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米10月ミシガン大学信頼感・速報値、見通しが弱く1年ぶり低水準

by • October 17, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2023

Michigan Consumer Sentiment Hits One-Year Low.

米10月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値、米9月生産者物価指数、米8月企業在庫、米9月財政収支をおさらいしていきます。

米10月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は87.9と、市場予想の91.8を下回った。前月の91.2にも届かず。2015年9月の低水準となる。内訳をみると、現況指数が105.5と前月の104.2から改善した。しかし見通し指数が前月の82.7から76.6と2014年9月以来の水準へ落ち込み、全体を押し下げている。米大統領選を間近に控えるほか、米9月雇用統計が12月利上げを正当化する内容だった一方、就業者の伸びが鈍化し楽観的な見方が後退したもようだ。

原油先物が一時50ドル台を回復する局面をみせたものの、1年先インフレ見通しは2.4%と2ヵ月連続で変わらず。5~10年先インフレ見通しは前月の2.6%から2.4%と、過去最低を更新した。

ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は今回の結果を受け「2015年9月以来、過去2年間で2番目に低い水準で特に年収7.5万ドル以下で低下が目立つ」と振り返った。逆に7.5万ドル以上の世帯はほぼ横ばいであり、「米大統領選をめぐる不透明感が打撃となった」と指摘。その上で2017年の個人消費見通しを「2.5%増」とし、従来の2016~2017年で「2.6%増」から下方修正した。

ミシガン大消費者信頼感、今回は見通し指数ではなく現況指数が重石。

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(作成:My Big Apple NY)

・1年先の家計見通し指数 125<前月は126
向上する 35<前月は36
変わらず 49<前月は50
悪化する 10=前月は10

・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は80<前月は86、直近で最高
所得の伸びが物価を上回る 19<前月は22
所得の伸び率と物価が同じ 40=前月は40
所得の伸びが物価を下回る 39<前月は42

・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 46.6%<前月は47.6%

・1年先のビジネス見通し指数 105<前月は109
向上する 24<前月は27
変わらず 52>前月は50
悪化する 19>前月は18、直近で最低

・1年先の失業率見通し指数 95、5ヵ月ぶりの高水準>前月は86と直近で最低(低下を見込む場合に上昇)
低下する 21>前月は20
変わらず 51<前月は52
上昇する 26=前月は26

・1年先の金利見通し指数 47=前月は47(低下を見込む場合に指数は上昇)
低下する 6<前月は8
変わらず 33>前月は30
上昇する 59<前月は61

・1年先のガソリン価格指数 17.2、4ヵ月ぶり高水準>前月は15.6(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 4、5ヵ月ぶり低水準<前月は5
変わらず 43<前月は45
上昇する 53、5ヵ月ぶりの高水準>前月は49

・自動車購入指数 136>前月は135
買い時 65=前月は65
分からない 6>前月は5
買い時ではない 29<前月は30

・住宅購入指数 154>前月は153
買い時 76=前月は76
分からない 2>前月は1
買い時ではない 22<前月は23

・主要機器 162、3ヵ月ぶり低水準<前月は158
買い時 78、3ヵ月ぶり高水準>前月は76
分からない 6=前月は6
買い時ではない 16<前月は18

――米10月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。

1)1年先の家計見通し指数、並びに所得が1年先に拡大するとの回答、所得と物価の伸び率を踏まえた1−2年先の家計見通し、ビジネス見通しは低下
2)1年先の失業率見通し指数は変わらず
3)1年先のガソリン価格指数は上昇も、1年先金利見通しは低下
4)購入見通し指数は自動車、住宅、主要機器そろって上昇。

米10月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は現況指数が見通し指数が弱かったとはいえ、足元の流れに反し購入見通しが上向きました。米大統領選結果への不安がくすぶるとはいえ、高所得者層を中心に年末まで利上げなしとの判断から購入見通しを支えたとみられます。米9月小売売上高は国内総生産(GDP)に反映あれるガソリン、自動車、建築材、食品サービスを除く場合が伸び悩むものの、ホリデー商戦で挽回する可能性を残します。

