Consumer Confidence Revised Up, But Still 3-Month Low.
米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値、米4~6月期雇用コスト指数、米7月シカゴPMIをおさらいしていきます。
米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は90.0と、速報値の89.5から上方修正された。ただし、市場予想の90.2並びに前月の93.5を下回り、3ヵ月ぶりの低水準。内訳をみると、現況指数が109.0と速報値の108.7から上方修正されたが、前月の110.8を下回り3ヵ月ぶりの低水準だった。見通し指数も速報値の77.1から77.8へ引き上げられたものの、前月の82.4以下となっただけでなく2014年9月以来の水準へ減速。英国民投票が欧州連合(EU)離脱を決定した直後の反応は限定的だったが、引き続き同問題への懸念が垣間見れる。
原油先物が約3ヵ月ぶりの安値となる41ドル台へ下落する過程で、インフレ見通しは1年先につき2.7%と速報値の2.8%から下方修正された。5~10年先は速報値並びに前月に続き、2.6%となる。
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の結果を受け「速報値から上方修正されたものの、高所得者層を中心に経済見通しへの懸念が強まった」と指摘した。速報値通り「BREXIT」を理由に挙げ、「上位3位の所得層でBREXITについて言及があったのは23%と過去最高に上り、下位3位の11%の2倍に相当した」という。株価の戻りや貿易収支への影響が限定的である事情を踏まえればBREXITへの懸念は「驚きに値する」ものの、米大統領選もあって「見通しへの弱含みは続くだろう」と予想。2017年の実質個人消費の伸びにつき2017年半ばまで「2.6%増」とし、速報値時点での2016年と2017年まで2.7%増から引き下げた。
ミシガン大消費者信頼感、伸び悩みが鮮明。
(作成:My Big Apple NY)
・1年先の家計見通し指数 126>速報値は124と3ヵ月ぶり低水準、前月は125
向上する 36>速報値は34、前月は34
変わらず 52<前月は53、前月は54
悪化する 10、3ヵ月ぶり高水準=速報値は10、前月は9
・所得と物価の伸び率に対する1~2年先の家計指数は77>速報値は76と3ヵ月ぶり低水準、前月は84
所得の伸びが物価を上回る 19>速報値は18、直近で最低<前月は23
所得の伸び率と物価が同じ 38、直近で最高=速報値は38、前月は36
所得の伸びが物価を下回る 42=速報値は42、前月は39
・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 49.9%<速報値は50.8%と直近で最高、前月は50.7%
・1年先のビジネス見通し指数 99、3ヵ月ぶり低水準=速報値は99、<前月は103
向上する 22>速報値は21と3ヵ月ぶりの低水準、前月は24
変わらず 52<速報値は53、前月は50
悪化する 23、直近で最高>速報値は22、前月は21
・1年先の失業率見通し指数(低下を見込む場合に指数は上昇) 86、3ヵ月ぶりの低水準=速報胃は86、前月は90
低下する 17、3ヵ月ぶりの低水準=速報値は17、前月は18
変わらず 51、直近で最低=速報値は51、前月は54
上昇する 31、3ヵ月ぶりの高水準=速報値は31>前月は28
・1年先の金利見通し指数(低下を見込む場合に指数は上昇) 54<速報値は57と直近で最高、前月は47
低下する 7=速報値は7、前月は7
変わらず 39<速報値は41と直近で最高、前月は32
上昇する 53>速報値は50と直近で最低、前月は60
・1年先のガソリン価格指数(値上がりを見込む場合に指数は上昇) 16.1、直近で最低<速報値は17.0、前月は20.0
下落する 6、5ヵ月ぶりの高水準=速報値は6、前月は5
変わらず 43、直近で最高>速報値は40、前月は36
上昇する 51、直近で最低<速報値は53、前月は58
