Job Cuts And Initial Claims Support Rate-Hike This Year.
米9月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比25%減の4万4324人と5ヵ月連続で減少した。前月比では38%増となったが、年初来平均並びに2015年平均の4.9万人を下回る。1~9月までの削減予定数も、前年同期比12%減の43万5612人と改善した。
人員削減予定数、前月比では3ヵ月ぶりに減少し5月以来の低水準。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「エネルギー関連での大規模な人員削減が上半期に支配的だったが、セクターが安定し経済が改善し続けるに合わせ縮小してきた」との見方を示す。ただ、7〜9月期は「夏場に雇用を削減を手控える傾向が高い」ため、人員削減数が改善する傾向があると指摘。秋にかけ人員削減予定数が増加する可能性に言及したほか、「米大統領選や最低賃金の動向を決定づける米上院の選挙結果を見極めた上で雇用を削減する可能性があり今年の10〜12月期は変動が激しくなりうる」と結んだ。。
年初来の州別では、原油安を背景に石油生産地を抱えるテキサス州が1〜8月に続きトップに立った。2位も5~8月と変わらず、カリフォルニア州が入っている。1〜2月や4~8月と同じく、シェール関連産業が並ぶアーカンソー州も3位を維持。7〜8月に5位だったイリノイ州は、今回4位に浮上した。ノースカロライナ州は6〜7月の4位から5位へ順位を下げた。
1位 テキサス州 9万7787人
2位 カリフォルニア州 6万3111人
3位 アーカンソー州 2万6244人
4位 イリノイ州 1万9070人
5位 ノースカロライナ州 1万8685人
年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。順位は前月と変わらなかった。
1位 エネルギー 9万7366人(全体の23%)
2位 コンピューター 5万9719人(全体の14%)
3位 小売 5万1939人(全体の12%)
4位 産業財 2万7340人(全体の5%)
5位 金融 1万8919人(全体の4%)
9月の人員削減数ワースト5は、こちら。1位は教育、2位は小売とそろって圏外から上位に食い込んだ。3位と4位もそれぞれ圏外から政府と通信が浮上。5位は、前月2位だったコンピューターが並ぶ。エネルギーは前月の1位から圏外に落ち、1367人だった。
1位 教育 8671人(全体の20%)
2位 小売 7296人(全体の16%)
3位 政府 7156人(全体の16%)
4位 通信 4331人 (全体の10%)
5位 コンピューター 4152人(全体の9%)
リストラ実施の理由、今回の単月ランキングは以下の通り。原油安は前月の4位から圏外で505人にとどまった。
1位 再編 1万8229人(全体の41%、前月も1位)
2位 閉鎖 1万372人(全体の23%、前月も2位)
3位 技術の更新 7140人(全体の16%、前月は圏外)
4位 M&A 3601人(全体の8%、前月は圏外)
5位 コスト削減 1213人(全体の3%、前月は3位)
採用予定数は48万7075人と、前月の9101人を大幅に超えた。ホリデー商戦前の臨時雇用の獲得が始まったとみられ、1年ぶりの高水準を記録している。今回は過去5年間の9月採用予定数・平均値は41万5822人を超えた半面、ピークをつけた2014年の56万7705人(当時の米9月雇用統計・NFPは14.9万人増)、2015年の49万2306人(当時の米9月雇用統計・NFPは28.6万人増)以下にとどまった。セクター別動向は以下の通りで、ホリデー商戦前を反映し小売と輸送で目立つ。
1位 小売 31万7000人 前月は5位
2位 コンピューター 2万400人 前月は圏外
3位 輸送 14万7000人 前月は圏外
4位 娯楽/宿泊 800人 前月は圏外
5位 自動車 700人 前月は1位
▽米新規失業保険申請件数、4週平均そろって1973年以来の低水準
米新規失業保険申請件数は10月1日週に24.9万件と、市場予想の25.6万件を下回った。前週の25.5万件も抜け、1973年以来の水準まで減少。労働省は特殊要因を指摘せず、30万件割れは83週連続と1970年以来で最長だという。4週平均は25万3500件と7週連続で減少、こちらは1973年12月以来の最低を更新した。
9月24日週までの継続受給者数は205.8万人と、前週分を6000人下回った。2000年7月1日週以来で最低を示す。被保険者に占める失業者の割合は、3週連続で過去最低の1.5%を保った。
9月24日週の州別動向は、以下の通り。
(増加が顕著だった州)
・ミシガン 2156人増(前月は785人増)
→建設、製造業、教育、事務/廃棄管理/修繕で増加
・オレゴン 454人増
・ケンタッキー 249人増(前週は149人減)
・メリーランド 241人増
・モンタナ 163人増
(減少が顕著だった州)
・ニューヨーク 1902人減
→建設、教育、事務/廃棄管理/修繕で減少
・ペンシルベニア 1224人減
→事務/廃棄管理/修繕、輸送/倉庫、宿泊/外食、製造業で減少
・ニュージャージー 910人減(前週は1665人増)
・オハイオ 752人減
・カリフォルニア 744人減(前週は3152人増)
――米9月チャレンジャー人員削減予定数は前年比で5ヵ月連続で減少し、年初来平均を下回りました。それだけでなく、ホリデー商戦に絡む雇用増加の兆しをみせています。9月から10月にかけて、今年も25万人を超える大幅増が期待できそうです。さらに米新規失業保険申請件数は1973年以来の最低だった上、継続受給者数も2000年以来の低水準を記録してきました。年内1回の利上げを目指す米連邦公開市場委員会にとっては、心強い内容だったことでしょう。
直近の問題は、ハリケーン「マシュー」です。コロンビア政府と左翼ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)での和平合意を問う国民投票が否決された一因を作った巨大ハリケーンは、勢力を拡大してフロリダ州に接近中。
(出所:Accuweather)
”カテゴリー3”からカテゴリー4”まで発達するリスクをはらみつつ、7日の朝にはマイアミをから東海岸をなぞるように北上していきジョージア州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州なども直撃する見通しです。上記の4州では非常事態宣言を発令済みで、フロリダ州のリック・スコット州知事は、避難民が過去最高を超える可能性に言及するほど。同州での避難区域住民は150万人に達するといいます。最大風速65mの巨大なハリケーンが猛威を振るえば、米新規失業保険申請件数が急変動しかねません。
(カバー写真:Federalreserve/Flickr)
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