This Country Issues US Travel Advisory Over Racial Tensions.
米国で、警官による人種差別を引き金に抗議活動が火を噴いています。
ルイジアナ州バトンルージュで5日、CDを販売していた黒人男性が白人警官に射殺され、6日にはミネソタ州セントポールで車に乗っていた男性が身分証明書を提示しようとして銃弾を受けてしまいました。後者は拳銃を合法的に銃を所持していた事実を警官に説明済みだったと同乗していた女性が明かしたほか、撮影していた動画を公開したために全米で大きな反響を呼んだものです。
黒人差別をめぐる抗議活動が人種差別の激しい南部をはじめニューヨークにまで及ぶなか、テキサス州ダラスでは7日に抗議活動中に警官を狙った射撃事件が発生。5人が命を落としています。続いてテネシー州でも7日に黒人男性が高速道路で走行中の自動車に向けて発砲、警官を含む4人が負傷し1人が死亡する事件が起こりました。
こうした人種憎悪が渦巻く現状を深刻に捉え、この国が対応し米国への渡航に異例の注意喚起を行っています。
その国とは、カリブ海に浮かぶバハマです。
8日、バハマ外務省は声明をリリース。7月10日の独立記念日を挟んだ連休に米国への旅行を計画中の市民に、人種間対立のグラウンド・ゼロを訪れる場合は特に警戒すべしと念を押しているのです。それだけでなく「若い黒人男性は(人種憎悪に関わる事件の)影響ある都市で警官とやり取りする場合、特に厳重な注意を払うよう求められる。抵抗せず、協力するように」とまで具体的に明記されています。さらに、警察署のご厄介になった場合はバハマの領事館に連絡するようにと要請し、ご丁寧にニューヨーク、ワシントン、マイアミ、アトランタその他ロサンゼルスを含む4都市のオフィスを紹介していました。
バハマ人だけでなく、日本人の旅行者も覚えておきたい銃にまつわる事実をご紹介しましょう。オープンキャリー即ち他人に見えるように銃の所持が可能な州は、全米でどれだけあるのでしょうか?
こちらの地図をご覧下さい。
(出所:Open Carry)
全米50州のうちで、オープンキャリーが非合法な州はニューヨーク、カリフォルニア、イリノイ、フロリダ、サウスカロライナの5州にワシントンD.C.を加えたのみ。実に35州でオープンキャリーが合法なんです。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が2014年に調査した当時、テキサス州は非合法でしたが、アボット知事の下で2015年に合法化され2016年1月から施行されました。ちなみに、サウスダコタ州務長官もサイトで地図を公表しています。
オープンキャリーが合法な35州の内訳としては、以下の通り。
・許可が不要な州→35州
・許可が必要案集→10州
圧倒的多数でオープンキャリーが「許可不要」だったとは・・銃乱射事件が相次ぐはずです。そもそも、USA Carryという銃所持を支持するサイトではアクセスした瞬間にこんな画像が飛び出してくるほどで、銃所持賛成派にとっていかに銃が身近であるかが感じられますね。
「この銃や12の賞品をゲットしよう、ここをクリック」なんて、あり得ません・・。
(出所:USA Carry)
NY時間で7月10日午前10時50分までの年初来で米国で発生した乱射事件(複数の負傷・死亡者を含むケース)は、こちらで取り上げた時期から増えて既に179件。ほぼ1日に1回発生している計算となります。発砲事件だけで言うなら、2万7465件に及びますから、どこで巻き込まれてもおかしくはない状況です。
事件があった場所別マップは、こちら。
(出所:Gun Violence Archive)
ご覧の通り、意外なことにオープンキャリーが非合法なニューヨーク州を含む北東部やイリノイ州を含む中西部、西部でもカリフォルニア州の一部で集中してます。南部のアラバマ州、ジョージア州、テキサス州を中心とする地域でも赤いドットが見られるものの、通常は都市部で多発していることが分かります。
このような事態になり、全米ライフル協会(NRA)の支持を受ける共和党のトランプ候補が本選で勝利できる可能性は一段と後退しています。しかし、民主党のクリントン候補に有利となってきたわけでもありません。第3の候補に目が向けられており、ロイター/イプソスによる世論調査ではトランプ候補及びクリントン候補のどちらも支持しないとの回答が21%に達し、2012年の13%を大きく上回っていました。リバタリアン党のゲイリー・ジョンソン候補は銃所持に賛成を表明するものの本人は保有していないといい、NRAから支持を受けていません。
日本人の皆様が米国を訪問する場合、都市が多くなることでしょう。銃乱射事件なんていつ何時起こるか皆目検討がつかず、防ぎようはありませんが、警察官に囲まれた時は協力し日本領事館に連絡を取ってもらうよう心がけて下さい。全米の日本領事館に関する情報は、こちらをご参照下さいますようお願い申し上げます。
(カバー写真:Rose Trinh/Flickr)
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