低水準を示した。

ミシガン大学のエコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の結果を受け「現況指数が上向いたものの、見通し指数に引っ張られ鈍化を続けた」と振り返る。見通し指数に限っていえば「前月から4.8%低下し、前年同月からは12.6%低下し、2015年1月のピークからは14.7%低下した」という。こうした下振れは「米国経済の見通しに沿う」としつつ、「景気後退は見込んでいない」と指摘。むしろ1年先の家計見通しは速報値から上方修正されている事情もあり、個人消費については前月に続き「2.5%増」を予想した。個人消費見通しは、3月に従来の2.7%増加から下方修正済みである。

ミシガン大消費者信頼感、4ヵ月連続で下振れ。

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(作成:My Big Apple NY)

・1年先の家計見通し指数 121>速報値は118で直近にて最低、前月は127
向上する 32>速報値は31で直近にて最低、前月は36
変わらず 55、4ヵ月ぶり高水準>速報値は54、前月は50
悪化する 11<速報値は13と直近で最高、前月は9

・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数 75>速報値は74、直近で最低、前月は82
所得の伸びが物価を上回る 21、直近で最低<速報値は22、前月は22
所得の伸び率と物価が同じ 32>速報値は30と直近で最低、前月は36
所得の伸びが物価を下回る 46<速報値は48、前月は40

・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 47.4%、3ヵ月ぶり低水準<速報値は47.8%、前月は48.6%

・1年先のビジネス見通し指数 98、直近で最低<速報値は101、前月は104
向上する 20、直近で最低<速報値は21と直近で最低、前月は23
変わらず 55=速報値は55、前月は54
悪化する 22、直近で最高>速報値は20、前月は19

・1年先の失業率見通し指数 85、直近で最低<速報値は87、前月は94
低下する 16、直近で最低<速報値は17、前月は20
変わらず 52=速報値は52、前月は52
上昇する 31、直近で最高>速報値は30、前月は26

・1年先の金利見通し指数 40、3ヵ月ぶり低水準<前月は44(低下を見込む場合に指数は上昇)
低下する 6、4ヵ月ぶり低水準<前月は7
変わらず 28、3ヵ月ぶり低水準<前月は29
上昇する 66、3ヵ月ぶり高水準>前月は64

・1年先のガソリン価格指数 24.4<速報値は26.6、前月は27.3(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 5>速報値は3と直近で最低、前月は4
変わらず 35>速報値は33と直近で最低、前月は37
上昇する 60<速報値は64、前月は58

・自動車購入指数 143、年初来で最低<速報値は146、前月は145
買い時 69、2月の水準に並び直近で最低<速報値は71、前月は69
分からない 5>速報値は4と直近で最低、前月は7
買い時ではない 26、4ヵ月ぶり高水準>速報値は25、前月は24

・住宅購入指数 156>速報値は153、直近で最低<前月は154
買い時 77>速報値は76、前月は76と直近で最低
分からない 2>速報値は1と2月の水準へ戻す、前月は2
買い時ではない 21<速報値は23と直近で最高、前月は22

・主要機器 158>速報値は156と直近で最低、前月は167
買い時 75>速報値は74、前月は73と直近で最低
分からない 8=速報値は8、前月は9
買い時ではない 17<速報値は18、前月は18

――米4月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。

1)1年先の家計見通し指数や所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は、速報値から上方修正
2)所得が1年先に拡大するとの回答は、3ヵ月ぶり低水準
3)1年先のビジネス見通し指数、1年先の失業率見通し、1年先の金利見通し指数は直近で最低
4)1年先のガソリン価格見通しは、低下(ガソリン価格の上昇を見込まず)
5)購入見通し指数は自動車が直近で最低、住宅と主要機器は速報値から上方修正

米4月ミシガン大消費者信頼感・確報値は、カーティン米主席エコノミストが指摘したように家計や所得での見通しは大幅に下振れしていないものの、ビジネス、失業、金利などの面で楽観トーンが薄れていました。ドル高、原油安などが一服し世界景気後退へ不安も弱まったとはいえ、企業決算が響いている可能性が現れたといっても過言ではありません。リストラ発表が相次いでいるだけに、労働市場を圧迫し消費を抑えてくるか注意が必要です。

(カバー写真:Erwin Winkelman/Flickr)

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