▽米9月PPI、上流部分でのインフレ低迷を示す

米9月生産者物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇し、市場予想の0.2%の上昇を超えた。前月の±0%から上向き、3ヵ月ぶりにプラス圏を回復。コアPPIは前月比0.3%上昇し、市場予想並びに前月の0.1%から加速、5ヵ月ぶりの高水準に並んだ。

PPIは前年同月比で0.7%上昇し、市場予想の0.6%の上昇を超えた。前月の±0%からは上向き、2014年12月以来の行使純を示す。コアPPIは市場予想通り1.2%上昇し、前月の1.0%を抜け3ヵ月ぶりの高水準だった。

PPI、コアと合わせ原油先物の安定を支えに上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが0.1%上昇し前月に並んだ。1割弱を占める輸送・倉庫は1.3%の上昇し、前月の0.4%の低下を打ち消している。サービスのうち6割を占めるその他サービスも0.2%上昇し、前月の0.5%に続き4ヵ月連続でプラスを維持。サービスのうち3割を占める貿易のみ0.4%低下し、前月の0.6%の低下を含め3ヵ月連続で弱かった。

モノは0.7%上昇し、前月の0.4%の低下を相殺した。エネルギーが2.5%上昇し過去2ヵ月分の低下を打ち消したほか、食品も0.5%上昇し3ヵ月ぶりにプラスへ反転した。

▽米8月企業在庫、横ばいにとどまり在庫投資の回復示さず

米8月企業在庫は0.2%増となり、市場予想の0.1%を上回った。増加トレンドを4ヵ月で止めた前月の±0%から改善。内訳をみると、小売が0.6%増と前月の0.2%減から好転した。小売のうち自動車が1.2%増と牽引し、自動車を除くと0.3%増へ伸びを縮小する。製造業は0.2%増と2ヵ月連続で増加。卸売は0.2%減と、2ヵ月連続で減少した。

企業売上高は前月比0.2%増と、前月の0.3%減から改善した。在庫相当は在庫と売上高が同じ伸びだったため、3ヵ月連続で1.39ヵ月と直近で最短だった。

▽米9月財政黒字は予想超えも、年度ベースでは5年ぶりの赤字増加

米9月財政収支は333.59億ドルの黒字となり、市場予想の300億ドルの黒字より拡大した。前年同月の908.71億ドルの黒字(911億ドルの黒字から修正)からは、63.3%減少。歳出が17.7%増の3231.78億ドルだった一方、歳入が2.4%減の3565.37億ドルとなる。

2016年度(2015年10月~2016年9月)の財政赤字は前年同期比33.8%増の5874.12億ドルと、CBOの予想値である5440億ドルの赤字を超えた。GDP比では3.2%と過去40年平均に並んだが、2015年のGDP比2.5%からは上昇した。GDP比での上昇は、2009年以来で初となる。

2015年度の財政赤字は9%減の4390億ドルと2007年以来で最低だったが、5年ぶりに増加した格好だ。2015年12月に企業向け優遇税制法案が通過したほか、2015年11月に合意した2017年度までの予算案で強制削減を上回る支出を承認し、裁量支出も2016年度に500億ドル、2017年度に300億ドル増額することを盛り込んだため、赤字拡大が見込まれている。

――アトランタ連銀は、米9月小売売上高を含めた一連の経済指標を受けて米7~9月期GDP予測値を従来の2.1%増から1.9%増から下方修正した。一方でNY連銀は米7~9月期GDP予測値を従来の2.2%増から2.3%増へ、米10~12月期GDPも従来の1.3%増から1.6%増へ引き上げ、まちまちの様相を呈しています。両者の違いは前者がGDPでカバーされる経済指標に忠実な一方、NY連銀は様々な経済指標を含めている統計手法の違いにあり。28日発表の米7~9月期GDP速報値ではどちらに近い数字となるのでしょうか。

仮に速報値との整合性が高いアトランタ連銀の数字となれば、4期連続で2%割れとなります。これは、2008年7~9月期から2009年4~6月期まで続いたマイナス成長以来の低い伸び。イエレンFRB議長が14日に「高圧経済(high-pressure economy)」に言及し、インフレと労働市場を高止まりさせることが金融危機の回復に有用との見解を示すのも納得です。

(カバー写真:Ref54/Flickr)

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