"recession is very likely over at this point"

米7月チャレンジャー人員削減予定数、前月比で18%増加

by • August 5, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off3663

Job Cuts Rise 18 Percent In July.

米7月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比57.1%減の4万5346人だった。3ヵ月連続で減少しつつ、2015年7月は軍人での大規模リストラが影響し10万人台に乗せた経緯がある。前月比ではむしろ17.6%増となり、2ヵ月連続で増加した。産業別では、これまでリストラを押し上げてきたエネルギー産業の人員削減が急増。全体のうち39%と、年初来で最低だった前月の5.1%から大きく拡大していた。

人員削減予定数、前月比では2ヵ月連続で増加しつつレンジ付近を維持。

jobcuts
(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では、前月比ベースにて1地域のみで増加した。前月の3地域から減少したものの、IT企業が集まる西部が3万2287件と3倍も急増し、全体を押し上げた。マイクロソフトが決算発表に合わせス、マートフォン事業から2850人のリストラを発表したことが一因とみられる。一方で石油生産州が集まる南部は44.3%減の5777人だったほか、中西部も52.3%減の4524人、北東部も39.8%減の2758人だった。

1~7月期での削減予定数は、前年同期比8.7%減の35万9100人だった。前述したように2015年7月は軍人の大幅リストラで急増した事情もあり、上半期末までの増加から減少に転じた。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「今回の数字は金融危機以降の7月平均値以下に過ぎない」と評価した。その半面、原油先物の反発や人手不足の割にエネルギー産業でのリストラが予想外に増加していた」と懸念を寄せる。

年初来の州別では、原油安を背景に石油生産地を抱えるテキサス州が1〜6月に続きトップに立った。2位も5~6月と変わらず、カリフォルニア州が入っている。1〜2月や4~6月と同じく、シェール関連産業が並ぶアーカンソー州も上位に。ノースカロライナ州は前月に続き4位、イリノイ州も同じく5位だった。

1位 テキサス州 9万1412人、前月は7万3491人で1位
2位 カリフォルニア州 5万1422人、前月は4万3526人で2位
3位 アーカンソー州 1万8944人、前月は1万8784人で3位
4位 ノースカロライナ州 1万7051人、前月は1万6838人で4位
5位 イリノイ州 1万5290人、前月は1万4427人で5位

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通りで、%は前年同期比を示す。

1位 エネルギー 9万4936人(全体の26%)
2位 コンピューター 4万9464人(全体の14%)
3位 小売 4万3618人(全体の12%)
4位 産業財 2万2767人(全体の6%)
5位 金融 1万7326人(全体の5%)

7月の人員削減数ワースト5は、こちら。4~6月に続きエネルギーが1位だった。2位は前月に4位だったコンピューター、3位に前月2位だった産業財、4位と5位は圏外からのランクインとなる。

1位 エネルギー 1万7725人(全体の39%)
2位 コンピューター 9875人(全体の22%)
3位 産業財 2425人 教育 3359人(全体の5%)
4位 電気機器 1941人 コンピューター 2836人(全体の4%)
5位 サービス 1623人 製薬 1348人(全体の4%)

リストラ実施の理由、今回の単月ランキングは以下の通り。

1位 再編 2万969人(全体の46%、前月も1位)
2位 原油安 1万5689人(全体の35%、前月は圏外)
3位 コスト削減 2404人(全体の5%、前月も3位)
4位 閉鎖 2144人(全体の5%、前月は2位)
5位 破産 1230人(全体の3%、前月は圏外)

セクター別の採用動向は、以下の通り。全体では1万6051人となり、前月の1万3564人を上回ったものの、2015年9月以来で最高を示した4月の2万4732人から減少が続く。

1位 小売 6166人 前月も1位
2位 自動車 3376人 前月は4位
3位 サービス 1900人 前月も3位
4位 産業財 1020人 435人、前月は圏外
5位 金融 937人 前月は圏外

――原油先物が6月高値から20%下落し弱気相場入りに向かった過程で、エネルギー産業のリストラが再燃しました。結果、前月比での増加をけん引しています。コンピューターもマイクロソフトが2800人、eベイも2400人を人員削減する方針を発表。その他ではキャタピラーが下半期のリストラ計画を明らかにしたほか、ロイズが200の支店閉鎖と3000人の削減、ゴールドマン・サックスは4~6月期に1700人、バンク・オブ・アメリカも同期に2600人以上の削減を実施したといいます。コノコフィリップスは、年内1000人でした。

米7月ADP全国雇用者数は20万人増に近い堅調な数字が見込まれ、ブルームバーグのエコノミスト予想平均は18万人増です。米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月に追加利上げを検討する結果が予想される半面、鈍い4~6月期国内総生産(GDP)がネックとなりかねません。米6月製造業受注を受けて、エコノミストは同期GDP改定値の予想を下げてきました。7~9月期には逆に力強い個人消費の反動が出て在庫投資や住宅投資の切り返しを損ねるリスクも想定され、成長に過度な楽観は禁物でしょう。

(カバー写真:TheeErin/Flickr)

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