NFIB Small Business Optimism Hints Higher Wage.
米5月NFIB中小企業楽観度指数と米5月輸入物価指数をおさらいしていきます。
米5月NFIB中小企業楽観度指数は93.8となり、市場予想並びに前月の93.6を上回った。ただし、2006年10月以来の高水準でありリセッション前の平均値100を回復した2014年12月の100.4でピークアウトした状況を確認した格好だ。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、堅調な結果を受けながら「米経済は人口増加の恩恵を受けている程度で、政治家の経済政策は取るに足らないものばかりだ」と指摘。米大統領選も混迷を極めるなかで、「今年も低成長に終わるだろう」と慎重な見通しを示した。
楽観度指数、リセッション前の平均値を回復した後は上げ渋り。
内訳をみると、12項目中プラス圏にのせた項目は7項目となり、前月と変わらず。今回は「販売価格の上昇」が前月のマイナスから反転した一方、「在庫を増加させる」が前月のゼロからマイナスに転じた。一方で、賃金や雇用増加に関する項目は上向いている。以下は、項目ごとの変化。
「求人件数」27%→ 前月の29%から低下、6ヵ月平均は28%
「設備投資を拡大する」23%→前月の25%から低下、6ヵ月平均は24%
「賃上げ見通し」15%→前月と変わらず、6ヵ月平均は16%
「雇用を増加させる」12%→ 前月の11%から上昇、6ヵ月平均は11%
「事業拡大に良いタイミング」9%→ 前月の8%から上昇、6ヵ月平均は8%
「販売価格の上昇」1%→前月と変わらず、6ヵ月平均は2%
「売上の拡大を予想」1%→ 前月の−1%からじょうしょう、6ヵ月平均は−2%
「在庫を増加させる」−1%→ 前月の0%から悪化、6ヵ月平均は−1%
「在庫満足度」−4%→ 前月の−5%から改善、6ヵ月平均は−1%
「信用状況が緩和する」−6%→ 前月と変わらず、6ヵ月平均は−6%
「経済がより良くなる」−13%→ 前月の−18%から改善、6ヵ月平均は−18%
「黒字トレンドにある」−20%→ 前月の−19%から悪化、6ヵ月平均は−20%
▽米5月輸入物価、エネルギーの伸び限定的で予想以下の上昇
米5月輸入物価指数は前月比1.4%上昇し、市場予想の0.7%を上回った。前月の0.7%(0.3%から上方修正)を超え、3ヵ月連続で上昇。2011年2月以来の水準へ加速している。原油先物が約10ヵ月ぶりの高値となる51ドル台へ切り返す過程で、石油が17.4%もの急伸。前月の11.0%を含め3ヵ月連続で2桁上昇を示した。燃料を除く輸入物価指数はドル高が一服しマイナス基調から脱したとはいえ、0.4%へ鈍化する。以下は、項目別動向。
・産業財 6.6%、3ヵ月連続で上昇>前月は3.4%
・食品 0.3%、2ヵ月連続で上昇>前月は1.4%
・自動車 0.2%、3ヵ月連続で上昇>前月は0.1%
・消費財 0.1% 3ヵ月ぶりに反発>前月はマイナス0.2%
・資本財 0%、低下基調から脱却>前月はマイナス0.1%
輸入物価は前年比では5.0%低下し、市場予想の5.9%から下げ幅を狭めた。前月の5.3%低下(5.7%から上方修正)ほど悪化せず、2014年8月に突入した低下トレンドから改善歩調をたどる。
――米5月NFIB中小企業楽観度数は、確かに伸び悩みを感じさせました。とはいえ雇用の項目をみると、米5月雇用統計の急減速は飛び火していません。むしろ賃金や雇用は前月から上向いており、米6月雇用統計に好転の兆しが伺えます。米5月輸入物価はドル高一服もあって石油関連以外が改善しており、このまま上向き続けるか試されます。
(カバー写真:ShashiBellamkonda /Flickr)
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