Consumer Confidence Rise Less Than Expected, Outlook Weighs.
米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は94.7と、市場予想の95.4を下回った。速報値の95.8からは、下方修正。ただ前月の89.0からは上昇し、2015年6月年以来の高水準となる。内訳をみると、見通し指数が84.9と速報値の87.5から下方修正されつつ、前月の77.6を抜け約1年ぶりの水準へ躍進した。現況指数は109.9と速報値の108.6から上方修正され、こちらも約1年ぶりのレベルへ上昇した。そろって高水準だったとはいえ、速報値から見通し指数が低下した理由として米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表後の6月利上げ観測再燃が挙げられる。利上げ観測が重石となったのか、インフレ見通しも抑えられた。
原油先物が50ドル台を目指す過程で、インフレ見通しは1年先につき2.4%と速報値の2.5%から下方修正された。前月こそ2015年9月以来の高水準だった2.8%だったものの、あらためて下振れしている。5−10年先も速報値の2.6%から2.5%へ引き下げられ、今年の2月や2015年10月と並び少なくとも20年以来の低水準を示した。
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の結果を受け「速報値から下方修正されたとはいえ、ピークをつけた2007年1月以降で今回の結果を上回った月は2015年の年初につけた4回しかない」と指摘した。低金利を背景に「自動車や住宅など購入見通しは上向いた」ものの、米大統領選への不透明感を挙げ「次期大統領の経済政策への不安の裏返しで貯蓄率が上昇した」とのコメントを寄せる。2016年の個人消費見通しは「2.5%増」で据え置き、2017年は「2.7%増」を予想した。
ミシガン大消費者信頼感、見通し指数の下方修正で速報値以下に。
・1年先の家計見通し指数 128<速報値は129と直近で最高、前月は121
向上する 37=速報値37、前月は32
変わらず 51<速報値は52、前月は55と5ヵ月ぶり高水準
悪化する 9>速報値は8と直近で最低、前月は11
・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は82<速報値は84と直近で最高、前月は75
所得の伸びが物価を上回る 24<速報値は26と直近で最高、前月は21
所得の伸び率と物価が同じ 31、直近で最低<前月は32
所得の伸びが物価を下回る 42、3ヵ月ぶり低水準<前月は46、直近で最高
・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 49.8%>速報値は49.4%、前月は47.4%と3ヵ月ぶり低水準
・1年先のビジネス見通し指数 106<速報値は107と直近で最高、前月は98
向上する 24、1年ぶりの高水準=速報値は24、前月は月23
変わらず 55<速報値は57、前月は55
悪化する 18>速報値は17、前月は22
・1年先の失業率見通し指数 97<速報値は99と6ヵ月ぶりの高水準、前月は85と直近で最低
低下する 21<速報値は22と6ヵ月ぶりの高水準、前月は16と直近で最低
変わらず 54<速報値は55と6ヵ月ぶりの高水準、前月は52
上昇する 24>速報値は23と6ヵ月ぶりの低水準、前月は31と直近で最高
・1年先の金利見通し指数 50<速報値は51と直近で最高、前月は43と3ヵ月ぶり低水準(低下を見込む場合に指数は上昇)
低下する 4、3月に続き直近で最低=速報値は4、前月は5
変わらず 37=速報値は40、前月は31
上昇する 56>速報値は54と直近で最低、前月は63
・1年先のガソリン価格指数 21.2、3ヵ月ぶりの低水準<速報値は21.9、前月は24.4(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 4=速報値は4、前月は5
変わらず 40>速報値は39、前月は39
上昇する 58=速報値は58、前月は60と直近で最高
・自動車購入指数 152、4ヵ月ぶりの高水準>速報値は151、前月は143
買い時 74、4ヵ月ぶりの高水準>速報値は73、前月は69と3月と並び直近で最低
分からない 4<速報値は5、前月は5
買い時ではない 22、4ヵ月ぶりの低水準=速報値は22、前月は26
・住宅購入指数 156=速報値は156、前月は156
買い時 77=速報値は77、前月は77
分からない 2=速報値は2、前月は2
買い時ではない 21=速報値は21、前月は21
・主要機器 162、4ヵ月ぶりの高水準>速報値は161、前月は158
買い時 78、4ヵ月ぶりの高水準=速報値は78、前月は75
分からない 6>速報値は5と3ヵ月ぶりの低水準、前月は8
買い時ではない 16、4ヵ月ぶりの低水準<速報値は17、前月は17
――米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。
1)1年先の家計見通し指数、所得と物価の伸び率を踏まえた1−2年先の家計見通しがそろって低下、インフレ見通しは下方修正でも見通しから楽観度がやや後退
2)1年先のビジネス見通し指数と1年先の金利見通し指数は直近での最高から軟化、1年先の失業率見通しは6ヵ月ぶりの高水準から低下
3)1年先のガソリン価格見通しは低下、ガソリン価格の上昇懸念が若干上昇
4)購入見通し指数は自動車と主要機器が直近で4ヵ月ぶりの高水準だった半面、住宅は横ばい
米5月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は6月利上げが意識され、かつ米大統領選でトランプ候補対クリントン候補の構図が出来上がるなかで見通しにやや楽観度が薄れていました。その一方で、個人消費の牽引役である自動車購入見通しが上向いた点は好材料。米4-6月期GDPは企業の設備投資が再び足を引っ張る見通しながら、個人消費が支え2%台へ回復する可能性が出てきています。
アトランタ地区連銀が発表した米4-6月期GDP予想値は、米4月貿易収支の速報値を踏まえ従来の1.7%増から2.2%増へ上方修正されていました。ミシガン大学のカーティン教授の2016年個人消費予想値は2.5%増へ向け、1-3月期から改善していく見通しです。
▽米5月マークイット製造業PMI速報値、分岐点割れが視野
米5月マークイット・サービス業PMI速報値は51.2となり、市場予想の53を下回った。前月の52.8以下にとどまる。ただ、2月に49.7だったように、債務上限引き上げ及び暫定予算交渉の行き詰まりで政府機関が閉鎖された2013年以来の分岐点割れを意識した。内訳をみると、雇用が2014年12月以来の低水準に。見通し指数に至っては、2009年10月の統計開始以来で最低となる。総合PMIは50.8で、前月の52.4を下回り2013年10月以来の50割れを視野に入れた。
マークイット、足元は分岐点割れを探る状況。
(作成:My Big Apple NY)
クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受けて「4-6月期に米景気が回復する期待が打ち砕かれた」と指摘した。製造業PMI速報値と合わせ「6月に仮に劇的な改善を遂げたとしても、米4-6月期GDPは前期比年率0.7%程度になる公算」と分析。米5月雇用統計・非農部門就労者数(NFP)も「前月比12.8万人増」とブルームバーグ集計のエコノミスト予想平均である16万人増を大幅に下回る水準を予想した。
――マークイット・サービス業PMIは再び軟化の兆しが現れ、頼みの綱である雇用まで勢いが失われている点は気掛かりです。米5月ミシガン大学消費者信頼感・速報値では個人消費が改善する可能性を点灯させる一方で、雇用がこれまでのように支出を支えきれるか試されます。
(カバー写真:TheeErin/Flickr)
Comments
米4月中古住宅販売成約件数指数、10年ぶりの水準へ加速 Next Post:
米新規失業保険申請件数はレンジ下限へ回帰、ストライキの影響払しょく