・自動車購入指数 148>速報値は147、前月は145
買い時 71>速報値は70、前月は70
分からない 6<速報値は7と4ヵ月ぶりの高水準、前月は5
買い時ではない 23=速報値は23、前月は25
・住宅購入指数 153>速報値は150、前月は154
買い時 75>速報値は74と直近で最低、前月は76
分からない 3>速報値は2、前月は2
買い時ではない 22<速報値は24と直近で最高、前月は22
・主要機器 162>速報値は161と3ヵ月ぶり低水準、前月は164
買い時 78>速報値は77、前月は79と5ヵ月ぶり高水準
分からない 6<速報値は7と3ヵ月ぶりの高水準、前月は6
買い時ではない 16=速報値は16、前月は15
――米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。
1)1年先の家計見通し指数をはじめ所得と物価の伸び率を踏まえた1−2年先の家計見通しは上方修正
2)ビジネス指数、失業率1~2年先見通しがそろって3ヵ月ぶり低水準
3)所得が1年先に拡大するとの回答は、50%割れ
4)1年先のガソリン価格は直近で最低、1年先金利見通しは下方修正
5)購入見通し指数は自動車をはじめ住宅、主要機器など全て速報値から上昇
全体的にセンチメントが大きく下振れしたわけではなく、インフレ警戒も緩んでいます。購入見通しが上方修正されたのは、特筆すべき動向。Fedが9月利上げへの明確な地ならしを避け、8月に雇用統計が順調な数字となり、米株安を回避すればBREXITへの過度な懸念が後退する余地を残します。半面、BREXIT懸念を払しょくさせるような経済指標を確認しなければ、明確な上昇も見込みづらい。米7~9月期は4~6月期に消費が急拡大したため、反動にも注意すべきでしょう。
▽米4~6月期雇用コスト指数、前年比では2015年Q1以来の高水準
米4~6月期雇用コスト指数は前期比0.6%の上昇となり、市場予想に並んだ。前期に続き、2015年7-9月期の高水準に並ぶ。内訳をみると、賃金・給与が0.6%上昇し2008年4~6月期以来で最高を遂げた前期の0.7%から小幅に鈍化。福利厚生は0.5%増と、前期と変わらずの水準を示した。民間が0.6%上昇し前期と同水準となったほか、政府も0.5%と前期に並んだ。
雇用コスト指数は、前年同期比2.3%上昇した。前期の1.9%を超え、5期ぶりの高いレベルとなる。民間が2.4%の上昇と5期ぶりに2%台を回復し半面、政府は逆に2.3%と、前期の2.4%から鈍化した。
雇用コスト指数、雇用統計の平均時給とも金融危機前の水準が遠い。
(作成:My Big Apple NY)
▽米7月シカゴPMI、約1年ぶりの高水準近くをキープ
米7月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は55.8と、前月の56.8から鈍化した。もっとも、市場予想の54.0を超えており、原油先物が50ドル台から遠ざかり約3ヵ月ぶりの41ドル台まで下落するものの2015年1月以来の高水準近くを維持した。内訳をみると、新規受注や生産が前月から低下したものの、雇用が約7ポイントも改善し全体に寄与した。
――米4~6月期雇用コスト指数はベージュブックより、賃上げ圧力の高まりを感じさせます。米雇用統計とはやや温度差が生じていますが、米7月雇用統計で上昇傾向を確認できるのか、注目です。雇用と言えば、米7月シカゴPMIは雇用の大幅改善をもたらし、9月利上げ派に安堵感をもたらしたに違いありません。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁がさえない米4~6月期GDP速報値を受けながら、年2回の利上げシナリオにこだわるはずです。タカ派と目されるダラス連銀のカプラン総裁ですら「消費を支えに安定的なGDPを予想する」と利上げに絡む発言に慎重であるだけに、FOMC内では未だ金融施策をめぐりコンセンサスは出来上がっていないことでしょう。
(カバー写真:Nathan Rupert/Flickr)
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