Expectations Drove Consumer Sentiment To 1-Year High.
米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は95.8と、市場予想の95.8を大幅に上回った。前月の89.0からも急伸し、2015年6月年以来の高水準。内訳をみると、見通し指数が87.5と市場予想の78及び市場予想の77.6を抜け、同じく約1年ぶりの水準へ躍進した。現況指数も108.6と、市場予想の106及び前月の106.7を超え約1年ぶりの高さを示す。米4月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が失望を誘い、米小売決算など悪材料が飛び出し、米株も頭打ちの状況で今回の上振れは予想外と言えよう。好材料としては、ガソリン価格の上昇一服が挙げられる。エネルギー情報局によるとガソリン価格は2月に2009年1月以来の安値となる1.724ドルから5月に入って一時2.240ドルまで回復が進んだ後、2.220ドルと一段高を回避していた。
原油先物が45ドル台を超えた後で伸び悩みを示すなか、インフレ見通しは1年先につき2.5%。2015年9月以来の高水準だった2.8%から、あらためて下振れし2月の水準に並ぶ。5−10年先は逆に2.6%と、今年の2月や2015年10月と並び少なくとも20年以来の低水準を示した前月の2.5%を上回った。
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の結果を受け「所得、雇用、低インフレへの見通しが高まり4月からの大幅回復につながった」と分析する。特に見通し指数の改善は「低所得者層や若い世代で幅広く確認した」といい、ほぼすべての見通し指数が約1年ぶりの水準へ上昇したと説明。米大統領選挙の行方をはじめ、見通しへの不透明感がくすぶるなかでの改善に一定の評価を示しつつ「単月の結果で米大統領選が与える消費者へのインパクトを判断するのは時期尚早」とし、2016年の個人消費見通しを「2.5%増」で据え置いた。
ミシガン大消費者信頼感、5ヵ月ぶりに上昇。
・1年先の家計見通し指数 129、直近で最高>前月は121
向上する 37>前月は32
変わらず 52<前月は55、5ヵ月ぶり高水準
悪化する 8、直近で最低<前月は11
・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数 84、直近で最高>前月は75
所得の伸びが物価を上回る 26、直近で最高>前月は21
所得の伸び率と物価が同じ 31、直近で最低<前月は32
所得の伸びが物価を下回る 42、3ヵ月ぶり低水準<前月は46、直近で最高
・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 49.4%>前月は47.4%、3ヵ月ぶり低水準
・1年先のビジネス見通し指数 107、直近で最高>前月は98
向上する 20、直近で最低<速報値は21と直近で最低、前月は23
変わらず 55=速報値は55、前月は54
悪化する 22、直近で最高>速報値は20、前月は19
・1年先の失業率見通し指数 99、6ヵ月ぶりの高水準>前月は85、直近で最低
低下する 22、6ヵ月ぶりの高水準>前月は16、直近で最低
変わらず 55、6ヵ月ぶりの高水準>前月は52
上昇する 23、6ヵ月ぶりの低水準<前月は31、直近で最高
・1年先の金利見通し指数 51、直近で最高>前月は43、3ヵ月ぶり低水準(低下を見込む場合に指数は上昇)
低下する 4、3月に並び直近で最低<前月は5
変わらず 40、直近で最高>前月は31
上昇する 54、直近で最低<前月は63
・1年先のガソリン価格指数 21.9、3ヵ月ぶりの低水準<前月は24.4(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 4<前月は5
変わらず 37>前月は35
上昇する 58<前月は60、直近で最高
・自動車購入指数 151、4ヵ月ぶりの高水準>前月は143
買い時 73、4ヵ月ぶりの高水準>前月は69、3月と並び直近で最低
分からない 5=前月は5
買い時ではない 22、4ヵ月ぶりの低水準<前月は26
・住宅購入指数 156=前月は156
買い時 77=前月は77
分からない 2=全月は2
買い時ではない 21=前月は21
・主要機器 161、4ヵ月ぶりの高水準>前月は158
買い時 78、4ヵ月ぶりの高水準>前月は75
分からない 5、3ヵ月ぶりの低水準<前月は8
買い時ではない 17=前月は17
――米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。
1)1年先の家計見通し指数や所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計見通がそろって上昇、所得が1年先に拡大するとの回答も3ヵ月ぶり低水準だった前月から改善。
2)1年先のビジネス見通し指数と1年先の金利見通し指数は直近で最高、1年先の失業率見通しは6ヵ月ぶりの高水準
3)1年先のガソリン価格見通しは上昇も、横ばいが増えガソリン価格の上昇懸念が台頭したわけではない
4)購入見通し指数は自動車と主要機器が直近で4ヵ月ぶりの高水準だった半面、住宅は金利見通しへの懸念が後退するなかで前月と横ばい
米5月ミシガン大消費者信頼感・速報値の急回復は心強いとはいえ、カーティン米主席エコノミストが指摘したように素直に受け止めきれません。見通し指数関連は直近で最低だったところから直近で最高へ転じた背景として、5ヵ月連続で低下した後の反動とも考えられます。何より、購入見通しで金利低下期待などが膨らむ半面、住宅購入見通しが横ばいでした。バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストからは「今回は375人の回答しか反映していない」との指摘も聞かれ、個人消費が起爆剤となって成長を急加速させられるかは、疑問が残ります。
(カバー写真:Michigan Municipal League/Flickr)
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